高分子論文集
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35 巻, 7 号
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  • 門磨 義則, 中林 宣男, 増原 英一, 山内 淳一
    1978 年 35 巻 7 号 p. 423-427
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    生体組織と好ましい相互作用が期待される医用材料を開発するために, 2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン (MPC) を合成し, 単独重合ならびにメタクリル酸メチル (MMA) との共重合を行った. MPCの単独重合体のPMPCは吸湿性が大きく, 水溶性のポリマーであった. これらのポリマーを溶液状態ならびにフィルム状態にし, 赤血球サスペンジョンを用いて溶血テストを行った. 溶液状態でのテストからは, MPCの単独重合体はMPCに比較して溶血性が著しく増大することが判明した. フィルム状態では, 溶血性はポリマーの組成に依存し, MPC単位が11.0mol%の場合に溶血性は最大となり, MPC単位が29.8mol%に達するとPMMAと同程度になることが分かった.
  • 海老沢 文博, 星野 光利, 佐藤 行彦
    1978 年 35 巻 7 号 p. 429-433
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    空気中で紫外線照射された高密度ポリエチレンの劣化機構を, 機械的特性の変化と極性基の生成量との関係から調べた. ポリエチレン中の極性基生成量をフーリエ変換赤外分光光度計を用いて精度よく測定した結果, 劣化の進行度合はカルボニル基の生成量に比例せず, 劣化機構は次のように推論された. (1) 紫外線吸収剤を含有しない場合は, 劣化は主に分子鎖切断により進行する, (2) 紫外線吸収剤を含有する場合には, 劣化は橋かけ構造の生成により進行する. 高密度ポリエチレンの紫外線劣化の微視的パラメーターとしては, カルボニル基の生成量より分子量や分子量分布, ゲル分率などの方が適切であると考えられるに至った.
  • 広瀬 幸夫, 清水 晃
    1978 年 35 巻 7 号 p. 435-440
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニル (PVC) 微孔膜製造における製膜機構を検討する目的で, PVC溶液からの製膜条件 (例えば, 溶媒種と蒸発時間) の膜構造に及ぼす影響について検討した. PVCと5種の溶媒 (ジメチルホルムアミド, ジメチルアセトアミド, N-メチルピロリドン, ヘキサメチルボスホルアミド, テトラヒドロフラン) から得られる膜は, 大別して, (1) 均質膜, (2) 多孔度が高く膜厚方向に円筒孔構造を有する多孔質膜, (3) 多孔度が低く網日構造を有する多孔質膜, となった. PVCとジメチルホルムアミド溶液からの製膜において, 蒸発時閥が5~120分の間で得られる膜は, (2) および (3) の多孔質膜となった. 以上の製膜過程において, 網目構造を有する多孔質膜となる場合, 常にPVCのミクロ相分離による自化現象が観察されることから, 相分離の進行程度が膜構造形成に重要な役割を演ずることを見いだした.
  • 杉井 新治, 細野 正夫, 北丸 竜三
    1978 年 35 巻 7 号 p. 441-448
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    カルボキシメチル化PVA-アミノアセタール化PVA複合体熱処理物の膨潤性をその構造 (イオン結合およびアミド結合と水素結合の生成) と関係づけて調べた. 当量組成の複合体熟処理物の水膨潤度は, これをイオン結合とアミド結合との橋かけ物であるとして, 非イオン的網目の高分子に関するFloryの式より計算される膨潤度に比較して著しく小さいことが認められた. pHを異にする浸せき液中での熱処理物の膨潤的挙動から, それは熱処理によりアミド結合と同時に生成するアミノ基による水素結合に起因するものであることを明らかにした. 複合体の無緊張下における熱処理物は水中において優れた機械的性質を示した. X線解析よりこの複合体は熱処理に関係なく非晶性であることが認められた.
