高分子論文集
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42 巻, 6 号
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  • 竹村 年男, 白根 弘美, 中塩 靖三
    1985 年42 巻6 号 p. 355-359
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    マンガン-アミン-メタノール系触媒による2, 6-キシレノールとナフトール類の共重合を検討した. α-ナフトールの方が2, 6-キシレノールより反応速度が大きく, α-ナフトールが存在すると2, 6-キシレノールの反応が抑制された. 配位子アミンが, 2, 6-キシレノールの単独重合で高い重合活性を示す2-アミノエタノール, エチレンジアミンでは十分な重合活性が認められなかった. N, N, N型三座配位のアミンでは重合活性が認められないがジエタノールアミン, トリエタノールアミンなどO, N, O型三座配位アミンでは共重合活性が認められた. 重合収率と分子量, IR, DTA, TGA, 溶媒抽出分離の結果はいずれも生成物が共重合体であることを支持した.
  • 中前 勝彦, 西野 孝, 畑 克彦, 松本 恒隆
    1985 年42 巻6 号 p. 361-366
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンオキシベンゾエート (PEOB) α型の分子鎖軸方向の結晶弾性率 (E1) の温度依存性を測定した. E1の値は常温では6.0×104kg/cm2であったが, 90℃付近で急激に減少し, 175℃では2.0×104kg/cm2となった. 分子鎖軸方向の面間隔の熱膨張挙動を検討した結果, 85℃以上で急激に熱膨張し, 更に, 結晶格子の応力-ひずみ曲線の形が温度の上昇に伴い変化することから, 高温域でのE1の低下は分子鎖変形機構の変化に基ずくものであると考えられる. また, 分子鎖軸に対して直角方向の面間隔も85℃以上で熱膨張が顕著になることから, 分子鎖間の相互作用の低下も高温でのE1の低下に寄与しているものと考えられる. 更に, 高温領域でのE1の低下が試料弾性率の高温における低下に直接大きな影響を及ぼしていることが明らかにされた.
  • 宮本 正樹, 笹川 滋, 寺田 良蔵, 長岡 昭二, 森 有一
    1985 年42 巻6 号 p. 367-373
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンオキシド (PEO) 鎖を有するハイドロゲルの顆粒球に及ぼす効果につき検討した. 鎖長の異なるPEOを側鎖に持つメトキシポリエチレングリコールモノメタクリラートをポリ塩化ビニル (PVC) に光グラフト共重合したハイドロゲルを合成した. また, グラフト率を変え, ゲル含水率を変化させた. 顆粒球粘着は, ゲルの含水率の増加に伴って低下し, 含水率36%以上で, 顆粒球の付着は全く認められなかった. 同一含水率では, PEO鎖長が長いほど, 顆粒球機能は良好であった. 長鎖PEO鎖を有するバッグ中で顆粒球を24時間保存した場合は, 新鮮顆粒球の約95%の機能活性を維持し, 医療用軟質PVCバッグより20~30%の機能向上を示した. これらの結果から, 長鎖PEO鎖を有するハイドロゲルは, その水和したPEO鎖の排除体積効果により材料表面への細胞粘着抑制ばかりでなく機能保持にも有効であることがわかった.
  • 三輪 実, 大沢 直志, 滝 多計之
    1985 年42 巻6 号 p. 375-381
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    エポキシ樹脂中に埋蔵されたナイロン6繊維の引抜挙動を検討した結果, 次のことが明らかとなった. 繊維の埋込み長さが十分長い場合には, 繊維に働く引張応力が, 初期はく離が発生する値に達すると, 一定の長さにわたって界面はく離を生じ, それ以後は, スティック・スリップ現象と類似しているが, これとは全く異なる界面はく離のメカニズムに従ってはく離が進行し, 繊維の埋込み部分のはく離が完了する時点で, 最大引張応力に達する. 引抜時の繊維の最大引張応力と埋込み長さとの関係曲線は二つの領域からなり, 埋込み長さが短い領域では, 界面の降伏せん断応力を一定とする理論に従い, 長い領域では, はく離した繊維が界面の摩擦力に逆らって引き抜かれる過程であると推定された. 更に, 220dの繊維で強化した場合には, 繊維を引き抜くのに要するエネルギーが大きく寄与し, 強化繊維が35mmの時に, エポキシ樹脂の約8倍の衝撃破壊エネルギーが得られた.
  • 児玉 峯一, 狩野 勇, 小林 淳二
    1985 年42 巻6 号 p. 383-388
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    炭素繊維強化高分子複合体における強化材-マトリックス間相互作用を高める目的で, ポリイミド樹脂薄膜を被ふくした炭素繊維で強化されたエポキシ樹脂複合体について力学的及び分光学的特性を調べた. ポリイミド薄膜は芳香族ジアミンとテトラカルギン酸二無水物を炭素繊維上で直接重合することにより形成した. E”およびtanδ-温度曲線上で, 主分散の高温側に一つの副分散が現れる. 積層試片の剥離強度と複合体の弾性率及び強度に対する繊維の有効係数はポリイミド処理が行われていない繊維で強化された場合より大きくなる. これらの結果はエポキシ樹脂とポリイミド被ふく炭素繊維の間の相互作用が増加したことを示している. フーリエ変換赤外スペクトルからエポキシ樹脂とポリイミド間にある種の相互作用が生じていることが認められる.
