高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
38 巻, 10 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 畑田 研司, 小林 弘明, 増田 豊, 北野 幸重
    1981 年 38 巻 10 号 p. 615-621
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    低温プラズマを利用し, ポリエチレンテレフタレート繊維 (PET繊維) ヘフルオロアルキルアクリラート (FAA) のグラフト重合を試みた. FAAはプラズマ処理されたPET繊維表面へ100~2,000Åの厚さで均一にグラフト重合した. その時のグラフト率は1~5%であった. グラフト重合は装置内へ漏れてくる空気によって影響を受けた. グラフト重合ポリマーの比重および屈折率は各々1.1, 1.2で, 乳化重合で得られたポリマーの値1.7, 1.4に比べ極端に小さかった. この低屈折率のグラフト重合ポリマー層は反射防止膜となり, グラフト重合PET繊維布の光反射率は未処理布に比べ低下した. また染色布では著しい色の深みが得られた. このことから合成繊維が天然繊維に比べ色に深みのない原因が, 合成繊維の高い屈折率に伴う表面反射に起因するものであり, 低屈折率モノマーのプラズマグラフト重合によって改善できることが明らかになった.
  • 山口 慎司, 沢 五郎, 家田 正之
    1981 年 38 巻 10 号 p. 623-628
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    筆者らはシングルプローブ法によるプラズマ重合膜の膜厚評価法を開発した. しかしこの膜厚評価法による結果と他の評価法による結果は, 実験条件などの相違も原因し, 良い一致が得られていない. 本論文は, この膜厚の差を検討しプラズマ重合膜の成長過程を考察したものである. その結果, 膜成長過程には, 膜生成基板の形状と重合休止時間の有無が関与することがわかった. 基板の形状が, 平板状と円筒状の場合, 後者の方が膜成長速度が大きい. これは膜生成時に基板周囲に形成されるイオンシースの広がりのため, 円筒状基板は単位面積当たりの荷電粒子の流入数が増加するためである. 一方重合休止時間では, 重合放電中止後, 反応管内を排気して放置した基板上で膜厚増加が見られた. これは, プラズマ重合時に生成したラジカルが膜中に残存し, 管内の残留モノマーガスを吸着して, 重合休止時間中にも, ラジカル重合が進行していることを示唆している.
  • 長田 義仁, 入山 裕, 高瀬 三男
    1981 年 38 巻 10 号 p. 629-634
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高周波低温プラズマ照射によるメタクリル酸2-ヒドロキシエチル (HEMA), アクリルアミド (AAM), およびメタクリル酸 (MAA) の溶液重合を行った. 用いた溶媒は, 水, エタノール, DMSO, およびDMFで, このうち水のみがどのモノマー種の場合にも特異的に高い速度で重合を起こすことが明らかになった. また, 水溶液中における見掛けの重合速度は, 共存する水の量に鋭く依存し, 水濃度が50% (v/v) 近傍で最大となった. プラズマ中における水蒸気分圧や, 他の重合開始方法との比較から, プラズマを生成する気体中における水蒸気の存在が開始過程に重要な役割を果たしているものと推論した. 水溶液におけるプラズマ開始重合を利用して, AAM-MAA水溶性ブロック共重合体を合成した.
  • 長田 義仁, 入山 裕, 橋爪 正文
    1981 年 38 巻 10 号 p. 635-640
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    高周波低温プラズマをヘキサクロロシクロトリホスファゼン (PNCl2) 3結晶に照射すると, 極めて効率よく重合することを見いだした. 重合反応はプラズマ照射と同時に起こり, 重合速度はプラズマ出力の1.5次に比例する. 生成した重合体は, 一部橋かけした白色のゴム状で, IRスペクトルによる-P=N-の結合の存在から, 開環重合していることが明らかになった. また (PNCl2) 3に1~5分という短時間プラズマを照射した後, 昇温下で後重合させても, 効率的に重合することがわかった. (PNCl2) 3の塩素原子をエトキシ基, およびn-プチルアミノ基に置換した, いわゆるオルガノホスファゼンに対しても同様にプラズマ開始重合を試みたが, ゴム弾性を示す高重合体は得られなかった.
  • 森田 慎三, 池田 晋, 石橋 新太郎, 家田 正之, 乗松 孝好, 山中 千代衛
    1981 年 38 巻 10 号 p. 641-647
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    レーザー核融合用ペレットターゲットの多層構造の一部をプラズマ重合膜コーティング法によって形成する方法を検討した. プラスチック, 金属ドーププラスチック, および低密度プラスチックよりなる各層を枝付きガラス球, ガラス棒, および板にコーティングした. 高周波放電電界中での荷電粒子, およびガス流中の電気的に中性な活性粒子の振舞が一様膜厚コーティングの考察の中で議論された. エタンおよびスチレンがプラスチックコーティングに用いられた. しかし, コーティング速度と表面精度はヘキサフルオロプチルメタクリレートを用いることによって改善できた. テトラメチルスズとスチレンの2層コーティング, およびスチレンの粉状層コーティングが可能であることが確認された.
