症例は44歳女性。1991年8月発熱と全身性紅皮症を主訴に当院に入院。表在性リンパ節腫大,肝脾腫を認めた。白血球数は21,490/μ
lでそのうちflower cellを含むリンパ球を14,310/μ
l認めた。この異常リンパ球はCD2, 4, 25, 29が陽性でヘルパーインデューサーT細胞の性質を有し,真皮,リンパ節に異型性を示すT細胞の浸潤を認めた。HTLV-1抗体は陰性で,HTLV-1 proviral DNAもPCR法にて陰性であった。以上よりCTCLと診断し,prednisoloneを開始したところ血球数はコントロールされたが紅皮症は次第に増悪した。Vincristine, etoposide, cyclophosphamideによる多剤併用化学療法はorganomegalyに対し有効であったが皮疹に対し効果を認めなかった。Deoxycoformycin (DCF) 7.5 mgの投与を開始したところ皮疹は速やかに改善傾向を示し,掻痒感の消失とともに皮疹は劇的に改善した。多剤併用化学療法が無効なCTCLの全身性紅皮症に対しDCFは骨髄抑制などの副作用もなく有用な治療法と考えられた。
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