  • 竹村 年男, 白根 弘美, 中川 勇, 中塩 靖三
    1985 年42 巻6 号 p. 389-395
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    塩化マンガン-2-アミノエタノール-メタノール系触媒による2, 6-キシレノールの酸化重合の反応特性を明らかにするため, 酸素源に空気を用い, 空気供給速度, 反応温度, 錯体触媒の構成成分量, 酸素分圧, かくはん速度が反応速度, 分子量分布に与える影響を調べた. ポリマー生成に要する時間は空気供給速度に依存するが分子量分布に有意差を生じない. 分子量分布は反応温度に依存し, 20℃と30℃では有意差はなく, 40℃では広くなる. メタノールが少ない場合, 分子量分布は広くなる. 反応速度は, 反応前期では酸素吸収速度が非常に速く空気供給速度に支配され, 反応後期では空気供給速度に無関係になり, かくはん速度と錯体触媒の量に依存した. 観測された反応特性から, 酸素供給, 酸素分圧が十分な条件下では, 律速段階はキノンケタール中間体生成過程にあると考えられ, また, マンガン錯体は再分配過程に関与すると結論した.
  • 岡部 勝, 松田 英臣
    1985 年42 巻6 号 p. 397-404
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アイソタクチックポリプロピレンがデカリン, テトラリン中の約6%以上の濃度領域で, 熱可逆ゲルを形成することを見いだした. そこで, 物性値の異なる数種類の試料についてゲル融点の測定を行い, ゲル融点と溶液濃度, 試料の分子量, 結晶化度との関係について実験的に調べた. その結果, ゲル融点は溶液濃度の増加とともに徐々に上昇し, また分子量が大きく結晶化度の小さい試料ほど高くなる傾向にあることが明らかとなった. また, 実測したゲル融点はゲル網目の橋かけ点を微結晶であるとした高橋, 中村, 香川の理論式をよく満足した. 更に, ゲル中に存在する球晶の様子を偏光顕微鏡により観察し, ポリオレフィン溶液のゲル化機構についても若干の考察を加えた.
  • 小林 亜男, 浅野 秀樹, 石川 鉄雄, 小角 博義
    1985 年42 巻6 号 p. 405-413
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    炭酸カルシウム25vol%充てんポリプロピレンについてウェザーメーターによる耐候性を検討し次のことを明らかにした. 1) 炭酸カルシウム充てんポリプロピレンは, アイゾット衝撃強さ, 伸び率において100時間以内で, 初期値の50%以下まで低下し, 未充てんのものに比べて著しく劣化が促進される. 2) 各種の機械的特性の変化は, 熱劣化の場合と類似しているが, 炭酸カルシウム中に含まれる微量のFe, Cu, Mn等の不純物の影響は, 熱劣化の場合より少ない. 3) 劣化防止剤として, 単独ではチオプロピオール系酸化防止剤がよいが, トリアゾール系の紫外線吸収剤と併用することにより効果は著しく向上する. 4) 劣化は紫外線照射面より内部へ進行していくことが赤外線吸収スペクトル分析, 引張破壊断面の観察より明らかになった.
  • 細井 文雄, 斉藤 健司, 幕内 恵三, 小石 真純
    1985 年42 巻6 号 p. 415-422
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    あらかじめγ線を照射した多孔性微粒子にアスピリン及びメタクリル酸メチルとメタクリル酸混合モノマーを接触させ, 後グラフト重合による徐放性微粒子の作製を試みた. 溶出試験は水-メタノール混合溶液及びpH5.2の酢酸緩衝液を使用した. アスピリンは時間とともに溶出しおよそ140時間で一定となった. グラフト微粒子からのアスピリン溶出量は多孔性微粒子にアスピリンのみを吸着させたときと比較して増大した. 多孔性微粒子表面をあらかじめ二酸化チタン微粒子で処理すると, グラフト微粒子のアスピリン吸着量は著しく増大した. アスピリンはほとんど多孔性微粒子内に吸着していると示唆された. グラフト微粒子からのアスピリン溶出量とt1/2の関係は直線となった. アスピリンの溶出機構は多孔性微粒子内で重合したポリマーマトリックス中での拡散機構が律速段階となっているものと考えられる.
  • 西村 哲夫, 久保 誠六, 伊東 健, 酒井 伸
    1985 年42 巻6 号 p. 423-426
    発行日: 1985/06/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレンに2種類の無機質フィラーを分散させたハイブリッド複合体及び二成分ブレンドポリマーにマイカを分散させたブレンド系複合体について, 細管流動におけるダイスウェルを検討した. ダイスウェルは見掛けのせん断応力に支配され, その変化はハイブリッド系においては, フィラーの種類とそれらの混合比率に従い, 関数関係が成立する. 一方, ポリマーブレンド系においてダイスウェルは, ポリマーの種類とそのブレンド比に依存する.
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