症例は19歳男性。16歳時に大腿部滑膜細胞肉腫にて手術および化学療法(adriamycin 320 mg, cisplatin 780 mg, etoposide 4,200 mg, ifosfamide 30,000 mg)を受けた。化学療法終了後1年6カ月で二次性白血病を発症した。当初は芽球のα-ナフチルブチレートエステラーゼ染色が陰性と思われたためALL L3と考え,L-asparaginase 5,000 U/m
2 day 8-21, vincristine 1.5 mg/m
2 day 1, 6, 11, 16, 21, 26, prednisolone 40 mg/m
2 day 1-28(LVP療法)による寛解導入療法を施行した。その後に判明した検査結果では,表面マーカーでCD33 98.6%, CD4 66.7%, CD10 0.3%, CD19 0.6%, CD20 0.6%, HLA-DR 99.2%, CD14 0.8%であり,リゾチーム104.0 μg/m
l, またα-ナフチルブチレートエステラーゼはスライドの一部で芽球が強陽性に染まっている部分があり,染色むらのため陰性と判定してしまったことが判明した。さらに染色体分析でt(9;11)を有する細胞を19/20に認めたこと,JH, JK, TCR Cβ1の遺伝子再構成がいずれも陰性,MLL遺伝子再構成が陽性であることと併せてAML M5aと再診断した。しかしLVP療法1クールにて完全寛解が得られた。その後,cytarabine+daunorubicin+6-mercaptopurineおよびcytarabine+mitoxantroneによる地固め療法を計3クール施行後,非血縁者より同種骨髄移植を施行し,16カ月間寛解持続中である。二次性白血病M5aにLVP療法が奏功した1例を経験したため報告する。
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