高分子論文集
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35 巻, 10 号
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  • 港野 尚武, 高松 秀雄, 犬飼 雄一, 山内 淳之介
    1978 年 35 巻 10 号 p. 599-606
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    重合法で得られた, 分子重が数万の液状シス1, 4-ポリイソプレンの特性を検討した. 本液状ポリイソプレンは分子鎖の柔軟性に優れ, 常温の粘度は分子量数万のポリイソプチレンよりも1ケタ低く, かつ粘度の温度依存性も小さかった. 本液状ポリイソプレンは, ゴム系の溶液型, およびスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体やエチレンー酢酸ビニル共重合体を主体とするホットメルト型の粘着剤, 接着剤の可塑剤として利用され, 凝集力と粘着力のバランスがよく. 低温粘着性に優れる特徴を示した. 一方, 本液状ポリイソプレンは, 従来の橋かけ方法により, 容易に橋かけ弾性体を与えた. そして種々の固形ゴムにブレンドして用いた場合, 未加硫時は加工性改良剤として働き, 加硫工程で共加硫する反応性高分子量可塑剤としての優れた機能を有することが認められた.
  • 山田 文一郎, 安田 裕, 松下 敏郎, 大津 隆行
    1978 年 35 巻 10 号 p. 607-613
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アクリル酸をラジカル重合め禁止剤の存在下で加熱すると, 二量体であるβ-アクリロイルオキシプロピオン酸を生成するが, カルボン酸塩を開始剤として使用すると, 反応は二量体生成で終ることなく三量体以上の生成物も認められる. この反応を18-クラウン-6の存在下で行うと反応速度は著しく増大し, 生成物の重合度も増大することを見いだした. これらの生成物はポリエステル構造を持ち, 二量体, 三量体, 四量体…と種々の重合度の生成物の混合物としで得られ, それらの平均重合度は反応時間とともに増加する. その結果, ポリエステルの生成は, カルボキシレートアニオンの炭素一炭素二重結合への親核付加とそれに続くプロトン引き抜きの繰返しによる逐次反応であると考えられる. クラウンエーテルは, 活性種であるカルボキシレートアニオンを活性化することにより, 反応速度および重合度を増大させる.
  • 山下 雄也, 真弓 順次, 川上 雄資, 伊藤 浩一
    1978 年 35 巻 10 号 p. 615-620
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    1, 3, 6, 9, 12, 15-ヘキサオキサシクロヘプタデカン (17-CF-6) の三フッ化ホウ素工一テル錯体 (BF3OEt2) によるカチオン重合を行い, 反応生成物中の環状オリゴマーの平衡濃度を測定することにより, この重合挙動に熱力学的な検討を加えた. 重合に伴うエンタルビー変化およびエントロピー変化は, モノマーでΔHp=-2.6kcal/mol, ΔSp0= -2.1 cal/K・mol, ダイマー, トリマー テトラマーおよびベンクマーではΔHp=0 となり, エントロピー変化はそれぞれΔSp0=9.0, 10.7, 12.1, 13.1 cal/K・molであった. これよりモノマーではΔHpにより, 又, ダイマー以上の環についてはΔSp0により重合性が支配されると結論できる. モル環化平衡定数Kxの対数を環状オリゴマーのモノマー単位数xの対数に対してプロットすると, その傾きはトリマー以上でほぼ-2.5 となり, Jacobson-Stockmayerの理論と一致した.
  • 磯村 計明, 清水 誠, 平川 勝己, 谷口 宏
    1978 年 35 巻 10 号 p. 621-627
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    2H-アジリンからのオリゴマー生成反応速度に対する添加物および溶媒の効果よりその機構を検討した. 又, オリゴマーの分解によるジヒドロピラジンの生成機構も併せて検討した. アルロール中でのアジリンからのオリゴマー生成反応は2分子のアルコールがアジリンに付加して生成するアミノアセタールあるいはt-ブチルアミンにより開始される. 開始反応, 成長反応ともに第1段階でアミノ基のアジリンのイミン結合への付加によるアミノアジリジンの生成と, 第2段階でアミノ基を再生する開環の2段階反応により進行する. オリゴマーの分解によるジヒドロピラジン生成反応は微量の水により触媒され, イミン結合の加水分解と生成するアミノ基とホルミル基の分子内および分子間縮合反応により進行することが明らかとなった.
  • 小島 敬和, 一瀬 浩一, 中村 俊範, 保坂 義信
    1978 年 35 巻 10 号 p. 629-633
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    主鎖にメタあるいはバラ結合の芳香環をいろいろな割合で含む芳香族アミドオリゴマーを合成し, 熱重量-示差走査熱量同時測定を行い, 主鎖芳香環の結合様式と耐熱性との関係を検討した. 主鎖芳香環のメタ結合粗成増加に伴う融点の低下, および融解エントロピーの増大が観測された. 融解エンタルピーの変化はほとんど観測されなかった. 一方, 665K以上に融点があるオリゴマーでは融解の直後に熱分解開始が観測された.
