ルテニウム錯体 [RuCl
2 (PPh
3)
3] を用いたメタクリル酸メチルのリビングラジカル重合において, 種々の金属アルコキシド [M (O
i-Pr)
n; M=Al, Sn, Ti, Zr, Sc] を添加することにより, 重合の加速と制御の可能性を検討した. いずれの金属イソプロポキシドも重合を加速し, 分子量の制御を可能としたが, 中でも, Ti (O
i-Pr)
4が重合の加速と生成ポリマーの分子量分布の制御の面からもっとも有効であった. また, 種々のチタンアルコキシ [Ti (OR)
4; R=Me, Et,
i-Pr,
t-Bu, Ph] を用いた結果, イソプロポキシドが重合の加速にもっとも効果があり, 分子量分布の狭いポリマーを与えた. Ti (O
i-Pr)
4を添加物として用いた重合において, 重合条件を最適化することにより, 比較的短時間 (7時間) で, 分子量分布の狭いポリマーの合成が可能となった (
Mn=10700,
Mw/
Mn=1.17). またさらにこの系は, 分子量分布の狭い高分子量体の合成にも有効であった (
Mn=100700,
Mw/
Mn=1.11). 添加物のTi (O
i-Pr)
4はRuCl
2 (PPh
3)
3に作用している可能性が
1H NMRによる解析により示された.
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