高分子論文集
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46 巻, 4 号
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  • 東村 敏延, 澤本 光男
    1989 年 46 巻 4 号 p. 189-201
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本論文はビニル化合物のカチオン重合において, リビングポリマーを生成する原理 (開始剤と反応条件の選択) と, リビング重合を用いた各種ポリマーの合成法の総説である. カチオン重合の生長種である不安定炭素カチオンと適当な強さの相互作用を持つ (i) 対イオン, あるいは (ii) 添加した弱塩基により炭素カチオンを安定化することによって, リビング重合が可能になることを明らかにした. 適当な条件を選ぶことにより, ビニルエーテル (VE) とスチレン誘導体などからリビングポリマーが合成された. 特に, 種々の官能基を持つVEのリビングカチオン重合を検討し, (i) 種々の官能基を持つ単分散分子量分布のポリマー, (ii) 末端官能基 (-COOH, -NH2など) を持つポリマー, (iii) マクロモノマー, (iv) 両親媒性ブロックポリマー, の合成法を確立した. また, 生長鎖濃度の定量法を見いだし, その寿命を測定し, 生成ポリマーのリビング性を確認した.
  • 小林 英一, 石塚 康弘, 高着 泰則, 古川 淳二
    1989 年 46 巻 4 号 p. 203-208
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    2, 5-チオフェンジチオールと2, 5-ジエチニルチオフェンの重付加反応をトルエン溶媒中, 60℃, 高圧水銀灯照射下で行った. 重付加反応は容易に進行し, 数平均分子量Mnが数万の黄褐色の新規ポリマーが生成した. この重付加体は一般の有機溶媒には不溶であり, 導伝率は10-14S/cm, I2 dopeで10-5S/cmであった. IRによると1355cm-1にシス, 925cm-1にトランスの特性吸収帯があり, シスは85%, トランスは15%と求まった. ミクロ構造の定量には, 2-チオフェンチオールと2-エチニルチオフェンの付加体を合成して用いた. MINDO/3法によると, 中間ラジカルのΔHの値は, シス体の中間ラジカルの方がトランス体の中間ラジカルより5.4kcal/mol低いが, 付加体のΔHの値は, トランス体の方がシス体より0.2kcal/mol低い. 重付加体のミクロ構造が主としてシスとなるのは, 付加の中間ラジカルの安定性が支配因子であるためと推定された.
  • 中川 裕一, 吉田 泰彦, 山下 忠孝, 古川 淳二
    1989 年 46 巻 4 号 p. 209-213
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    酸素ガス導入下で1, 3-ブタジエンのプラズマ重合を行い, ガラスやPTFE基板上に成膜させ, 生成した薄膜の構造と物性について検討した. X線光電子分光分析及び赤外分光分析の結果より, 薄膜中には, カルボニル基やカルボキシル基が含有されていることがわかった. また, 接触角の測定及び接着試験の結果から, 酸素ガスを導入することにより薄膜の水とのぬれ性及び基板との密着性が向上すること, さらに薄膜の表面親水性が数か月も保持されることが明らかとなった.
  • 土肥 義治, 徳弘 直子, 曽我 和雄
    1989 年 46 巻 4 号 p. 215-222
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    V (acac) 3-Al (C2H5) 2Cl可溶性触媒を用いて, -78℃, トルエン中で, 炭素数4から10までの直鎖ジオレフィンの重合を行った. 1, 4-ペンタジエン, 1, 5-ヘキサジエン, 1, 6-ヘプタジエン, 1, 7-オクタジエンはバナジウム触媒によって重合し, ポリマーを生成した. しかし1, 3-ブタジエン, 1, 8-ノナジエン, 1, 9-デカジエンは, 重合しなかった. 生成したポリ (1, 5-ヘキサジエン) 及びポリ (1, 7-オクタジエン) の分子量分散度 (Mw/Mn) は, 1.4と狭いものであった. 生成ポリマーの連鎖構造は, 1H及び13C NMRスペクトルによって解析された. ポリ (1, 6-ヘプタジエン) では, すべてのユニットが, 環化構造をとっていた. 一方, ポリ (1, 7-オクタジエン) では, 環化構造が検出されず, すべてのユニットは1個の二重結合をもっていた. ポリ (1, 4-ペンタジエン) 及びポリ (1, 5-ヘキサジエン) では, ほぼ50%のユニットが環化していることがわかった. これらの結果をもとに, ジオレフィンの重合反応機構を議論した.
