高分子論文集
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48 巻, 3 号
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  • 大石 勉, 藤本 稔, 春田 幸典
    1991 年 48 巻 3 号 p. 123-128
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    N-シクロヘキシルマレイミド (CHMI) の紫外線照射による固相及び溶液単独重合を行った. 溶融固相重合 (120℃) での収率は定量的で, 分子量は40万から500までと多分散ポリマーであった。メタノール中でのCHMIの初期重合速度式はRp=k・I0.73・ [M] 1.5であった. ここでI及び [M] は照射強度及びモノマーの初濃度である. 得られたCHMIホモポリマーは結晶性ではなく, アモルファスポリマーであった。CHMI (M1) とスチレン (ST, M2), メタクリル酸メチル (MMA, M2) 及び酢酸ビニル (VAc, M2) との光共重合をテトラヒドロフラン中で行いモノマー反応性比を以下のように決定した. ST系でr1=0.053, r2=0.13, MMA系でr1=0.24, r2=1.62, VAc系でr1=1.44, r2=0.048.
  • 吉井 正樹, 蔵本 浩樹, 金田 愛三
    1991 年 48 巻 3 号 p. 129-135
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリカーボネート樹脂を用いて射出成形された薄肉円板の円板平面内及び板厚断面内の複屈折と型内冷却条件との関係, さらに複屈折発生要因について検討した. (1) 円板平面複屈折 (n1-n2) は型温及び型内冷却時間条件による変化はほとんどないが, 板厚断面複屈折 (n1-n3) は型温度が高いほど小さく, 型内冷却時間が長いほど大きくなる. (2) 円板平面内の成形収縮率は型内冷却時間が長いほど小さくなる. (n1-n3) の増大は型内での引張拘束力による塑性変形と遅延弾性変形の残留に起因する. (3) 型温度が高いほど (n1-n3) が減少するのは, Tgまで冷却される時間が長く, その間に流動による分子配向が緩和することと, Tgと型温度との差が小さいので, 冷却時の型内での拘束力が小さいためと考えられる (4) このような成形円板の複屈折挙動は熱膨張要素と四要素模型からなる力学的モデルによって説明することができる.
  • 松岡 孝明, 高畠 淳一, 井上 良徳, 高橋 秀郎
    1991 年 48 巻 3 号 p. 137-144
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    熱可塑性樹脂の射出成形CAEのために, 充填・保圧・冷却過程における溶融樹脂の流動挙動をシミュレートする計算プログラムを開発した. 3次元薄肉複雑形状成形品を対象に, 充填解析では非圧縮性の, 保圧解析では圧縮性の非ニュートン流体の非等温Hele-Shaw流れを仮定した. このような流れは運動と連続の式を簡略化た流れの式とエネルギー式によって表される. 数値解法として, 流れの式には有限要素法を, エネルギー式には差分法を用いた. 粘度を指数則とアレニウス式により, 密度を圧力と温度の関数として12係数多項式により近似した. ポリプロピレン製リブ付平板の射出成形時に, ノズルとキャビティにおける樹脂圧力を測定し, 測定結果と計算結果とを比較した. 樹脂圧力の計算結果は実験結果と良く一致した. また, ゲートシール時間を誤差20%で予測できた.
  • 小寺 宣一, 高木 幹夫
    1991 年 48 巻 3 号 p. 145-149
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリマーに導入する親水基の含量を極力低く規制した疎水性の非晶性ポリエステルからディスパージョンを得る方法を検討した. ソジウム5-スルホイソフタル酸 (IS) を全酸性成分に対し2mol%共重合させた非晶性ポリマーを2-ブトキシエタノール (BEA) などの水溶性有機化合物に溶解させた後, この溶液に水を添加すると1000nm以下の粒径を有する, 安定なコロイド状微粒子分散体が得られる. ポリマー中のIS含量及びBEAなどの添加物濃度が増加すると粒径が減少する. また, このポリマー溶液に水を添加していく過程で, 大きな粘度低下が二度認められるが, これはポリマー鎖の会合状態の変化に対応している.
  • 松岡 孝明, 井上 良徳, 高畠 淳一
    1991 年 48 巻 3 号 p. 151-157
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    繊維強化樹脂の射出成形品は現在広く実用化されているが, 成形時に大きな変形が生じやすく問題となっている. 充填過程の樹脂流れによって起こる繊維配向が, 機械的な材料特性の異方性をもたらすためである. したがって, 変形を対策するためには繊維配向及び機械的な材料特性を予測する必要がある. そこで, 我々は繊維強化樹脂射出成形品の繊維配向及び機械的な材料特性を予測する計算機プログラムを開発した. 繊維配向の計算は, 繊維同士の相互作用を考慮し, 板厚方向を10層に分割した各層について行った. 計算した各層の繊維配向に, 複合材料で使われている積層理論を適用し, 射出成形品の機械的な材料特性を予測した. 検証は, 予測した材料特性の中の弾性率と線膨張率を実測値と比較することにより行った.
