高分子論文集
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51 巻, 12 号
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  • 椿原 啓, 岡村 洋, 吉村 斎, 林 光澤, 岡田 和之, 坂本 昭彦
    1994 年 51 巻 12 号 p. 759-763
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリアニリンの導電率, 分光吸収率の測定結果について報告する. キャスティングで製膜した試料を90~270℃で熱処理し, その後硫酸水溶液に浸漬した. 導電率は熱処理温度が低いほど高くなった. 190℃までの低温熱処理ではドーピングはアミンを酸化してイミンにし, そのことがポーラロンバンドの生成および自由キャリアの濃度を高めることになる. 高温熱処理では加熱により導入された構造変化, 分子鎖間結合, その他の化学反応がアミンの酸化を妨げ, ポーラロンバンドを生成しにくくし, 導電率を低下させる.
  • 天羽 悟, 西村 伸, 高橋 昭雄, 萩原 時男, 浜名 浩, 成田 正
    1994 年 51 巻 12 号 p. 764-770
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    反応性の異なる2種類の炭素-炭素二重結合を有するモノマーであるN- (4-ビニルフェニル) マレイミド (VPMI) とN-フェニルマレイミド (PMI) およびスチレン (St) との共重合を行い, 生成共重合体の熱特性について検討した. カリウムtert-ブトキド (tert-BuOK) を開始剤とするアニオン重合によりVPMIのマレイミド基とPMIとの共重合体であるPoly [VPMI-co-PMI] MIが得られ, 三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート (BF3・OEt2) を開剤とするカチオン重合ではVPMIのスチレン基とStとの共重合体であるpoly [VPMI-co-St] stが得られ. Poly [VPMI-co-PMI] MIは溶融性を示さないが, poly [VPMI-co-St] stはSt仕込比率が60mol%以上の場合に溶融性を示した. Poly [VPMI-co-PMI] MIの熱分解温度は411~434℃とほぼ一定で, 共重合組成に影響されないのに対, poly [VPMI-co-St] stの場合には384~461℃となり, St含量の増加に伴い低下した.
  • 前田 育克, 中山 敦好, 川崎 典起, 林 和子, 山本 襄
    1994 年 51 巻 12 号 p. 771-777
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    無水コハク酸 (SA), エチレンオキシド (EO), および第三成分として無水マレイン酸 (MA) または無水フタル酸 (PHA) からなる三元共重合体を合成した. それらの分子量, 熱的性質, および酵素的加水分解性に及ぼす第三成分の影響について検討した. 開環共重合により, モノマー仕込比とほぼ同じ組成の三元共重合体が合成され, それらの分子量 (Mn) は約24000から36000であった. 第三成分の導入による生分解性の影響についてコポリ (SA/EO) と比較してみるとMA含率が9%以下の共重合体では親水性が増し酵素による分解性は増大するがMA含率が9%を越えると抑制傾向が見られた. PHAを導入した場合, PHA含率が8%以下での共重合体では親水性であるにもかかわらず生分解性は含率の増加とともに若干抑制された. さらに, PHA含率が8%を越えると共重合体は疎水性となり生分解性は著しく減少した.
  • 折原 勝男, 長田 乾, 笹田 弘行, 竹林 裕之, 村山 勉, 成沢 郁夫
    1994 年 51 巻 12 号 p. 778-782
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    過塩素酸リチウム (LiClO4), ポリエチレンオキシド (PEO), ポリ酢酸ビニル (PVAc) からなる高分子固体電解質 (PSE) 上に蒸着したステアリン酸アルミニウム (SA-Al) 積層膜において, 上下面間に直流電圧を印加したときのPSEからSA-Al層へのLi+の移動をESCAスペクトルの測定によって検討した. その結果, PSE基板中で解離したLi+が蒸着膜中に拡散することがわかった, 拡散は-10, 4, 40℃の各温度で電圧印加したうち, 中間の温度域である4℃の場合に他よりも大きい. 拡散後のLi+は, SA-Alの酸素原子に配位するほかに, 一部は熱的に拡散したと思われる対イオンClO-4や, 何らかの不純物とも再結合していると考えられた. 本研究の結果は, 有機・無機積層超格子の構築において, 無機物質と有機物質を交互に蒸着するときに懸念される有機分子層の損傷を避ける方法, すなわちドーピング法の開発への応用が期待できることを考察した.
