高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
56 巻, 7 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 乗松 孝好, 高木 智弘, 中嶋 貢, 長井 圭治, 井澤 靖和, 三間 圀興
    1999 年56 巻7 号 p. 415-425
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    レーザー核融合用の均一な厚さをもつ燃料カプセルを作るためのエマルション法のモデル化を行った. エマルションが変形することによって発生するセンタリング力に対するスケーリング則は, 均一な壁が形成されていく主要なプロセスがTaylor-Wangによって示された力であることを示している. 均一な壁をもつ容器を作る上で重要なポイントを議論している.
  • 久保 公弘, 正本 順三
    1999 年56 巻7 号 p. 426-433
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    電気・電子部品の用途, 自動車・機械部品の用途として, 衝撃性の高いポリフェニレンスルフィド (PPS) が要望されている. 筆者らはエラストマーによる耐衝撃性の向上したPPSの新しい製法を発明し, その開発を行った. PPSの末端基の反応性を高めるためにPPSの溶融下の300℃で, ジフェニルメタンジイソシアネート (MDI) の存在下で溶融押出しすることにより, PPSの化学的処理を行った. MDI処理PPSとカルボン酸無水物などの官能基を有するオレフィン系エラストマーとの反応押出しにより, 耐衝撃性PPSを得た. エラストマーはPPSマトリクス中に細かく分散していた. PPSの耐衝撃性のメカニズムはPPSマトリクスのシェアイールドに帰せられる. PPSシートとエラストマーシートを溶融熱プレスした. 唯一, MDI変性処理PPSと官能基を有するオレフィン系エラストマーとの組み合わせが強い接着性を示す. 粘弾性および溶融物の粘度測定もMDI変性処理PPSと官能基を有するオレフィン系エラストマーとの強い相互作用を示す. PPSと官能基を有するオレフィン系エラストマーとの化学反応について赤外分光法により論じた.
  • A.L. RUSANOV, M.L. KESHTOV, G.B. SARKISYAN, 左 敏, 竹市 力
    1999 年56 巻7 号 p. 434-439
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    アセチレンを含む新規なジフルオロ芳香族化合物を合成した, これらの求核置換反応性を半経験的分子軌道法の一種であるPM3法を用いてC-F結合の炭素原子上の電荷を見積もることによって評価した. その結果, 電荷と19F NMRの化学シフト値との間に良い相関関係があることがわかった. これらのモノマーを種々のビスフェノール類と求核置換反応条件で反応させ, 芳香族ポリエーテル類を得た. 得られたポリマーは種々の溶媒に可溶であった. ポリマーのガラス転移温度は145~280℃であり, 10%重量減少温度は空気中で410~545℃であった. ポリマー中のアセチレン基は約350℃で架橋反応することがDSCで示され, 架橋反応後にポリマーは不溶となった.
  • 劉 玉文, 日野 慎介, 大島 賢治, 山内 健, 下村 雅人, 宮内 信之助
    1999 年56 巻7 号 p. 440-444
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    炭化チタン (TiC) 存在下で3-ヘキシルチオフェンをFeCl3を開始剤として重合することによって, ポリマー組成比の異なる導電性高分子-TiC複合導電体が得られた. 複合導電体の導電率はポリマー含有率が約30wt%付近から減少した. またその導電率-温度特性は, ポリマー含有率によって異なるが, パーコレーションしきい値付近の組成のものでは, すなわち37wt%のポリマー含有率のものでは, 0℃から30℃の間で4桁導電率が減少した. 導電率の急激な減少が開始する温度はガラス転移温度と一致していた. ポリ (3-ブルチルチオフェン) をポリマー成分とする複合体でも検討した結果, 35℃で導電率が減少し, ポリ (3-ヘキシルチオフェン) 同様そのガラス転移温度と密接に関連していた.
  • 長屋 啓次, 波多野 靖, 日比 貞雄, 川上 恒夫, 柿崎 洋介, 坂本 雄二
    1999 年56 巻7 号 p. 445-455
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    筆者らは, Corradiniらが報告したシンジオタクチックポリプロピレン (st-PP) 結晶単位胞中の炭素鎖およびC-H結合の座標を調査した. st-PPの結晶単位胞および非結晶単位の分極率が, Bunnら, Vulk, およびDenbighによって提示されたC-CおよびC-H結合の分極率を用いて計算された. st-PPの結晶単位胞および非結晶単位の主軸の屈折率が, Lorentz-Lorenzの式を用いて計算された. 結晶および非結晶相の固有複屈折が二つの相の主屈折率から評価された. 固有複屈折から求めた配向係数が, 広角X線回折による配向係数と比較された. 結晶および非結晶相の固有複屈折の値は, BunnらおよびVulkの提示した結合分極率の平均値を用いると, 19.6×10-3, 17.4×10-3と評価された.
  • 杉山 圭, 櫻井 敏彦, 山本 高司, 木下 隆利, 辻田 義治, 吉水 広明
    1999 年56 巻7 号 p. 456-463
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    内部に明確な構造をもつ会合体の構築を目的として, 親水性部にポリエチレングリコール, 疎水性部にポリペプチド [ポリ (γ-メチル-L-グルタメート), ポリ (γ-ベンジル-L-グルタメート)] を適用した両親媒性ポリペプチドを合成し, ペプチド部の重合度や側鎖構造が会合体の形成にどのような影響を及ぼすか検討した. 両親媒性ポリペプチドは, 水溶液中で安定な球状のミセル様会合体を形成することが確認された. またその会合体内部は, 六方充てんされたα-ヘリックス分子で構成されていることも確認された. その会合体は, 内部の規則構造に起因した特異的な可溶化を示した. 両親媒性ポリペプチドのペプチド部の重合度や側鎖構造は, 臨界ミセル濃度や溶質の可溶化に強く影響を及ぼすことが明らかとなった.
  • 永井 一清, 渡辺 哲也, 仲川 勤
    1999 年56 巻7 号 p. 464-467
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    かさ高い置換基を有するガラス状高分子 [ポリ (t-ブチルアセチレン) (PTBA) とポリ (ビニルトリメチルシラン) (PVTMS)] のフィルムの常温での真空保存によるスピン-格子緩和時間 (T 1) の変化を研究した. PTBAとPVTMSの主鎖の13CT1は, 側鎖の13CT1より大きな値を示した. またPTBAとPVTMSのフィルムを室温にて2週間真空中に保存した場合, PTBAとPVTMS共に保存前後の側鎖の13CT129SiT1の変化は観察されなかった. 一方, PTBAとPVTMSの主鎖の13CT1においては, 真空保存によりPTBAのCc [H-Cd =Cc-Cb (CaH3) 3] のT1は初期試料の値に対して9.6%の減少, そしてPVTMSのCc [H2Cc-Cb-Si (CaH3) 3] のT1は, 初期試料の値に対して5.8%の増加を示した. しかしながら主鎖のPTBAのCdとPVTMSのCbの真空保存前後のT1の変化は観察されなかった.
feedback
Top