コラーゲンモデルペプチドの一つである(Pro-Pro-Gly)
5(以下 PPG5 と略す)が 10 mM の LiClO
4 を含むメタノール中でポリアクリル酸(PAA)と複合体を形成することを見いだした.PPG5 の質量濃度を 3.23×10
-5 g cm
-3 とした場合,PAA と PPG5 のモル比
Cp/
Cc が 0.06 と 0.3 のものについては濁りが見られたのに対し,
Cp/
Cc=3 の溶液は透明であり,動的光散乱測定からも巨大な会合体はほとんど存在しないことがわかった.この溶液および,PPG5 単独溶液について円二色性測定を行い,前者の三重らせん-1 本鎖の転移温度が後者よりも約 30 K 高いこと,すなわち,少量の PAA 鎖の存在によって,PPG5 の三重らせんが著しく安定化されることが見いだされた.さらに,この現象が PPG5 と PAA 間の解離会合平衡によって説明できることを示した.
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