  • 星村 義一
    1994 年 51 巻 12 号 p. 783-788
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    赤外線散乱トモグラフィー法は, 試料を切断することなく, 非破壊・非接触試験であり, レーザ光の照明部分のみを画像化して観察することができる. この方法により, ポリエチレン樹脂に内在するボイドおよび放電により生じた放電孔を詳細に観察し, 電気トリーの発生と成長との関係を綿密に調べた. その結果, ポリエチレン樹脂内のボイドは炭酸リチウム添加処理により, 無処理よりも少なくなることを見いだした. また, 炭酸リチウム添加処理を施したポリエチレン樹脂では, 室温から80℃の高温までトリー発生と成長が抑制されることを赤外線散乱トモグラフィーと光学顕微鏡観察の両方を対応させて確認した. さらに, 無処理ポリエチレン樹脂では室温より高温までトリーが発生し, 高温においてトリーの成長速度は大きくなり, トリーは針の先端部分より伸びることを見いだした.
  • 山本 隆, 清田 徹
    1994 年 51 巻 12 号 p. 789-794
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリビニルプロピオナールからなるフィルムに波長365nmの紫外光を照射し, フィルムの光劣化挙動について検討した. 各種スペクトルによる構造解析の結果から, フィルムの光劣化はポリビニルアルコールの劣化と同様の光酸化劣化反応によるものであると推定した. この推定メカニズムに基づき, 樹脂中に微量に存在する主鎖カルボニル構造および共役エノン構造を, 樹脂の還元処理によって化学的に除去した結果, 樹脂の光劣化性を大幅に改善できることを見いだした.
  • 安藤 勝敏, 近藤 五郎
    1994 年 51 巻 12 号 p. 795-800
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレン (PP) 繊維は長鎖状分子の集合体であり, 結晶と非結晶からなる複雑な繊維構造を持っている. このような構造内のキャリアトラップの実態を調べるために, 分子量分布と立体規則性の異なるPP繊維にコロナ荷電で十分にキャリアをトラップさせて, これらの熱的解放による熱刺激電流を測定した. また, 熱刺激電流と分子運動との関係を調べるため粘弾性測定, そして繊維構造を調べるためX線解析も行った. その結果として, キァリアトラップはsmectic結晶あるいは単斜晶系晶の結晶界面また結晶内の空孔のような欠陥であることがわかった. また, PPの分子量分布および立体規則性がトラップに与える影響についても明らかにした.
  • 安井 茂男, 見手倉 裕文, 小関 健一, 山岡 亜夫
    1994 年 51 巻 12 号 p. 801-805
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ホトポリマー用増感色素の開発を目的として, 10位に複素環基を有する1, 1, 7, 7-テトラメチルベンゾピラノ [6, 7, 8-ij] キノリジン-11-オンを新たに合成し, その物性を検討した. これらの色素のλmaxは同じ位置に同じ複素環基を有する7-ジエチルアミノクマリンに比べて13~20nmの長波長シフトを示した. これらの色素と3, 3′, 4, 4′-テトラキス (t-ブチルパーオキシカルボニル) ベンゾフェノン (有機過酸化物) からなる光重合開始系は7-ジエチルアミノクマリンに比べて3~7倍の高感度を示した. 特にベンゾチアゾリル基を有する新色素は最も高感度を示すとともに高溶解性であることから, アルゴンィオンレーザー用増感色素として有望であることが分かった.