  • 穂積 啓一郎, 北村 桂介, 橋本 博史
    1981 年 38 巻 10 号 p. 649-655
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    含窒素芳香族化合物であるピリジンおよびアニリンをモノマーとして, プラズマ重合により得られる膜状物質の化学構造を検討した. 含窒素モノマーより得られるプラズマ重合膜は一般に親水性を持つが, 膜に含まれる親水性官能基の探索を, 赤外吸収スペクトル, 核磁気共鳴スペクトルおよび化学的修飾反応などを用いて行った結果, 含窒素官能基として, アミン類, ニトリル, イミン型窒素 (複素環窒素含む), アミド類の存在することがわかった. これらの基は両ポリマーに共通して見られるが, 存在比は異なる. また両ポリマーの赤外, 核磁気共鳴スペクトル, 元素分析, 分子量測定および高分解能質量スペクトルを総合して検討した結果, 骨格上の相違が見られる反面, 重合過程における多少の窒素脱離やおそらく二次的な空気酸化による酸素原子の膜内取り込みなど共通した特徴も認められた.
  • 森田 慎三, 服部 秀三, 家田 正之, 玉野 順次, 山田 雅雄
    1981 年 38 巻 10 号 p. 657-664
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    真空リソグラフィを実現するため, レジストをプラズマ重合法によって合成し, レジスト上の描画パターンをプラズマエッチングによって現像することを試みている. 放電周波数13.56MHz, アルゴンガス流形プラズマ重合装置を用いたときの, レジスト合成の最適条件を調べた. アルゴンガス流量の多い, 放電電力の小さい領域で, モノマーの分子構造の分解の少ない重合膜が得られた. ボジ形レジストとして, MMAと6FBMAの重合膜, およびそれらとスチレン, TMTとの共重合膜が合成された. 電子線で描画されたバターンを, 酸粟-アルゴン混合ガス, および水素ガスを使用したプラズマエッチングによって現像し, レジストとしての特性を評価した. その結果, 単一のモノマーを使用するよりは, 共重合膜にすることによって特性が改善され, 更に水素ガスのプラズマェッチングによって, 10μC/mm2以上のレジスト感度が得られることが推測できるようになった.
  • 稲垣 訓宏, 陳 克紹, 門目 信夫, 勝浦 嘉久次
    1981 年 38 巻 10 号 p. 665-672
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    テトラメチルシラン (I), テトラメチルシラン/窒素 (II), ヘキサメチルジシラザン (III) からのプラズマポリマーの化学組成, 構造, および二, 三の性質について検討した. いずれのモノマーからのポリマーもその元素組成はモノマーのそれと異なり, 水素含量の低下と, 酸素および窒素含量が増加する. (I) および (III) からのポリマーはよく似ており, 主にSiO, SiOSi, SiH, SiCH3, SiCH2CH2Si基よりできている. なお, (III) からのポリマーにはSiNHSi基も含まれる. 一方, (II) から得られるポリマーにはCH3, CH2基が少なく, SiOSi, SiC基が多い. 得られたポリマーフィルムはいずれも有機溶媒に不溶で, 通常のポリマーと同程度の臨界表面張力を持つ. 窒素の混合によって臨界表面張力を構成している分散項と, 極性項の割合を変えることができる. 得られたポリマーフィルムはいずれも紫外領域に吸収をもつが, 窒素濃度を変えることによって, その吸収位置を長波長側に移動することができる. (I), (II), (III) からのポリマーは通常の重合法で得られたポリジフェニルシロキサンより熱安定性に優れている. 窒素の混合は熱安定性の面では害であり, 高温での残存重量の点からみると, (I) からのポリマーが一番熱安定性に優れている.
  • 陳 克紹, 稲垣 訓宏, 勝浦 嘉久次
    1981 年 38 巻 10 号 p. 673-680
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    テトラメチルシラン (TMS) のプラズマ重合におけるアルゴン (Ar), 酸素 (O2) およびテトラフルオロメタン (CF4) を混合した影響を検討した. TMS/Ar, 特にTMS/O2系から析出したポリマーはTMSからのポリマーに比べ炭素と水素元素の含量が減少し, 酸素が多くなる. 析出したポリマーはCH3, CH2基が減少し, SiO基が増加する. 一方, CF4を混合すると, 析出したポリマー中にフッ素を含み, ケイ素成分が減少する. ついにはTMS/CF4=1/1で, 析出したポリマー中にケイ素が含まれなくなる. これらの影響は臨界表面エネルギーに反映している. ガスの混合によって析出したポリマーの表面エネルギーの分散項が減り, 極性項の表面エネルギーが増加した. また析出したポリマー表面の硬度もTMSの3H (鉛筆硬度) から6H以上まで改良された. しかし, 熱安定性はTMSからのポリマーと比べ, ガスの混合によって悪くなる. 以上の結果は, TMSからのポリマーの性質はArおよびO2の混合によって, 大幅に変えることができることを示唆している.
