ポリ塩化ビニル (PVC) 微孔膜製造における製膜機構を検討する目的で, PVC溶液からの製膜条件 (例えば, 溶媒種と蒸発時間) の膜構造に及ぼす影響について検討した. PVCと5種の溶媒 (ジメチルホルムアミド, ジメチルアセトアミド,
N-メチルピロリドン, ヘキサメチルボスホルアミド, テトラヒドロフラン) から得られる膜は, 大別して, (1) 均質膜, (2) 多孔度が高く膜厚方向に円筒孔構造を有する多孔質膜, (3) 多孔度が低く網日構造を有する多孔質膜, となった. PVCとジメチルホルムアミド溶液からの製膜において, 蒸発時閥が5~120分の間で得られる膜は, (2) および (3) の多孔質膜となった. 以上の製膜過程において, 網目構造を有する多孔質膜となる場合, 常にPVCのミクロ相分離による自化現象が観察されることから, 相分離の進行程度が膜構造形成に重要な役割を演ずることを見いだした.
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