ポリエチレンオキシベンゾエート (PEOB) α型の分子鎖軸方向の結晶弾性率 (
E1) の温度依存性を測定した.
E1の値は常温では6.0×10
4kg/cm
2であったが, 90℃付近で急激に減少し, 175℃では2.0×10
4kg/cm
2となった. 分子鎖軸方向の面間隔の熱膨張挙動を検討した結果, 85℃以上で急激に熱膨張し, 更に, 結晶格子の応力-ひずみ曲線の形が温度の上昇に伴い変化することから, 高温域での
E1の低下は分子鎖変形機構の変化に基ずくものであると考えられる. また, 分子鎖軸に対して直角方向の面間隔も85℃以上で熱膨張が顕著になることから, 分子鎖間の相互作用の低下も高温での
E1の低下に寄与しているものと考えられる. 更に, 高温領域での
E1の低下が試料弾性率の高温における低下に直接大きな影響を及ぼしていることが明らかにされた.
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