高分子論文集
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73 巻, 2 号
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特集論文=分子組織化学—國武豊喜先生文化勲章受賞記念—II
総合論文
  • 八尾 滋
    2016 年73 巻2 号 p. 139-146
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/01/19
    ジャーナル フリー
    ヤモリは足に吸盤もないにも関わらず,垂直の壁を登ることができる.これは足に無数の繊毛があり,この繊毛と壁との間でvan der Waals力が働くためであるといわれている.筆者らが最近,従来吸着相互作用力がほとんどないと考えられてきたポリエチレン表面に対し,側鎖に長鎖アルカン鎖をもつ高分子がこの機構を分子レベルで実現して,非常に強固な相互作用を示すことを見いだした.この機構は,ポリエチレン表面分子と側鎖の長鎖アルカン鎖が疑似結晶を形成しているために生じると考えることができ,結晶化超分子間力と称されるものである.本報では,この結晶化超分子間力の発現メカニズムと,それを応用したポリエチレン表面改質機能について,これまでの研究をまとめて概説する.
  • 三友 秀之, 新倉 謙一, 居城 邦治
    2016 年73 巻2 号 p. 147-156
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    近年,生体関連化学,物質科学,ナノ・マイクロ微細加工を融合した「分子を超えた自己組織化」が注目を集めている.分子の代わりに金属ナノ粒子などを疑似分子として用いた自己組織化の基礎的研究は,自己集合のコンセプトの理解と材料開発への応用において重要であると考えられている.筆者らは,ナノ粒子の自己組織化による集合構造体形成においてナノ粒子間の相互作用力の制御が重要であると考え,ナノ粒子の外側を覆う表面被覆材に着目した研究に取り組んできた.これまでに,さまざまな表面被覆材を用いることで,量子ドットの繊維状集合体によるゲル,金ナノ粒子の最密充填フィルム,金ナノ粒子の中空カプセル状集合体などの自己組織化による形成に成功している.最近は親水性・疎水性の両面を有するヤヌス粒子による集合体形成にも取り組んでいる.本報では,これらの研究成果について簡潔にまとめ,今後の応用展開について議論した.
  • 水戸 京, 中島 祐, 野々山 貴行, 龔 剣萍
    2016 年73 巻2 号 p. 157-165
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/01/26
    ジャーナル フリー
    脂質分子は,水中でラメラ構造やひも状ミセルのようなさまざまな異方的自己集合体を形成する.近年筆者らは,脂質分子の二分子膜を一軸配向させてゲル中に固定し,マクロスケールで異方的な構造および物性を有するヒドロゲルの合成に成功した.本ゲルは,重合性界面活性剤ポリドデシルイタコン酸グリセリル(PDGI)による二分子膜の膜間にポリアクリルアミド(PAAm)ゲルのマトリックスを有しており,異方的な膜構造に由来する膨潤,力学物性,物質拡散などの異方性を示す.ところで,微妙な外部環境の変化で容易に不安定になる自然界の二分子膜を考えると,なぜ,二分子膜はPAAmゲル内に安定なラメラ構造を形成できるのか,というのは興味深い問題である.本報ではゲル内の二分子膜の構造に焦点を当て,その膜構造形成メカニズム,安定化メカニズム,二分子膜への脂質分子の挿入による膜の構造改変などについて系統的に述べる.
  • 甲田 優太, 佐々木 善浩, 秋吉 一成
    2016 年73 巻2 号 p. 166-174
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/02/16
    ジャーナル フリー
    疎水基を側鎖に部分的に置換した親水性高分子は,水中において高分子鎖が会合し,三次元ネットワークのナノゲル構造を形成する.このような会合性グラフト高分子の会合により得られる自己組織化ナノゲルは,ポリマーミセルと比較して含水率が非常に高いという特徴を有している.とくに,天然高分子の多糖に会合基を導入して得られる多糖ナノゲルは,生体適合性と生分解性を示すのみならず,タンパク質や核酸などの生体分子を安定に内包できるため,ドラッグデリバリーシステム(DDS)などへ応用可能なナノキャリアとして目覚しく発展してきた.また近年では,多糖のみならず,疎水化ポリペプチドによる自己組織化ナノゲルの合成,およびそのバイオ応用の研究が発展しつつある.本報では,静電的相互作用を利用したポリイオンコンプレックナノゲルや刺激応答性高分子を側鎖にもつ会合性グラフト高分子の自己組織化とその機能について,筆者らの最近の研究を中心に解説する.