  • 善国 麻佐子, 大和久 光治, 小池 康太, 小嶋 邦晴
    1989 年 46 巻 4 号 p. 223-231
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    トリブチルボラン (Bu3B) の空気中での安定性の改善を目的としてジブチルボリン酸エステル開始による重合について検討した. Bu3Bとアルコール, フェノール誘導体との反応によりそれぞれ脂肪族, 芳香族ジブチルポリン酸エステルを合成し, それらの重合開始挙動, 酸化反応についてBu3Bと比較検討を行った. Bu3Bによる重合では初期停止型の重合挙動を示すが, ジブチルボリン酸エステル開始による重合においては, ラジカル生成は緩慢になるが, ラジカルが重合反応に有効に使われることがわかった. ジブチルボリン酸エステルによるMMAの重合挙動はBu3Bのそれとほとんど同じであった. また, ジブチルボリン酸脂肪族エステルによる重合活性はほぼ酸素の吸収速度に比例したが, ジブチルポリン酸芳香族エステルの場合, 重合活性と酸素吸収速度との間に直接の関係は見いだせなかった.
  • 結城 康夫, 国貞 秀雄, 近藤 修寿
    1989 年 46 巻 4 号 p. 233-239
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    2, 4-ビス (p-ニトロアニリノ) -6-イソプロペニル-1, 3, 5-トリアジン [3] 及び2- (p-ニトロアニリノ) -4- (m-ニトロアニリノ) -6-イソプロペニル-1, 3, 5-トリアジン [4] の還元により, ビニル基を持つ芳香族ジアミンとして, 2, 4-ビス (p-アミノアニリノ) -6-イソプロベニル-1, 3, 5-トリアジン [1] 及び2- (p-アミノアニリノ) -4- (m-アミノアニリノ) -6-イソプロペニル-1, 3, 5-トリァジン [2] を合成した. [1] ~ [4] の単独重合及び [1], [2] (M2) についてはスチレン, メタクリル酸メチル (M1) との共重合を行い共重合パラメーターを決定した. [1], [2] からは側鎖にアミノアニリノ基を二つ持つポリマーが得られた. また, [1] 及び [2] と二塩化テレフタロイル, 二塩化イソフタロイルとの重縮合により, 側鎖にイソプロペニル基を持つポリ (アミドグアナミン) を合成した. 熱重量分析の結果, 熱分解温度は370℃であり, 熱安定性は良好であった.
  • 久保 雅敬, 山下 英記, 岩月 章治
    1989 年 46 巻 4 号 p. 241-244
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    [2.2] (2, 5) チオフェノファン [1], [2.2] (2, 5) フラノファン [2], 及び [2.2] (2, 5) フラノ (2, 5) チオフェノファン [3] について, ベーパーデポジション法による重合を検討した. 580℃の熱分解温度, 0℃及び-20℃の凝縮温度で, [1] は白色の丈夫なフィルムを生成した. そのIR, 元素分析はポリ (2, 5-チエニレンエチレン) [6] であることを示す. [2] は, デポジション温度が20℃と0℃のとき凝縮物が得られず, -20℃のときに無色のオイル状物が得られた. 1H NMRから2, 5-ジメチレン-2, 5-ジヒドロフラン [5] と認められる. [3] については, 0℃と-20℃の二つのデポジションチャンバーを設けた実験から, 0℃と-20℃のチャンバー内には, それぞれ, [6] のフィルムと [5] が生成した. このような反応挙動は, [5] の高揮発性及び低反応性を反映しているものと考えられる.
  • 矢野 潤, 樋口 陽子, 田中 孝昭
    1989 年 46 巻 4 号 p. 245-251
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    現在, 導電性高分子の重合法は多くの利点を有する電解法が主流であるが, その正確な重合機構はいまだに知られていない. もし重合機構が明らかにされれば, その化学的構造などの基礎的知見を知る上で重要な情報となるばかりでなく, 得られる導電性高分子の物性の制御なども可能になるはずである. 本報ではアニリン誘導体から得られる導電性高分子を対象として, 電気化学測定法により, 特に電極基板上における重合成長機構を解明することが試みられた. その結果, 重合初期においては溶存するカチオンラジカルが活性種となり, 液相重合によって基板上にシードポリマーが形成されることが示された. シードポリマーが電析した後は, 液相重合により重合成長する機構も認められたが, シードポリマー自身がモノマーを酸化し取り込みながら重合成長する独特の固相重合反応が生じることも明らかにされた.
  • ジチオカルバメート系Iniferterを用いるポリマー末端基の構造規制とその反応
    大津 隆行, 小林 幸哉, 栗山 晃
    1989 年 46 巻 4 号 p. 253-259
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ラジカル重合で生成するポリマーの末端基構造を設計するために, N, N'-ジエチル及びN, N'-ジメチルジチオカルバメート (1b及び1c), ベンジルN-エチルジチオカルバメート (2b) ならびにp-キシリレンビス (N-エチルジチオカルバメート) (3b) をiniferterとしてスチレン (St) 及びメタクリル酸メチル (MMA) の光重合を30℃で行った. その結果, 重合はいずれも均一系リビングラジカル重合機構に従って進行した. すなわち生成ポリマーの分子量は重合時間 (重合率) とともに増大し, 用いたiniferter中のジチオカルバメート基と同じ数のジチオカルバメート基が末端基として結合したポリマーが生成した. これらポリマーはさらに高分子光iniferterとして機能し, ポリマー鎖延長反応やブロックコポリマーの設計合成に応用できることがわかった.