  • 池田 能幸, 三隅 好三
    1991 年 48 巻 3 号 p. 159-162
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    塩素化ポリエチレン (CPE) の機能化を目的として, CPEへのポリオキシエチレンマクロマーのグラフト重合を過酸化ベンゾイル (BPO) を開始剤として行った. グラフト率はBPO濃度8mmol/l程度のとき極大値を示した. 得られたグラフト共重合体はミクロ相分離構造を構成していた. また, グラフト率が変化しても, 引張強さ, 伸びなどの物理的性質にはあまり影響がなかった. 含水率はグラフト共重合体中のオキシエチレン単位含有率に比例した. さらに, 含水したグラフト共重合体の酸素透過性はかなり優れていた.
  • 石井 穆, 岡 智
    1991 年 48 巻 3 号 p. 163-169
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    合成ポリマーフィルムにミクロボイドを導入する一つの方法として, デンプンを分散して作製したメチルメタクリレート-2-エチルヘキシルアクリレート (MMA-EHA) コポリマーフィルムのアミラーゼ処理を検討した. フィルム中の0.28~0.44g/gの米デンプンの38~71%がグルコアミラーゼ処理により消化・除去されたが, α-アミラーゼによる除去率は32%以下であった. 一方, 可溶性デンプン含有フィルムの場合には, グルコアミラーゼまたはα-アミラーゼのいずれによっても, 全デンプンの75~78%が消化された. この酵素処理前後におけるデンプン含有フィルムの比容積測定により, 合計0.006~0.030cm3/gのミクロボイドが, MMA-EHAコポリマーフィルム内へ導入されたことを認めた. 導入されたこのミクロボイドは, 高湿度条件では毛細管凝縮により著量の水分を保持することを認めた. また, ミクロボイドの導入がフィルムの透湿性を顕著に高めることを認めた.
  • 高木 幹夫, 鈴木 佳太, 真野 隆之
    1991 年 48 巻 3 号 p. 171-175
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    トリエトキシシリル末端ポリスチレン (TESi-PS) の縮合反応を, 溶媒には主にテトラヒドロフランを用い, 塩酸を触媒として反応温度60℃で行った. TESi-PSの転化率は, 使用したTESi-PSの単分散性が優れていたため, GPC法で求めることができた. この縮合反応での主な生成物は, TESi-PSの2及び3量体に相当するものであり, 4量体以上のものは無視できるほどであった. 反応の時間-転化率曲線は約24hで飽和値に達し, その値はTESi-PSの濃度に大きく依存した. また, TESi-PSの分子量が増すにつれ, 転化率が低くなる傾向を示した. TESi-PSの縮合させたものを低濃度溶液として, 塩酸存在下, 60℃で処理すると, 一部TESi-PSの単量体に相当するポリマーが生成した. これらからTESi-PSの縮合反応が平衡反応であることが示唆された. この反応に対する溶媒の種類による影響も認められ, ベンゼンなどの非極性溶媒では反応が進行しにくいことがわかった.
  • 糸山 謙治, 伝田 泰明, 宮田 喜明, 大島 秀司
    1991 年 48 巻 3 号 p. 177-180
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    従来の研究において, 連鎖移動剤消失速度及び分子量の対応性が明確でない問題について検討した. 連鎖移動剤, n-DDMの添加量を変えて重合実験を行い, その消失速度を改良法 (ViStex-電位差滴定法) によって測定し, 連鎖移動定数を求めた. これと併行して重合の進行に伴う分子量の変化を調べ, これを分岐反応の影響を除いた形で解析することにより, 連鎖移動定数を求めた. その結果, 両者はほぼ等しく, 連鎖移動定数は, 重合温度40及び10℃において, 0.66~0.72及び0.88~0.83と求められた. さらに, この重合反応系において, n-DDMとの連鎖移動反応以外の分子量調節反応は無視できることがわかった.
  • ポリエチレンテレフタレートの延伸に関する研究第1報
    坂本 国輔
    1991 年 48 巻 3 号 p. 181-184
    発行日: 1991/03/25
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    PETフィルムの機械的性質を三つの複屈折率を使って分子配向と関係づけた. 分子配向の尺度として, 複屈折率, Δn=γ-βの代わりに, Δn1=γ- (α+β) /2とΔn=β- (γ+α)/2を使った. この複屈折率は物理的意味は同一であるが, Δn1は機械的性質を主配向と同方向にテストするときに使い, Δnは, それと直角方向にテストするときに使う. この新しい尺度により, 強度と伸度に関するマスター曲線が得られ, 未延伸, 一軸延伸, 二軸延伸フィルムを統一的に整理できることを示した.
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