テトラメチルシラン (I), テトラメチルシラン/窒素 (II), ヘキサメチルジシラザン (III) からのプラズマポリマーの化学組成, 構造, および二, 三の性質について検討した. いずれのモノマーからのポリマーもその元素組成はモノマーのそれと異なり, 水素含量の低下と, 酸素および窒素含量が増加する. (I) および (III) からのポリマーはよく似ており, 主にSiO, SiOSi, SiH, SiCH
3, SiCH
2CH
2Si基よりできている. なお, (III) からのポリマーにはSiNHSi基も含まれる. 一方, (II) から得られるポリマーにはCH
3, CH
2基が少なく, SiOSi, SiC基が多い. 得られたポリマーフィルムはいずれも有機溶媒に不溶で, 通常のポリマーと同程度の臨界表面張力を持つ. 窒素の混合によって臨界表面張力を構成している分散項と, 極性項の割合を変えることができる. 得られたポリマーフィルムはいずれも紫外領域に吸収をもつが, 窒素濃度を変えることによって, その吸収位置を長波長側に移動することができる. (I), (II), (III) からのポリマーは通常の重合法で得られたポリジフェニルシロキサンより熱安定性に優れている. 窒素の混合は熱安定性の面では害であり, 高温での残存重量の点からみると, (I) からのポリマーが一番熱安定性に優れている.
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