  • 林 修, 矢野 武文, 陣田 一也, 上野 治夫
    1978 年 35 巻 10 号 p. 635-640
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    両末端官能基を有する液状ポリブタジエンの合成法を検対した. 脂環式ケトン溶媒中, 過酸化水素を用いてブタジエンの重合を行うと末端官能基としてカルボキシル基をもつ液状のポリブタジエンが得られた. 反応系に1, 12-ドデカンジオイック酸などの副生がみられることから, カブロン酸カルボラジカルを経る重合開始が推定される. また, 水酸基の隣接メチレンの構造を1H-NMRでみると, それらは主としてポリマー末端についでいることを示唆している. 系中に, in situで生成する種々のケトンペルオキシド類が分解してまずヒドロキシラジカルおよびヒドロキシーシクロヘキシルオキシラジカルを生じ, 次いで後者はβ分裂によリカブロン酸カルボラジカルとなり, これらが重合開始を起こしていることを実験結果から説明した. 得られたポリマーには薄層クロマトの分析で無官能性のものはみられなかった.
  • 林 修, 高橋 透, 松本 幸男, 上野 治夫
    1978 年 35 巻 10 号 p. 641-647
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    シクロヘキサノンと過酸化水素の二元系を開始剤とするブタジエンの重合系にアミン, 金属塩を添加して, その重合挙動を比較した. 又, シクロヘキサノンと過酸化水素の混合系に, アンモニア, 過塩素酸の各々を加えて合成きれる1-アミノ-1-シクロヘキシルヒドロベルオキシド (AHP) およびトリシクロヘキシリデントリペルオキシド (TCTP) を用いて同様にブタジエンの重合を行い, ポリマー末端の解析を行って重合開始反応を調べた. アミン, なかでもアルキル鎖のあまり大きくない第三アミンの添加によってポリマー鎖当たりのカルボキシル基の割合が増大した. AHPを用いた重合, あるいはアンモニアの添加で重合したポジマーには, ヒドロキシル基, カルボキシル基のほかにカルバモイル基を有している. このカルバモイルは加水分解によって容易にカルボキシル基に変換することができた.
  • 新野 昭伍, 上石 健太郎, 武石 誠, 羽山 茂
    1978 年 35 巻 10 号 p. 649-655
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ビフェニル-4,4′-ビスジアゾニウムクロリドと4,4′-ジメルカブトビフェニルをアセトンー水中, 5℃以下で反応させ, ジアゾチォエーテル結合をもつオリゴビフェニレン (I) を得た. 同様の方法で3,3′-ジメチル-および3,3′-ジクロロビフェニル核から成るオリゴマー (II, III) を合成した. オリゴマーI, IIIはDMF, NMP (N-methy1-2-pyrrolidone) 以外の溶媒に難溶であるが, IIは一般有機溶煤に可溶でベンゼン溶液の蒸気圧法で求めた平均分子量は約5000であった. オリゴマーIは溶液中70℃以上で脱窒素分解し, ポリ (4,4′-ビフェニルスルフィド) を生成した. Iはビニルモノマーのラジカル重合開始作用を示した. さらにANとオリゴマーIを等モル近くに混合して70℃に加熱すると, AN, ビフェニル核および硫黄を主鎖に含む共重合体を生成した. オリゴマーの分解温度は置換基によって異なるが, いずれも同様な反応性を示した.
  • 立道 秀麿, 小笠原 誉久, 中川 照夫
    1978 年 35 巻 10 号 p. 657-663
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    種々のオリゴエステルアクリラート (OEA) およびその混合物のUV硬化性をIRスペクトル法によって調べ, 空気中において, 速硬化性でかつ反応率の高い硬化フィルムを得るための配合処方について検討した. この目的に対して, 比較的短時間のUV照射でほとんど定量的に反応する性質をもつ単官能アクリラートと, 反応初期における硬化速度の速い多官能アクリラートとの配合が適しており, また硬化フィルムのガラス転移点は60~70℃以下が適当であることを明らかにした. さらに, 同じ構造をもつOEAで比較するとアクリラートタイブはメタクリラートタイブの10倍以上の反応遠度であること, 分子状酸素による重合阻害作用は重合性官能基の種類よりも主鎖の構造の寄与率が大きく, 特にテトラヒドロフタル酸を分子骨格に含むOEAは空気中でも速い硬化性を示すことが認められた.
  • 鎌上 三郎, 山路 功
    1978 年 35 巻 10 号 p. 665-672
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    p-イソプロペニルフェノール (IPP) のカチオンオリゴメリゼーションを, ハロゲン化金属類を開始剤として, 種々の反応温度で行った. 反応生成物の分子量分布や, 得られた2~3量体の構造は, 反応温度により著しく異なることが認められた. すなわち, 75℃の反応においては, 飽和環状2量体が約60%と, この2量体にIPPが付加することにより生じた飽和3量体が約40%生成した. 25℃の反応においては, シスおよびトランス型不飽和鎖状3量体が約87%, 2種類の不飽和鎖状2量体が約10%, および少量のさらに分子量の高いオリゴマーが生成した. 0℃および-20℃の反応においては, 開始剤の種類および濃度により平均分子量620~710および1200~2300を有するオリゴマーがそれぞれ生成した. これら生成物の分子構造は, GPC, IR, UV, 1Hおよび18C-NMRを用いて決定した.
  • 西久保 忠臣
    1978 年 35 巻 10 号 p. 673-675
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    官能性アクリル酸エステル共存下でビスフェノール型エポキシ樹脂とアクリル酸の付加反応によリジアクリラート系オリゴマーを合成した. 反応は無触媒下ではあまり進行せず, 120℃では反応中にゲル化が起こったが, 触媒として四級アンモニウム塩, または安息香酸ナトリウムを使用すると反応はよく進行した. 又, この反応はアクリル基の熱重合によるゲル化を防止するために, 熱重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテルと酸素の共存下に行う必要があることが明らかになった.
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