荷電基密度の違うカルボキシメチルセルロース (CMC-H) と, 部分アニオン化させたポリアクリルアミド (PAAm-H) を種々の温度でpH滴定を行った. 見掛けの電離定数 (K
app), 電離のための静電自由エネルギー変化 (ΔG
iel) などを求め, 荷電基密度と温度が電離に及ぼす影響を定量的に検討した. CMC-H及び低荷電基密度のPAAm-H系は, 温度の上昇でpK
appが大きな値を示した。荷電基密度とΔG
ielの間には, 比例関係が存在した. 温度の上昇に対してCMC-Hでは, ΔG
ielが単純に増大した。しかし, PAAm-Hでは荷電基密度が高い系でΔG
ielは温度の上昇で減少し, 荷電基密度の最も低い系では他の系の1/10の小さな値で一定値を示した. このような温度とΔG
ielの関係は, 溶媒の誘電率の温度依存性と, 分子鎖の屈曲性の違いを強く反映していることが明らかになった.
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