  • 中村 修平, 山中 三四郎, 山口 慎司, 沢 五郎
    1981 年 38 巻 10 号 p. 681-686
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    プラズマ重合スチレン膜 (PPS膜) の誘電特性および水素またはアルゴンプラズマ処理による誘電特性の改善の効果をESRに基づいて検討した. PPS膜のESR信号の半値幅および誘電正接tanδは温度に対して不可逆的なピークを示す. これは残留する低分子量分子の分子運動と高分子化の加熱による促進によって説明された. 水素またはアルゴンプラズマ処理を施したPPS膜のtanδは, 未処理PPS膜のそれに比べて小さくなり, かつ空気中熱処理しても増加しない. これは, プラズマ処理により低分子量分子が高分子化するためと考えられた. 更に, 膜の表面層がプラズマ処理により極めて高度に橋かけするために, 酸素のパルク中への拡散が抑制されるために, 酸化が生じにくいと結論された.
  • 増岡 登志夫, 安田 弘次
    1981 年 38 巻 10 号 p. 687-692
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    反応条件設定の容易なRF誘導型反応器を用いテトラメチルジシロキサン, 四フッ化エチレン (TFE) プラズマ重合を行いポリマー化学構造の電力依存性や反応器壁基材依存性について赤外, X線光電子分光法 (ESCA) により知見を得, プラズマ重合再現性評価法としての有効性に関し検討した. KBrなどの粉末を基材として用い, 反応後錠剤化し赤外スペクトルを測定, 前者シロキサンポリマー中のメチル基/シロキサン結合吸収強度比から電力50W以上でメチル基の減少が止まり, Si-C結合生成も盛んとなることが示され, TFEプラズマではガラスからの六フッ化ケイ素塩生成が確かめられ, また有機フッ化ケイ素塩生成も示唆され, プラズマのエッチング能や分解反応を反映することが明らかとなった. ESCA C1sピーク成分分解によればポリマー構造の主変化は中間電力領域20~60Wで起こり, 必ずしもプラズマの性質変化と平行していないことが明らかにされた.
  • 浅井 道彦, 幸坂 享
    1981 年 38 巻 10 号 p. 693-699
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    軟質ポリ塩化ビニルのシートを基板に, 外部電極 (13.56MHz) で発生させたアルゴングロー放電プラズマの拡散グローによる, ピリジンのプラズマ重合を, 表面改質の観点から検討した. 走査および透過電子顕微鏡による処理断面の観察, ATRおよびESCAスベクトル測定による表面構造の解析から, 気相の粒子形成と表面の均質な膜形成が同時に進行し, 重合膜にはニトリル基とカルボニル基などが存在すると推定した. また, 接触角の測定から, Kaelble法で表面張力を解析し, 処理による親水化が表面張力の極性成分の増加に帰せられることを明らかにした. さらに, 高度に橋かけした重合膜は, 可塑剤が樹脂内部から, 接触相のヘキサンやポリスチレンに外部移動するのを妨げる拡散障壁になることを示した.
  • 安田 武, 奥野 温子
    1981 年 38 巻 10 号 p. 701-708
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    繊維に及ぼす, 空気と窒素の容量結合型電極グロー放電の影響について, ガス流量, 放電電力, 処理時間の影響を調べた. その結果, 繊維の重量減少は, 処理時間に比例する. また重量減少速度は, 放電電力とガスの種類に影響され, エーテル結合や, カルボニル基, 水酸基を持つ繊維は, プラズマによって非常におかされやすく, 窒素プラズマは繊維をあまり分解しない. プラズマ処理した繊維の表面の形態を未処理のものと比べてみると, 繊維の種類によって非常に異なる.
  • 石川 善英, 本田 憲治, 笹川 滋, 畑田 研司, 小林 弘明, 添田 房美, 吉村 堅次, 井垣 浩侑
    1981 年 38 巻 10 号 p. 709-715
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    グロー放電処理した軟質ポリ塩化ビニルの表面物性と血小板粘着性を調べた. 放電にはCOまたはCOと他の気体 (Ar, N2, H2O, NH3, CF4など) の混合気体を用いた. 放電によりポリ塩化ビニルの最外層は密に橋かけされ, そのすぐ内側には少し橋かけされた2層が形成された. この2層の厚さは, およそ2,000~3,000Åであった. 橋かけ反応には主にポリ塩化ビニルの側鎖 (C-Cl結合) の切断により生成したラジカルどうしの結合と, この生成ラジカルと放電により生成した励起種の結合が考えられる. フッ素系のモノマー気体を用いると表面は疎水性となり, その他の気体では親水性となった. 放電処理によりシリコーンとの接着性が向上した. このようなポリ塩化ビニルからつくられたバッグに血小板を保存すると, 血小板のバッグ内表面への粘着は強くなったが, 可塑剤の溶出が顕著に減少されたため, 保存血小板の凝集能の経時的低下が抑制されることが確認された.
