電子アクセプター性の二量体液晶 (TN-
n) をベースとする二成分液晶システムの液晶形成能および配向特性を二量体液晶成分のコンポメーションと関連づけて検討した, 二成分液晶システムとして次の二つのタイプを構築した, 一つはニトロ末端基をもつTN-
nにブチル末端基をもっ二量体液晶を混合した液晶系 (T-
n-
x) であり, もう一方はTN-
nにエチルァゾベンゼン基を側鎖にもつ高分子液晶を混合した液晶系 (P-
n-
x) である. これらの二成分液晶システムは, 電子ドナー・アクセプター効果によって誘起スメクチック相を形成し, 誘起されるスメクチック相の構造は, 二量体液晶分子の中央メチレン鎖長の偶奇性に依存する. T-
n-
xとP-
n-
xの両方とも, 中央メチレン鎖長が偶数で, 二つのメソゲン基が比較的平行に配置した形状をもつ偶数系二量体液晶を混合成分としてもつ場合には, SmA相を誘起する. それに対し, 一つのメソゲン基がもう一方のメソゲン基に対して傾いた形状をもつ奇数系二量体液晶を混合成分とするT-
n-
xの場合には, 誘起SmCA相が形成される. 側鎖型高分子液晶と奇数系二量体液晶との混合系のP-
n-
xでは, SmCA相に加えSmA相を誘起する. 以上のように, 電荷移動力に加え, 分子の立体的な効果を組み合わせることによって新しい液晶集合体の構築が可能であることが明らかになった.
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