脂肪族ポリエステル類のエステル交換反応を介した絡み合い解消経路の可能性を示すために,ポリ
L-乳酸(PLLA)とポリ ε-カプロラクトン(PCL)の球晶成長速度
G を等温結晶化前のメルトアニーリング時間 Δ
t の関数として測定した.PLLA 試料はオリゴマーの結晶化と固相重合を利用した“重合結晶化法”によって調製した.調製した試料が不明瞭な晶癖を持つ試料の場合,
G は Δ
t < 30 min においてほぼ一定であり,その後 Δ
t の増加とともに単調に減少した.一方,調製した試料が明瞭な晶癖を持つ試料の場合,
G は Δ
t に対し単調に減少するのみであった.バルク重合法で調製した PCL 試料に対しては,メルトアニーリング温度
Tmax が 100 および 130℃ の時に,Δ
t < 30 min において
G に平坦域が現れたが,
Tmax が 80℃ の時には
G は単調に減少するのみであった.メルトアニーリング後の PLLA と PCL の GPC 測定から,試料の分子量は変化しないが,分子量分布が広くなることがわかった.これらのことは,PLLA と PCL がメルト中でエステル交換反応を介した絡み合い解消経路を有していることを示している.
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