フェノール型硬化剤 [トリスフェノールPA
R (TPPA) ] で硬化した三官能エポキシ樹脂 [TACTIX 742R (T742) ] は, T742の配合割合が化学量論的組成より多い場合, より高いガラス転移温度を示す. このT742/TPPA系は硬化反応に長時間 (230℃, 12h) を要するが, 硬化時間は, ホスファゼン誘導体; 1, 1-ジアミノ-3, 3, 5, 5-テトラ (パラクロロフェノキシ) シクロトリホスファゼン [ (PN)
3 (NH
2)
2 (OC
6H
4Cl)
4] (ACPP) の添加により短縮できる (230℃, 2~3h). 3成分系; T742/TPPA/ACPPでは, ACPPの配合割合が少ないほど, 硬化樹脂はより高い破断強度, より高い伸度, およびより高い熱分解に対する抵抗を示す. そして, ACPPの配合割合とは無関係に, TPPAの配合割合が少ないほどガラス転移温度は高い. 以上の結果より, T742/TPPA/ACPPの最適配合割合は化学当量化で1/0.8/0.1または1/0.7/0.1であり, このとき, T742/TPPA系と比べて硬化時間は1/4~1/6に短縮され, 硬化物の力学的性質および耐熱性はよくバランスがとれたものとなる.
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