ポリカーボネート樹脂を用いて射出成形された薄肉円板の円板平面内及び板厚断面内の複屈折と型内冷却条件との関係, さらに複屈折発生要因について検討した. (1) 円板平面複屈折 (n
1-n
2) は型温及び型内冷却時間条件による変化はほとんどないが, 板厚断面複屈折 (n
1-n
3) は型温度が高いほど小さく, 型内冷却時間が長いほど大きくなる. (2) 円板平面内の成形収縮率は型内冷却時間が長いほど小さくなる. (n
1-n
3) の増大は型内での引張拘束力による塑性変形と遅延弾性変形の残留に起因する. (3) 型温度が高いほど (n
1-n
3) が減少するのは, Tgまで冷却される時間が長く, その間に流動による分子配向が緩和することと, Tgと型温度との差が小さいので, 冷却時の型内での拘束力が小さいためと考えられる (4) このような成形円板の複屈折挙動は熱膨張要素と四要素模型からなる力学的モデルによって説明することができる.
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