スチレン/ブタジエン/スチレン (SBS) ブロックコポリマーは代表的な熱可塑性エラストマーとして広く用いられているが, ポリブタジエン部分に由来する二重結合のため, 耐熱性, 耐候性に劣るという問題がある. しかし, ポリブタジエンの構造単位である1, 2-結合と1, 4-結合に含まれる2種の二重結合がポリマーの熱安定性に及ぼす影響についての詳細な検討は今までほとんどされていない. 本報ではSBSのポリブタジエンブロック中の1, 2-結合を高選択的に水素添加した新規スチレン系熱可塑性エラストマー (ポリ [スチレン-
block- (1, 4-ブタジエン-
ran-ブチレン) -
block-スチレン] : SBBS), またポリブタジエンブロックを完全に水素添加したスチレン/エチレン/ブチレン/スチレン (SEBS) を合成し, これらとSBSでエージング試験を行った. その結果, SBBSはSBSと比較して, 高温静置時において大幅にゲル生成が抑制されることが明らかになった. これはポリブタジエンブロックに含まれる1, 2-結合と1, 4-結合でゲル生成挙動が大きく異なることを示唆している. また, SEBSと比較しても実用的な加工条件である220℃においてはほぼ同等のゲル抑制性を示した.
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