高分子論文集
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56 巻, 8 号
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  • 芹澤 武
    1999 年 56 巻 8 号 p. 469-479
    発行日: 1999/08/25
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    ナノレベルの集積構造を有する合成高分子系の構築を目的に, ポリスチレン微粒子 (ラテックス) の高分子超薄膜上への静電吸着ならびにマクロモノマー法によるコア-コロナ型高分子ナノスフェアの合成と機能化を行った. ポリスチレン微粒子はポリアリルアミン塩酸塩 (PAH) とポリスチレンスルホン酸ナトリウム (PSS) の交互吸着により作製した超薄膜に対して静電吸着した. 吸着挙動に対する, 超薄膜の電荷密度, 粒子濃度, 粒子サイズ, および粒子表面の電荷密度の影響などを詳細に述べた. 構造制御しながら多層膜の構築も可能であることがわかった. 一方, 短いステップで容易に合成できる親水性マクロモノマーと, スチレン (St), あるいはメチルメタクリレート (MMA) などの疎水性コモノマーを極性有機溶媒中でラジカル共重合することにより, 表面にマクロモノマー由来の高分子鎖が集積したコア-コロナ型の高分子ナノスフェアを合成し, いくつかの重合パラメーターの粒子サイズへの影響, 水/エタノール混合溶媒系での粒子サイズに与える特異な影響, 刺激応答性の付与, 触媒担体, あるいは医用材料としての応用などについても調べた.
  • 名取 至
    1999 年 56 巻 8 号 p. 480-495
    発行日: 1999/08/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    脂肪族の六員環が直接結合した構造をポリマー主鎖に有する新規な炭化水素系ポリマーを, 1, 3-シクロヘキサジエン (1, 3-CHD) のリビングアニオン重合によって合成することに成功した. さまざまなタイプのブロックコポリマー (1, 3-CHD/Bd, 1, 3-CHD/St) もリビングアニオン重合によって合成した. 完全に水素化されたポリ (1, 3-シクロヘキサジエン) は, シクロヘキサン環が直接結合した構造を高分子主鎖に有しており, 現在までに報告されている炭化水素系ポリマーの中で最も高いガラス転移温度と剛性を有していた. 完全に水素化された1, 3-CHD-Bd-1, 3-CHDトリブロックコポリマーは, 炭化水素系エラストマーの中で最も高い耐熱性を示した. これらのシクロヘキセン環あるいはシクロヘキサン環が直接結合した構造をポリマー主鎖に有する新規な炭化水素系ポリマーは, 次世代の工業材料としてふさわしい優れた耐熱性と機械的強度を有していた.
  • 界面の形態とそのダイナミクス
    陣内 浩司
    1999 年 56 巻 8 号 p. 496-507
    発行日: 1999/08/25
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    ポリマーアロイの構造解析研究の新しい潮流として, 三次元画像解析および三次元構造定量解析を提案する. 高分子多成分系の最も単純な系である高分子二成分混合系を取り上げ, この系の相分離過程で形成される構造の微分幾何学的な特徴について考察した. 従来の研究の多くは, 相分離構造の粗大化過程を, 周期長に代表される相分離構造のおおまかな (globalな) 特徴を記述するパラメーターでとらえてきた. 界面の形態などの局所的な構造とその時間発展に関する研究例はごくわずかである. しかし, 異種の高分子がお互いの接触を避けるために界面を減らすことが相分離の駆動力であることを考慮すると, むしろ, 局所的な界面の形態とその時間変化こそが相分離の本質であろう. 本研究では, 界面の形態を共焦点レーザースキャン顕微鏡法により三次元実空間観察を行い, 界面曲率分布を測定する手法を開発した. 解析の結果, 高分子混合系の界面は双曲面からなることを初めて明らかにした. また, 界面曲率分布の時間変化を解析することにより, 界面という局所的な構造もスピノーダル分解後期過程において自己相似性をもつことも明らかとなった. さらに, 今後, 三次元構造解析によって測定可能となるであろう新しい構造パラメーターとそれらを用いた構造解析研究の可能性について述べる.
  • 岡本 正巳
    1999 年 56 巻 8 号 p. 508-523
    発行日: 1999/08/25
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    強い非線形性を示す伸長流動場における高分子液体の相構造形成を研究するために, 最新型メルト伸長レオメーター (RME) に複屈折計を組み込んで, 伸長粘度と複屈折の同時測定が可能な“伸長流動オプトレオメトリー (EFOR: elongational flow opto-rheometry) ”を開発した. 本装置により伸長流動中のセグメントの配向挙動を直接観察することが可能であり, 伸長流動挙動の分子論的解釈が可能となった. さらに, さまざまな構造解析法 (光散乱, 小角X線散乱, 透過電子顕微鏡観察, および動的熱測定) と組み合わせた (広義の) EFORシステムを, 結晶性ポリマーの過冷却液体, ポリマープレンド, ブロックポリマー融液などの複雑液体に適用して, 開放系・非線形大変形領域で相構造形成について研究した最新の結果を紹介した. また伸長粘度を用いた粘塑性材料構成式の提案と真空成形用CAE (Computer Aided Engineering) への応用例についても述べる.
  • 浅川 真澄
    1999 年 56 巻 8 号 p. 524-531
    発行日: 1999/08/25
    公開日: 2010/11/22
    ジャーナル フリー
    分子間相互作用に基づき構築された擬ロータキサン (包接錯体), 分子内電荷移動錯体を形成する分子カメレオン, 機械的結合で環状分子とダンベル型分子が団子と串のようにつながったロータキサン, 環状分子が知恵の輪のようにつながったカテナンに関し, 外部から加えられる刺激によってひき起こされる分子運動特性について述べた. これら超分子化合物の構造はX線単結晶構造解析, 1HNMR, 紫外可視吸光スペクトルなどにより解析した.
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