汎用エンジニアリングプラスチックであるポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキサイド) (PPO) は,有機溶媒中で 2,6-ジメチルフェノール (2,6-DMP)を酸化重合することで生産されている.超臨界二酸化炭素(scCO
2)を溶媒とすることで,無毒・不燃性・臨界条件が穏和といった優れた特性により,プロセスの安全性の向上が期待できる.筆者らは scCO
2 を溶媒とし,分子量分布の狭い高分子量 PPO を合成する重合プロセスの開発を試みてきた.scCO
2 を溶媒とした重合では,反応系が不均一相となることが,分子量分布が広くなる原因の一つと考えられる.また,平均分子量が小さくなる原因としては,重合の進行とともに生成する水による触媒失活の影響が考えられる.本報ではこれらの点を考慮して,二段階の重合(二段重合)を試みた.二段重合の一段階目では,反応系を均一相にすることで,分子量分布の狭いプレポリマーを合成する.二段階目では一段階目のポリマーを精製し,水を反応系から除去後,再び重合することで高分子量化する.このような考えに基づいた二段重合の実施により,PPO の分子量分布の制御と高分子量化が示された.また,温度・圧力・触媒濃度の最適化によって,高分子量の PPO を得ることが可能となった.
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