  • 今井 清和, 塩見 友雄, 手塚 育志, 藤岡 徳之, 細川 孝夫, 上田 直紀, 藤田 健一
    1989 年 46 巻 4 号 p. 261-267
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    種々の芳香族ビニルエステル類のラジカル重合を行い, そのケン化により得られるポリビニルアルコール (PVA) の立体規則性を13C NMR測定により求めた. その結果, カルボニルーフェニル基間で平面構造をとりうる芳香族ビニルエステル, すなわち安息香酸ビニル及びこのm-, p-置換体より得られるPVAは, いずれもわずかではあるが, 完全atactic-構造よりはiso-richであった. 一方, o-クロル安息香酸ビニル, フェニル酢酸ビニルなどカルボニルーフェニル基間で平面構造をとりえないビニルエステルではアルキル置換ビニルエステル由来のPVA同様, 完全atactic-構造よりはsyndio-richであった. さらに, 種々のハロゲン置換安息香酸ビニル由来のPVAの立体規則性の重合温度依存性について検討したところ, いずれも活性化エンタルピーが明瞭に負となり, 重合時におけるメソ生長がエンタルピー的に有利であることが示された. またm-, p-置換安息香酸ビニルの紫外線増感重合で得たPVAのisotacticityは紫外線を照射しない非増感重合で得られたPVAのそれに比して低いことが認められた.
  • 英 謙二, 鴨川 由美, 黒瀬 彰男, 白井 汪芳, 近藤 慶之
    1989 年 46 巻 4 号 p. 269-272
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    γ-ベンジル-L-グルタメート-N-カルボン酸無水物 (BLG-NCA) の重合速度に及ぼす磁場の効果について検討した. ジクロルメタン, ジブロモメタン中の重合において, 3600Gの磁場をかけると重合の促進効果が観察された. 得られたポリ (γ-ベンジル-L-グルタメート) (PBLG) の分子量も磁場をかけないときと比べ, 高くなることが認められた. 種々の反応温度で求めた重合の擬一次速度定数のArrheniusプロットから, 磁場は重合の活性化エネルギーすなわち活性化エンタルピーには影響しないことがわかった. 磁場の効果は活性化エントロピー項に関与し, BLG-NCAモノマーやPBLGの生長鎖を重合に適した状態に配列させると思われる.
  • 東 信行, 竹松 稔, 丹羽 政三, 白井 汪芳
    1989 年 46 巻 4 号 p. 273-276
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    高度な配向構造をもつ二分子膜表面における二次元重合反応について検討した. スチレンスルホン酸アニオンを対イオンとしてもつ重合性膜化合物ならびに類似の構造をもつザンテート型光開始剤を合成した. 両者から混合二分子膜水溶液を調製し, DSCによる相転移特性を調べた結果, 光開始剤はマトリックス膜の物理状態に影響を及ぼすことなく可溶化できた. 光開始剤の開始部位 (ザンテート基) と疎水鎖を連結するスペーサー長は, 光重合反応に大きな影響を与え, 開始部位が重合基近傍に位置制御されたときのみ有効に重合し, Mn=5×107に達する超高分子ポリマーが生成した.
  • 浜名 浩, 加藤 智由, 萩原 時男, 成田 正
    1989 年 46 巻 4 号 p. 277-279
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ジエチレントリアミン存在下リチオ化ジエチレントリアミン触媒によるイソプレンのオリゴメリゼーションを検討した. トルエン溶媒中80℃, 24 時間反応させることによりMGPC=500 (ポリスチレン基準) の単一ピークを示す生成物が得られた. 1H NMR, GC-MSなどの分析により生成物はジエチレントリアミンの3個のアミノ基にイソプレン4分子が1,4付加した2,14-ジメチル-5,8-ビス (3-メチル-2-ブテニル) -5,8,11-トリアザ-2,13-ペンタデカジエン (A) または2,14-ジメチル-5,11-ビス (3-メチル-2-ブテニル) -5,8,11-トリアザ-2,13-ペンタデカジエン (B) と結論された.
  • 木村 良晴, 城谷 健二, 山根 秀樹, 北尾 敏男
    1989 年 46 巻 4 号 p. 281-284
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    グリコール酸 (G) とD, L-りんご酸 (M) の混合単位よりなる新しい環状ジエステルモノマー (3- (R, S) - [ (benzyloxycarbonyl) methyl ] -1, 4-dioxane-2, 5-dione) の合成を行いその開環重合を検討した. L体モノマーと同様, 触媒にオクチル酸スズを用いて塊状, 溶液重合を行うことにより分子量8000程度のりんご酸β-ベンジルエステルーグリコール酸共重合体が高収率で生成した. そのGとM単位の主鎖配列はNMR解析より交互ではなくランダムとなっていた. 続いてこのポリマーをパラジウム炭素の存在下に水素化分解することによりベンジル基の脱保護が定量的に進行し, カルボキシル基を側鎖に有するD, L-りんご酸-グリコール酸共重合体が得られた.
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