  • 中村 省三, 長谷部 昭男, 芹沢 弘二, 高坂 崇, 春田 亮
    1994 年 51 巻 12 号 p. 806-812
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    LSIプラスチックパッケージを構成する熱硬化性樹脂であるLSI封止用レジンとFe-Ni合金である42アロイリードフレームからなる二層積層体を冷却した場合に発生する反り変形量と残留応力について, 粘弾性解析, 弾性解析, および実験解析を行った. その結果, 粘弾性解析は材料物性の時間および温度依存性を考慮した厳密な解析法であり, 解析結果は実験値とほぼよく一致する. また, 材料物性の温度依存性を考慮すれば汎用の弾性解析でも実用上問題がない場合がある. さらに, 積層体の反り変形や残留応力は, 基本的にレジンの粘弾性挙動と積層体の剛性の両者が複雑に関係しあって生じることがわかった.
  • 弓場 智之, 柿本 雅明, 今井 淑夫
    1994 年 51 巻 12 号 p. 813-818
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリイミドLB膜前駆体として用いられるポリアミド酸LB膜の形態は, 気-液界面への展開時に用いる溶媒の極性によって大きく影響を受けることを見いだした. ポリアミド酸長鎖アルキルアミン塩の固有粘度をN, N-ジメチルアセトアミドとベンゼンとの混合溶液を用いて測定した. このとき, ベンゼンの割合を増加させて溶媒の極性を低下させると, ポリアミド酸長鎖アルキルアミン塩の凝集に起因すると思われる固有粘度の低下が見られた. この溶媒を展開溶媒として気-液界面に展開したところ, 高分子の凝集効果が水面上単分子膜の特性にも反映され, 展開溶媒の極性の低下に伴って, 表面圧-面積曲線の極限占有面積が低面積側に移動した. さらに, ガラス基板上に累積されたポリアミド酸長鎖アルキルアミン塩LB膜の表面をプラズマ重合レプリカ法により, 透過型電子顕微鏡 (TEM) で観察して凝集構造を確認した. その結果, 展開溶媒の極性によって, 得られたLB膜表面の凝集構造に変化がみられた. また, この凝集構造はイミド化後のLB膜においても保持されたままであった.
  • 上遠野 浩樹, 荻原 武男, 阪上 輝夫
    1994 年 51 巻 12 号 p. 819-821
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    メタクリル酸メチル (MMA) に難溶な無水安息香酸銅 (CB) はメタクリル酸 (MAAc) の共存下においてその溶解性が向上する. CBはMMA中では2量体構造をとるが, 2量体CBの二つのアピカル位にMAAcが1個ずつ配位することがわかった. このMAAcの配位によりCBのMMAへの親和性が増大し, 可溶化したと考えられる. MAAcを配位させたCBと高分子マトリックス形成用のモノマーとを共重合させることによって, 銅を含有する透明なプラスチック製近赤外線カットフィルターが得られた. このフィルターは, 厚さ0.5mmの薄さでも600~800nmの範囲で透過率がほぼ0%の近赤外線カット性を示した.
  • 安田 裕, 林藤 克彦, 青木 修三
    1994 年 51 巻 12 号 p. 822-824
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ミセル系で自発重合する両親媒性ビニルモノマーである長鎖アルキル2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルリン酸ナトリウムおよび臭化長鎖アルキルジメチル-2-メタクリロイルオキシエチルアンモニウムは, モノマー/水2成分系またはモノマー/長鎖アルコール/水3成分系からなるリオトロピック液晶を形成し, 60~70℃への加熱により自発的に重合することが見いだされた.
  • 大藤 吉雄, 江口 保
    1994 年 51 巻 12 号 p. 825-828
    発行日: 1994/12/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    3, 3′, 4, 4′-テトラアミノビフェニルと1, 3-ジシアノベンゼンの溶融重縮合について検討した. 粉末化状態での固相後重合工程を経る事なく, 一工程で高分子量のポリ (2, 2′-m-フェニレン-5, 5′-ビベンゾイミダゾール) が効率よく得られ, 塩化アンモニウムがこの重合反応を加速することがわかった.
  • 1994 年 51 巻 12 号 p. xiv
    発行日: 1994年
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
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