  • 上田 裕清, 福冨 幸雄, 芦田 道夫
    1981 年 38 巻 10 号 p. 717-724
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    各種気体 (アルゴン, 窒素, 酸素) のプラズマ中で, ポリエチレン (PE) を加熱分解してその構造を赤外分光法および電子スピン共鳴スベクトルにより調べた. また分解PEをPE板, アルミニウム (Al) 板およびポリテトラフルオロエチレン板上に付着させ, 付着面を加圧接着し接着強度を求めた. 酸素プラズマ照射された分解PEには水酸基, カルボニル基が導入され, 基板とのぬれは向上した. プラズマ照射された分解PEには, アルキル型およびアリル型ラジカルが生成し, その半減期は約4日であった. Al板の酸素プラズマ照射されたPEによる接着は, その融点以下で接着し, 加圧成形温度200℃で接着力は急激に増大した. 3種の基板の分解PEによる接着には, 分解PEの酸素プラズマ照射と基板のプラズマ処理が最も有効であった.
  • 児玉 亮, 広津 敏博, 井島 宏, 前田 肇, Marcel E. NIMNI
    1981 年 38 巻 10 号 p. 725-731
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    血小板を凝集および粘着させない修飾コラーゲンをプラズマ処理により人工血管に結合させ, その生体適合性と抗血栓性を検討した. グルタルアルデヒド処理により線維状コラーゲンの血小板凝集能は低下した. また, コラーゲンの線維形成を阻害すると凝集能は喪失した. 線維状コラーゲンもコンドロイチン硫酸とイオン結合すると血小板凝集能を失う. ヒアルロン酸はコラーゲンの血小板凝集能に影響を与えなかった. コラーゲン線維・コンドロイチン硫酸複合体膜は, 血小板の変形も小さく, 血漿たんばく質の吸着も抑制した. ポリエステル製人工血管をプラズマ処理して, コラーゲンを結合させ, 次に, コンドロイチン硫酸をイオン結合させた. これを成犬静脈に置換した. 急性実験 (3時間) では, フィブリン形成や血小板付着が抑制されていることがわかった. 長期 (3~6か月) 開存例もあり, 安定な偽内膜形成が観察された.
  • 高田 亮, 明石 和夫, 谷口 平光
    1981 年 38 巻 10 号 p. 733-740
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    複探針法により, シリコン窒化用の高周波プラズマを測定した. 探針測定回路と装置について, 詳しく解説し, 探針理論についても述べた. 圧力, 実効出力をパラメーターとし, 反応管内の軸方向, 半径方向の電子温度, 電子密度, 浮動電位の分布および, 変化の傾向を調べた. 電子密度は一様に反応管壁に向って放物線的に減少するが, 電子温度と浮動電位の分布については, 誘導コイル直下にかなりの不均一性を見いだした. N2-H2, N2-Heの混合ガスについて, 電子温度, 魁子密度を測定したところ, いずれの場合も, 純N2ガスと比較して顕著な上昇が見られた. シリコンウエハーのプラズマ窒化処理を, 圧力, 実効出力, 処理位置を変化させて行い, 生成した窒化膜と, 測定したプラズマ諸量の関係について, 簡単に論じた. 以上の結果から, 複探針法がプラズマ窒化処理のモニターに使用できる可能性のあることがわかった.
  • 柳原 健児, 勝田 哲男, 新井 洸三, 新海 正浩
    1981 年 38 巻 10 号 p. 741-747
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    チュープラーフロータイププラズマ重合リアクターを用いた場合の, 重合プラズマの電子温度, 電子密度などのプラズマバラメーター, およびフラグメントイオン種やオリゴマーイオン種の分布を, 熱探針法と質量分析法を用いて測定した. 本研究の目的は, このようなパラメーターのリアクター内での位置依存性および時間変化を調べることによって, プラズマ重合の再現性について考察することであった. このタイプのリアクターでは, 条件によっては電子温度や電子密度の位置による違いがきわめて大きいと同時に, それぞれの位置でのフラグメントイオンやオリゴマーイオンの分布も大きな違いがあることが示された. また, これらイオンの分布の時間変化も大きく, 従来用いられてきた電力, 流量, 圧力などの操作バラメーターだけではプラズマ重合が十分コントロールされない場合があることが示された.
feedback
Top