高分子論文集
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35 巻, 12 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 鹿島 俊弘, 江藤 国臣
    1978 年 35 巻 12 号 p. 751-758
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    DSC測定により熱処理された共重合ポリエステルの融点挙動について検討した. テレフタル酸系共重合ポリエステルの融点は, 融点以下の一定の条件下で熱処理をすることにより共重合組成の種類に応じた融点上昇の挙動を示した. その結果熱処理されたポリエステルの融点は, ランダム共重合ポリエステルの融点に関するFloryの式にあてはまらなくなってくることを見いだした. この熱処理による融点上昇挙動と共重合ポリエステルの組成との関係について検討し, (1) 共重合成分が長鎖の酸, 又はグリコールほどその傾向が著しく, 逆にベンゼン環を有するものはそれが小さい. (2) 共重合ポリマーの結晶性の小さいものほどその傾向は大きい. さらにX線回折によりこの融点上昇が結晶の単位構造における面間隔の変化に由来するものではないことを確認した.
  • 上野 博, 大塚 晋也, 平 和雄, 岸本 昭
    1978 年 35 巻 12 号 p. 759-764
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    溶融ナイロン12フィルム30 msでの短時間接着性について, ナイロン12分子の拡散現象の立場より検討した. ナイロン12の拡散係数DAは, 自己拡散係数に相当する溶融粘度より算出した拡散係数DBよりかなり大きく, 見掛けの活性化エネルギーEDAEDBに比べてかなり小さい. その分子量依存性は溶融粘度あるいはDBが分子量の3.4乗で変化したのと対照的に極めて弱い傾向を示した. これらの挙動より, ナイロン12の短時間接着には分子鎖全体の運動性よりはむしろ, 局所的なセグメント単位の運動, つまりはセグメントの拡散が関与していると考えられる. これは, DAの挙動と偏光けい光法による溶融ナイロン12の分子運動性の対比からも支持された. 一方, 短時間接着時の接着強さと比較的長い時間 (120s) 接着した時の接着強さを, 接着温度依存性と分子量依存性について比較したところ, 両者の差異はほとんどなく, ナイロン12分子のセグメント拡散の分子機構と対応する挙動を示した.
  • 今井 庸二, 増原 英一, 高倉 孝一, 中路 修, 山下 修蔵
    1978 年 35 巻 12 号 p. 765-770
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコールーアクリロニトリルグラフト共重合体膜は優れた強度と溶質透過能を有しているが, 水透過能がやや小さい. そこで, 強度の低下を抑えながら水透過能を向上させる試みを行った. グラフト共重合体膜をジメチルスルホキシドとジメチルホルムアミドの混合溶媒中に60℃で3分間浸せきし, 流水中に放置した. 得られた膜について, 含水率, 機械的性質, 尿酸ビタミンB12・水の透過能を測定した. 適当な組成の混合溶媒で処理することにより, 強度の大きな低下を抑えながら, 透過能を飛躍的に改良することができた. これはポリビニルアルコールを海相, ポリアクリロニトリルを島相とするミクロ相分離構造を有するグラフト共重合体膜の中で, 島相の部分をミクロ多孔質化することによって達成された.
  • 古川 薫, 竹 勝生, 塚本 千秋, 尾関 敏男, 吉崎 修
    1978 年 35 巻 12 号 p. 771-778
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリカプロラクタムの高重合度化を加圧重合塔, 常圧重合塔および減圧下ぬれ壁流下塔を連結した連続重合パイロット装置により検討した. 加圧重合塔により生成したポリマー特性は静止密閉系で平衡論的に求められた理論値によく一致していた. 減圧下薄膜ぬれ壁流下方式における後縮合反応は壁膜流動の取扱いにより, 静止系で求められた反応速度式の適用が可能なことが見いだされた. 又, 減圧縮合塔底部に滞留するポリマーからの水の蒸発は, 溶融ポリマー液深がある値以上に大きくなると阻止され, それ以上の深さで起こった縮合反応生成水は蓄積されて反応進行は抑制されることが分かった. したがって, この領域では縮合反応でできる水はすべて蓄積されるとして速度式を適用すると妥当なことが分かった. ポリマー流量, 温度, 水蒸気圧および底滞留容積などの流動系の後縮合反応条件の変化に対応したポリマー特性が求められ, 連続高重合度ポリマーの製造, 又は同製造装置の設計が可能になった.
  • かせ村 知之, 鈴木 克巳, 宇治 文雄, 近土 隆, 畑 敏雄
    1978 年 35 巻 12 号 p. 779-786
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    異なる組成をもつ, エチレンオキシド (EO) とプロピレンオキシド (PO) のランダム共重合体とABA型ブロック共重合体の表面張力 (γ) を種々の温度で, 静泡法を用いて測定した. ランダム共重合体の場合, 測定されたγの値は, x2 (POのモル分率) <0.4の範囲では, 前報においてパラコールと分子容の加成性に基づいて誘導した式から予想される直線によく一致した. 一方, ブロック共重合体の場合には, γはPOブロックの導入によってPEOの値から急激に減少し, PO連鎖の選択的吸着を示した. さらに, 表面張力の分散力成分 (γd) と極性成分 (γp) の組成依存性を比較検討した.
