NBR分子鎖の運動性の不均一性を支配する要因を検討するためアクリロニトリル(AN)の平均連鎖長がほぼ1で,AN組成比が異なり架橋点間分子量(
Mc)が同等な試料およびAN組成比が等しく
Mcの異なる試料について,パルス
1H NMRにより
T2測定を行った.これらの試料は異なる
T2をもつ3種の構造で構成されることが判明した.未加硫NBRの再沈殿前後の結果から,
T2が最も長い成分はNBRに含まれる不純物に相当すると判断した.
Mcの異なる加硫NBRの
T2およびその
1H比を
Mcと比較し,加硫前後の
T2およびその
1H比をブタジエンモノマーの平均連鎖長(LnBU)と比較した.その結果,加硫NBRの
T2およびその
1H比は
Mcの影響よりもLnBUの影響を大きく受けることがわかった.以上より30℃における加硫NBRの分子鎖の運動性の不均一性は未加硫NBRのLnBUにより支配され,加硫の影響は小さいと結論した.
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