フェノール硬化型エポキシ樹脂の硬化物物性に著しい影響を及ぼす橋かけ密度 (ρ
(E')) と自由体積分率の関係を調べるため, 4種類の硬化促進剤を用いて得られたρ
(E') が著しく異なる硬化物の緩和挙動を検討した. その結果, 緩和弾性率には温度引時間換算則が成立し, shift-factor α
Tはガラス転移温度より高温側数十℃の温度範囲でWLF式に従った. そこで, WLF式のパラメーターC
g1, C
g2を求め, これをもとに各硬化物の自由体積分率f
g及び自由体積の熱膨張係数α
fを算出した. しかし, これらの値は普遍値とは一致せず, ρ
(E') が高い硬化物ほどC
g1及びC
g2は大きな値を示し,
fg及びα
fは小さな値を示した. 一方, 各硬化物の比容積の温度依存性から予想される
fgはρ
(E') が高い硬化物ほど大きな傾向を示し, WLF解析結果と一致しなかった. また, 各硬化物の熱膨張係数から予想されるα
fはρ
(E') が高い硬化物ほど小さな値を示し, WLF解析結果と同じ傾向を示した.
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