  • 鎌谷 博善, 小長谷 重次
    1978 年 35 巻 12 号 p. 787-794
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ビス (2-ヒドロキシエチル) =テレフタラート (BHET) の重縮合反応および副反応に対するMn (II), Co (II), Zn (II) 化合物の触媒作用について検討した. BHETとアセチルアセトナト2価金属錯体とをアセトン中で反応させると, 容易に両者を含む混合錯体M (II) (acac) 2 (BHET) (M=Mn, Co, Zn) が生成することを見いだした. この混合錯体を用いてBHETの重縮合反応を行うと, アセチルアセトンが留出した後重縮合反応はBHETの二次式に従って進む. 重縮合反応, および副反応に基づくエーテル結合の生成は, 中心金属の影響を受け, その速度はいずれもMn (II) <Ca (II) <Zn (II) の順に速くなる. 速度論的検討結果および混合錯体の構造変化から, 反応中間体として混合錯体と類似の錯体M (/O・CH2・CH2←O=C-O\C6H4~) 2 (BHET) が形成されることを見いだした. この錯体内でBHETの末端OH基の求核性が配位により高められることが反応を促進する上で重要な役割を果しているものと考えられる.
  • 山田 文一郎, 吉岡 稔, 大津 隆行
    1978 年 35 巻 12 号 p. 795-801
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    N, N-二置換アクリルアミドの内で構造的にもっとも簡単な, N, N-ジメチルアクリルアミドの生長の速度定数 (kp) および停止の速度定数 (kt) の絶対値を塊状重合, 30℃で回転セクター法により決定した. kp=27200 (l mol-1s-1), kt=3.54×109 (l mol-1s-1) 共重合で求めたモノマー反応性比とkpの値を組み合せると交互生長の速度定数が求まる. それらに基づきN, N-ジメチルアクリルアミドおよびそのポリマーラジカルの反応性を他のモノマーおよびポリマーラジカルと比較した. その結果, モノマーとしての反応性は構造から予想される程度であるが, ポリマーラジカルとしては予想されるよりもはるかに高反応性を示す. これは, 窒素上の非共有電子対とカルボニル基の共役により, カルボニル基によるポリマーラジカルの共役安定化の程度が低下するためと考えられる.
  • 松倉 利夫, 木下 隆利, 滝澤 章, 辻田 義治, 住友 宏, 橋本 和彦
    1978 年 35 巻 12 号 p. 803-805
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    Poly (tetrahydropyran-2, 6-diyliminocarbonyl) (Poly (BOL)) の吸湿量は, ナイロン6, ナイロン66の約3倍, 羊毛程度であるが, その吸湿等温曲線は温度依存性がなく, 比較的小さい極性の吸着坐席が多数存在することを示す. 水蒸気透過係数は, セロハン膜に比べて, 高相対蒸気圧下で約1桁上であるが, 相対蒸気圧依存性は比較的小さい. 水蒸気の拡散係数の活性化エネルギーは, 相対蒸気圧0.2, 0.8でそれぞれ7.6, 4.1 kcal/molと小さく, 透水性に関するそれ, 6.9 kcal/molと大差ない. 吸湿性および透過性に関する以上の結果は, Poly (BOL) の極性基間相互作用が比較的小さく, 弛緩された構造であることを示している.
  • 今井 淑夫, 上田 充, 飯井 昌弘
    1978 年 35 巻 12 号 p. 807-809
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    四級アンモニウム塩を相間移動触媒として用い, 芳香族ジスルホニルクロリドとビスフェノールナトリウム塩から塩化メチレン-水系界面重縮合により, 高分子量の芳香族ポリスルホナートを合成した. 得られた芳香族ポリスルホナートは塩化メチレンやテトラヒドロフランをはじめとする広範囲の有機溶媒に溶解した. 熱重量測定によると, これらのポリマーは空気中, 窒素中ともに300℃付近から分解することが分かった.
  • 今井 清和, 前田 運平, 松本 昌一
    1978 年 35 巻 12 号 p. 811-813
    発行日: 1978/12/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ジメチルスルホキシド中の酢酸ビニルの重合でえられるポリビニルアルコール (PVA) について, 水中膨潤度, 含水ジメチルスルホキシド溶液の濁りの速さおよび濃厚水溶液のゲル化性を測定した. その結果, このPVAは塊状重合あるいはメタノール溶液重合で得られる通常PVAに比して性質が明らかに異なり, 構造規則性が劣ると推定された.
  • 1978 年 35 巻 12 号 p. 828
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
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