  • 中村 儀郎, 森 邦夫
    1978 年 35 巻 7 号 p. 449-453
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    エピクロルヒドリンゴム (CHR) とそのエチレンオキシド共重合ゴムの共橋かけをDiakNo. 1-Pb3O4と6-アニリノ-1, 3, 5-トリアジン-2, 4-ジチオール (AF) -金属酸化物の二つの橋かけ系で行った. DiakNo. 1-Pb3O4系はCHRとCHCの混合比に関係なく, 一定の橋かけ速度と均一な橋かけ物を与える. AF-MgO系も均一な橋かけ物を与えるが, その速度はCHRとCHCの混合比に依存し, ある混合比で橋かけ速度定数kは極大となる. すなわち, kは混合比で変化する. この極大となる混合比で活性化エネルギーは約18.7kcal/molとすべての混合比について最も低い値を示した. 極大値kとこのときの混合比は金属酸化物の影響を受けた. 以上の結果は, AFとMgOの反応で生成したAF・MgがCHRとCHC分子セグメント中のエーテル基の集合によって生成したルイス塩基の場によりクラウンエーテルと同様の作用を受けで活性化されるためと説明される.
  • 上野 博, 大塚 晋也, 平 和雄, 岸本 昭
    1978 年 35 巻 7 号 p. 455-459
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    反応染料でラベルする方法を用いてミクロスベクトロフォトメトリーにより溶融状態でのナイロン12の拡散係数を求めた. 約1000分子に2分子の割合でアミノ末端が反応染料 (C.I. Reactive Red 9) でラベルされたナイロン12から成る試料膜と, 全くラベルされていない同じナイロン12の試料膜とを, 溶融状態で一定時間密着したときに両試料膜の界面付近に生じる染料の濃度分布をミクロスペクト繋フォトメーターで測定し, 得られる濃度一距離曲線を解析して拡散係数を求めた. この曲線についてBoltzmann変換を用いる方法で拡散係数の濃度依存性を調べたところ, 濃度依存性は認められなかった. 又, それらはアレニウス型の温度依存性を示し, その見掛けの活性化エネルギーは溶融粘度の見掛けの活性化エネルギーとよく一致し, 溶融状態での高分子の拡散挙動と粘性挙動とが同一の分子機構で記述されるという従来の説を支持する結果が得られた.
  • 上野 博, 大塚 晋也, 岸本 昭
    1978 年 35 巻 7 号 p. 461-466
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    分子量分布の狭いポリスチレン (分子量2100, 4000, 37000) から調製したクロロメチル化ポリステレンのクロロメチル基にスチルベン系けい光分子を無水塩化アルミニウムを触媒として反応させた. 未反応のけい光分子はGRCを用いたカラム分別によって取り除き, 反晦生成物2100-F, 4000-F, 37000-Fを分取した. 反応生成物と遊離のけい光分子の系についてけい光の偏光度測定を行った結果, 以下のことが明らかとなった. 絶対零度に外挿した偏光度, P0の値は分子量によって変化せず, 又, このP0の値は遊離のけい光分子を分散させた場合とよく一致した. 溶融状態のポリスチレンに分散させた反応生成物のlocal viscosityおよびlocal diffusion coefficientは遊離のけい光分子を相当する分子量のポリスチレンに分散させた場合とよい一致を示した.
  • 上出 健二, 宮崎 幸雄
    1978 年 35 巻 7 号 p. 467-470
    発行日: 1978/07/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ナイロン6をフェノールーテトラクロルエタンーn-ヘブタン系の逐次分別沈殿法 (20℃) を利用して分別した. 分別試料の数平均分子量Mno-クロロフェノールを溶媒 (45℃) として膜浸透圧法, および, フェノールーメタノールを溶媒として末端基定重法で測定した. 文献データも含めて, 試料の分子重分布の幅の効果を補正したナイロン6のaq. 96%濃硫酸溶液のMark-Houwink-Sakurada (MHS) 式 (25℃) としで [η] =3.32×10-2 Mv0.780を確立した. 粘度データをStockmayer-Fixman, および, Kamideらの方法で解析して, 特性比C=6.0を得た.
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