原著論文
  • 西村 慎之介, 古賀 智之, 東 信行
    2016 年73 巻2 号 p. 175-182
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/01/28
    ジャーナル フリー
    コイルド–コイル構造を形成するようアミノ酸配列がデザインされた21量体ペプチドを3本有する分岐ペプチドを新規に合成した.水中での二次構造および自己集合特性をCDスペクトル,AFM,TEMおよびSEMを用いて検討した.三分岐ペプチドの二次構造はpHに強く依存し,とくにpH 5.8のときにコイルド–コイル構造を形成することがわかった.この二次構造形成を駆動力とした自己組織化により,三分岐ペプチドはナノファイバー構造を形成した.また,ヘリックス形成を誘発する2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)の添加効果についても検討した.興味深いことに,TFEを20%添加したときにコイルド–コイル構造の形成が最も促進され,ナノファイバー構造からベシクル様構造に自己組織化構造が変化することがわかった.pHや溶媒組成などの外部環境に依存してさまざまなナノ構造体を形成するユニークな分岐ペプチドの開発に成功した.
ノート
  • 白石 幸英, 佐々木 将, 桑野 雄太, 澤井 寛哉, 浅野 比, 戸嶋 直樹
    2016 年73 巻2 号 p. 183-186
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/01/26
    ジャーナル フリー
    Supramolecular chemistry is concerned with interactions between molecules, how they can recognize each other, assemble and function on a molecular scale. It provides a bottom up approach to nanoscale systems with applications ranging from biology to materials science. Merging of nanoparticles or nanotechnology, in a wide sense, with self-assembled systems such as liquid crystal displays (LCDs), may attract the attention of researchers who are interested in inaugurating new combinations of different fields. This study aims to synthesize supramolecule-stabilized rhodium nanoparticles and using them to develop novel display materials. Crown ether-stabilized rhodium nanoparticles and calixarene-stabilized rhodium (CA-Rh) nanoparticles have an average diameter of a single nanometer. The power consumption of this TN-LCDs in the presence of CA-Rh rhodium nanoparticles was low. The contrast ratio in the presence of CA-Rh nanoparticles is much better than that in the absence.
  • 備後 翔太, 生越 友樹, 山岸 忠明
    2016 年73 巻2 号 p. 187-191
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/02/09
    ジャーナル フリー
    In this study, complex formation of an amphiphilic cyclic compound, calix[4]resorcinarene (CR) with amines are reported. CR with 4 alkyl chains of 10 carbon atoms (CR(10)) were prepared by condensation of resorcinol and undecanal under acidic condition. CR(10) formed complexes with amines in ethanol. The complex formation is facilitated by hydrogen bonds between hydroxyl groups and amino groups. The complexes showed different thermal stability depending on the kind of amines. The complex obtained from CR(10) and diamines retained the structure in the molten state and until decomposition of CR(10). However, the complex obtained from CR(10) and monoamines decomposed to CR(10) and monoamines before the melting point of the complex. The thermal stability of the complexes depends on the number of amino groups that interact.
一般投稿論文
総説
  • 福田 研一, 石原 一彦, 森島 洋太郎, 遊佐 真一
    2016 年73 巻2 号 p. 192-197
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/02/22
    ジャーナル フリー
    外部刺激で内包ゲスト分子を制御放出可能な水溶性高分子会合体は,薬物キャリアーとして注目されている.本研究ではリン脂質の親水部の一つであるホスホリルコリン基を側鎖結合したポリマー(PMPC)と,感温性ポリマー(PDEA)からなる感温性ジブロック共重合体を制御ラジカル重合法で作製した.PMPCは免疫系から異物認識されにくく,温度に依存しない水溶性高分子である.PDEAは下限臨界溶液温度(LCST)より高い温度で疎水性を示すため,ジブロック共重合体は水中でPDEAをコア,PMPCをシェルにもつミセルを形成した.ミセル表面は,生体親和性のPMPCで覆われている.LCST以下の温度で,PDEAブロックが親水性に変化するため,ミセルは解離した.この会合状態の変化する温度(CAT)より高い温度で,疎水性分子をPDEAコアに取込めた.一方,CAT以下の温度で疎水性分子を水相に制御放出できた.
