高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
41 巻, 8 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 橋田 勲, 中川 明郎, 西村 正人
    1984 年 41 巻 8 号 p. 429-435
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    膜を構成する高分子の化学構造と水-アルコール分離性との相関性を, 化学組成及び構造の異なる11種類の膜を用い, C1~C3のアルコール水溶液系で検討した. その結果, 膜は分離性によって三つのグループに分類できた. 第1は水を選択的に透過するグループで, 橋かけした荷電膜, 酢酸セルロース膜, 芳香族ポリアミド膜など8種類がこれに属する. 第2は分離性を示さないグループでポリ-4-ビニルピリジン系膜とポリアクリロニトリル系膜である. 第3はアルコールを選択的に透過する膜で, ポリフッ化ビニリデン膜がこれに当たる。同一膜では, アルコール分離率はアルコール分子の形状や大きさによって変化し, アルコール透過性膜ではアルコールの溶解度パラメーターが大きくなると透過率が増加した. また, 操作圧, 温度と濃度の実験条件によっても分離率は若干影響を受けた.
  • 相田 博, 漆崎 美智遠, 笠松 丈一, 黒川 泰, 野村 新司
    1984 年 41 巻 8 号 p. 437-443
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    数種の組成の異なるメタクリル酸メチル-無水マレイン酸共重合体 (MMA-MAn) について窒素気流中あるいは真空中で180~300℃の温度範囲で熱分解を検討した. 共重合体は180℃まで安定であるが, それを越すと初めに主鎖の切断が起こる. 主鎖切断の速度定数は共重合体のMAn組成が増すとともに増加する. 重量減少は270℃前後より著しくなり, 主な分解生成物はオリゴマー, メタクリル酸メチル (MMA), メタノール及び炭酸ガスである. MMAの生成はMAn組成の増加とともに減少するが, メタノール及び炭酸ガスの生成は逆の傾向を示す. とくにメタノールの生成はMMA単位に隣接する酸無水物基が影響している. これらの結果をもとに分解機構を推定した.
  • 伊藤 精一
    1984 年 41 巻 8 号 p. 445-452
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    アクリロニトリル/酢酸ビニル共重合体 (93/7重量比) をSO2/過硫酸カリウム系レドックス開始剤を用い水系連続重合により製造する方法において, 低水/モノマー比の重合系におけるポリマー粒子形成の過程について, ポリマー粒子は粒子径0.5~5μmの二次粒子よりなる粒子径20~60μmの三次粒子であり, この二次粒子は粒子径0.1~0.2μmの一次粒子より成ると言う前報の観察結果に基き, 本文記載の前提条件のもとにシミュレーションを行い, (1) 水/モノマー比減少に従い二次粒子は小さくなる傾向にあること, (2) この傾向は主に液相部の一次粒子生成速度の増加と一次粒子径減少の効果によること, (3) この傾向より前報で認めた水/モノマー比減少に従う二次粒子凝集性増加とこれに対応する三次粒子緻密化をある程度説明しうることがわかった.
  • 原 遵司, 寺前 紀夫, 斉藤 純, 田中 誠之
    1984 年 41 巻 8 号 p. 453-458
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    スチレンの熱重合における開始反応機構解明を目的とし, その第一段階として, スチレンとバラメトキシスチレン (PMS) の熱重合により得られた共重合オリゴマーの電界脱離質量 (FDMS) スペクトルを測定し, 分子種の解析を行った. その結果, このオリゴマーには分子量342, 372及び402に該当する分子種が多量に含まれていることがわかった. 更に, この共重合オリゴマーのFDMSスペクトルとスチレン及びPMSそれぞれ単独のオリゴマーのスペクトルとを比較検討した結果, 分子量342, 372及び402に対応する分子種の多くの部分が, かご反応により生成したとするのが妥当であるとの結論を得た.
  • 宮内 信之助, 斎藤 和美
    1984 年 41 巻 8 号 p. 459-463
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    硬化促進剤としてナフテン酸コバルトを用いた場合と用いない場合の2種類のアセチレンブラック・不飽和ポリエステル樹脂系の抵抗体が作られた. ナフテン酸コバルトを用いた抵抗体の抵抗率は, 0.2重量%のアセチレンブラック濃度で急激に減少し, 一方, 硬化促進剤を含まない試料の抵抗率は1.5重量%で減少した. 40~140℃の範囲で温度に対する抵抗変化率が調べられ, いずれの試料も正の温度係数を示したが, 硬化促進剤を用いた系の変化率はより小さかった. また, 抵抗率の電圧および周波数に対する依存性を測定したが, 硬化促進剤を用いた抵抗体は電圧または周波数変化に対して用いない系よりはるかに安定であり, 抵抗素子材料として非常に優れた特性を示した.
  • 山口 格, 佐々木 栄一, 前沢 次朗
    1984 年 41 巻 8 号 p. 465-471
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ナイロン6へのメタアクリロニトリル (MAN) とプロピレンオキシド (PO) のアニオングラフト重合について検討した. 液安-メタル溶液中で生成したε-カプロラクタムアニオンによりMANは容易に重合し, ε-カプロラクタムがポリマー末端に結合していることがわかった. カリウムでメタル化したナイロン6へのMANのグラフト重合速度は, ナトリウムでメタル化したナイロン6への速度より大きい. グラフト率はモノマー転化率とともに増加し, グラフト効率は転化率が40%を越えると急に増加した. POのナイロン6へのグラフト重合は40℃でも容易に進行し, アミド基のメタル化度 (M/-CONH-) が0.25の時, ポリマー収量が最大値を示した. 枝ポリマーによるアミド基の置換度は0.42で枝ポリマーの重合度は3.8であった. グラフトポリマーは短い枝を多数持っていることがわかった.
  • 奈倉 正宣, 橋本 浩二, 石川 博
    1984 年 41 巻 8 号 p. 473-479
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    生体内に存在する結合組織のモデル物質として, トロポコラーゲンを熱変性させて得たゼラチンとムコ多糖の一つであるコンドロイチン硫酸C (CSC) とのブレンド物を作製し, 混合時の溶液状態と生成した膜状物中でのゼラチンとCSCとの相互作用について検討した. ゼラチンとCSCとの混合溶液の状態は, pHによりA) 白色凝集物を形成するpH<3.0, B) 繊維状凝集物を形成する3.0<pH<5. 2, C) 透明溶液となるpH>5.2の三つの領域に分けられる. 白色凝集物と繊維状凝集物中に含むことのできるCSC量はゼラチン1に対し, それぞれ最大0.5と0.3である. この相違はpHに依存した溶液中でのゼラチン分子の形態の相違によると考えられた. 白色凝集物と透明溶液のうちでCSC混合量の少ない物から得たキャストフィルムとは, 水中への溶解の際, 再生したヘリックスの溶解とは独立に高温で溶解する部分があることをみいだし, これはゼラチンとCSCとの相互作用領域と考えられた.
  • 高麗 和夫, 近藤 昇一, 飯村 一賀, 竹田 政民
    1984 年 41 巻 8 号 p. 481-483
    発行日: 1984/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アリルシアニドあるいはブチロニトリルとAlEtCl2との1対1錯体の13C NMRスペクトルの測定結果からニトリル炭素のケミカルシフトが大きく変化することよりAlEtCl2はニトリル基に配位していることが認められた.
    一方, 共役系のアクリロニトリルとAlEtCl2との錯体形成に際しては, ニトリル基の炭素の電子密度はほとんど変化しないことを見いだした.
feedback
Top