原著論文
  • 池田 卓也, 高田 知季, 高木 珠吏, 足立 馨, 塚原 安久
    2016 年73 巻2 号 p. 198-206
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/02/10
    ジャーナル フリー
    銅は空気中で容易に酸化し,表面に酸化物が形成されて電気伝導性を低下させる.本報では,銅の板および微粒子の表面を末端チオール化合物の有機薄膜で被覆することで酸化耐性の付与およびこれに伴う電気伝導性への影響について検討を行った.銅は酸化膜を除去し,末端チオールポリスチレン(PSt-SH)の溶液に浸漬して有機薄膜で被覆した.XPS測定よりPSt-SHで被覆すると銅へ酸化耐性の付与が可能であることがわかった.また,低分子化合物である1-ドデカンチオール(Dod-SH)と比較したところ,高分子のPSt-SHの方が酸化耐性が高く150°Cに加熱でも酸化しなかった.このことは銅の外観の色変化とも対応した.四端子法による接触電気抵抗の測定から,室温ではPSt-SHおよびDod-SHで被覆した銅はともに接触電気抵抗の増加は認められず,一方150°Cの高温では高分子のPSt-SHのみ電気伝導性が保持された.
  • 山下 克浩, 今橋 聰
    2016 年73 巻2 号 p. 207-212
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/03/04
    ジャーナル フリー
    鉄アレーン錯体と増感色素からなる光開始剤系によるメタクリラート化合物の光重合挙動について調べた.この光開始剤系では,光重合反応が完全には進行しないことがIR測定により判明し,光反応によりシクロペンタジエニルラジカル(CPR)が生成することがESR測定により示された.露光に伴うポリメタクリラート成長ラジカル(PPR)量の増加は,過酸化物と増感色素からなる開始剤系と比較しかなり少なかった.フェニルグリシン化合物(PC)の添加により,CPRの量は減少し,PPRの量が増加した.これらの現象は,CPRが重合禁止剤として働くことと,PCがCPRを還元することで説明できる.また,酸化されたPCからも,重合を開始するアニリノメチルラジカルが生成すると考えられる.この光開始剤系を使用する感光性樹脂において,PCの添加は光重合反応率を高める効果的な方法である.
  • 浪越 毅, 山本 健二, 小針 良仁, 村田 美樹, 渡邉 眞次, 橋本 保
    2016 年73 巻2 号 p. 213-220
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/02/03
    ジャーナル フリー
    リビングカチオン重合で合成したポリ(n-ブチルビニルエーテル)を停止剤に水を用いて成長末端変換反応を行い,ホルミル末端テレケリックポリ(NBVE) (Polymer 1) (Mn=9,000,Mw/Mn=1.10,Fn;1.91)を合成した.アルミナ存在下でポリマー末端のホルミル基と三官能アミンであるトリス(2-アミノエチル)アミン(TAEA)を反応させると,ゲル化が起こりイミノ基により架橋したポリ(NBVE) (Polymer 2)が合成できた.得られたPolymer 2はゴム弾性を示し,引張試験による破断伸び(Eb),破断強さ(Tb)は186%,0.13 MPaであった.Polymer 2のイミノ基による架橋点は,フェニルエチルアミン(PEA)よるイミン交換反応により分解できた(Polymer 3).また,NaBH4によりイミノ基を還元すると安定な架橋ポリ(NBVE) (Polymer 4)も合成された.
ノート
  • 桑原 敬司, 本間 俊将, 住田 大樹, 近藤 みずき, 下村 雅人
    2016 年73 巻2 号 p. 221-223
    発行日: 2016/03/25
    公開日: 2016/03/25
    [早期公開] 公開日: 2016/02/19
    ジャーナル フリー
    Conducting composite films of polyaniline/poly(acrylic acid) were prepared by electrochemical polymerization of aniline in the presence of poly(acrylic acid). An enzyme electrode was fabricated with the composite film by covalently immobilizing protocatechuate 3,4-dioxygenase on its surface. Amperometric sensing of protocatechuic acid (PCA) was carried out with the enzyme electrode by monitoring O2 consumption accompanying enzymatic PCA oxidation. The sensing was conducted at an applied potential of −0.3 V vs. SCE in a phosphate buffer solution at pH 7.0. The current response was found to increase linearly with an increase in PCA concentration up to 0.55 mM. The sensitivity was 155 µA mM−1 cm−2 with the detection limit of 5 µM. The enzyme electrode gave no response to phenolic compounds other than PCA and to electroactive species such as ascorbic acid and acetaminophen. This high selectivity can be attributed to the substrate specificity of protocatechuate 3,4-dioxygenase and the low potential for amperometry.
Erratum
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