高分子論文集
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38 巻, 8 号
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  • 村上 惇, 金谷 晴夫, 吉識 忠継
    1981 年 38 巻 8 号 p. 507-513
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    Na+, Zn++タイプのエチレンアイオノマーにアクリロニトリルブタジエンゴム (n-NBR) とカルボキシル化アクリルニトリルブタジエンゴム (a-NBR) をロールブレンドした系の衝撃特性と界面相互作用およびゴムの分散形態との関係について動的粘弾性, 衝撃引張試験, 透過電顕により検討した. n-NBRブレンド系においては, ゴムの低含量 (10%) のところで最大破壊エネルギーを示す。特にZn++タイプアイオノマーのn-NBRブレンド系ではゴム含量30%になると破壊エネルギーは急激に低下する. a-NBRブレンド系においては, ゴム含量10%では, ほとんどゴム改質効果は生じず, ゴム含量20%付近で最大破壊エネルギーを示す. Zn++タイプアイオノマーのa-NBRブレンド系はn-NBRブレンド系と異なりゴム含量30%でも破壊エネルギーの低下は少ない. このようなn-NBRとa-NBRブレンド系の衝撃特性の差異は各ブレンド系の相分離形態はもちろんのこと, イオン結合などの界面相互作用の違いに原因していると考えられる.
  • 池田 能幸, 上野 邦弘, 吉田 肇, 香西 保明
    1981 年 38 巻 8 号 p. 515-522
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    過硫酸アンモニウム (APS) およびアゾビスイソブチロニトリル (AIBN) を開始剤としてアケリロイルアミノ酸 (アミノ酸: グリシン, β-アラニン, γ-アミノ酪酸, ∈-アミカプロン酸) の水溶液重合を行い, 主として重合速度 (Rp) のpH依存性について検討した. 得られた主結果は次のとおりである. (1) いずれのモノマーも, Rpは酸性にて極大を示し, pH 5あるいは6付近まではpHの増大に伴い低下した. そしてpH 6以上では, モノマー種および開始剤種により異なる挙動を示すことがわかった. (2) Rpはモノマー濃度に関しては, APSを用いると酸性領域では1次, その他の領域では1.5次に比例し, AIBNを用いると全pH域で1次に比例した. (3) 開始剤濃度に関しては, すべて0.5次に比例した. これらの結果より, アクリロイルアミノ酸の重合反応について考察した.
  • 今井 淑夫, 佐藤 裕三, 上田 充
    1981 年 38 巻 8 号 p. 523-527
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    p-ビス (2-ニトロビニル) ベンゼン (I) およびp-ビス (2, 2-ジシアノビニル) ベンゼン (IIa) とチオールの付加反応により, 高収率で付加体を生成することを認めた. この知見をもとにして, I, IIa, およびm-ビス (2, 2-ジシァノビニル) ベンゼン (IIb) とジチオールの重付加反応を各種の溶媒中, 15~60℃で行い, 固有粘度が0.2dl/gまでのポリスルフィドを得た. 生成ポリマーはジメチルホルムアミド, テトラヒドロフラン, m-クレゾールなどの多くの有機溶媒に可溶であるが, いずれも, 120~200℃の間で分解する.
  • 田中 穂積, 東 千秋, 讃井 浩平, 緒方 直哉
    1981 年 38 巻 8 号 p. 529-533
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    クロロ酢酸エステル化したポリ (ビニルアルコール) (PVA) の感光特性を前報で報告したキトサンのジクロロ酢酸誘導体と感光性能を比較した。PVAはキトサンに比較してポリマー鎖が柔らかいため容易に紫外線照射にて不溶化することが明らかになった. PVAのクロロ酢酸エステルの光橋かけ速度の順序は, トリ->ジ->モノ-クロロ酢酸エステルであった. アニリン誘導体を用いた光橋かけ反応ではジ, またはトリフェニルメタン系の染料中間体を形成し着色不溶化することが判明した. これらPVAエステルの光橋かけ反応機構をイソプロピルアルコールのクロロ酢酸エステルを合成し, モデル反応にて解明した.
  • 渡辺 寧, 代田 忠, 石榑 芳直
    1981 年 38 巻 8 号 p. 535-540
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    厚さ3mmのポリエチレンシートにサンシャイン-カーボンアーク燈型耐候試験機を用い, 噴霧水を停止した状態で光を照射した. 厚さ方向の劣化の進行を検討するため, ノッチングマシンに取り付けたサイドミーリングカッターで表面から内部へ一定の厚さごと (0.05mmまたは0.1mm) に削り取った. 削り取られた試料を用いて赤外吸収スペクトル (IR), 示査走査熱量計 (DSC), 密度の測定を行った. カルボニルグループの生成は表面と内部では異なり, その生成速度は表面層が内部より大きくなっていた. カルボニル生成様式が表面層と内部で異なることを示している. 劣化により密度は増加し, 融解温度は低下していた. 表面層ほどこの変化は著しい. 試料内部のビッカース硬さは表面ほど大きくなっており, 生成カルボニル量と良い相関関係が認められた.
  • 橋本 静信, 山下 隆之, 日野 純一
    1981 年 38 巻 8 号 p. 541-545
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    1-ベンジルアゼチジンと環状エステルであるβ-プロビオラクトンまたは3-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸サルトンの付加反応によってベタイン構造の2- (N-ベンジルアゼチジノ) プロピオナート (BEA-PL) および3- (N-ベンジルアゼチジノ) プロピルスルホナート (BEA-PS) を合成した. その構造はNMR, IRスペクトルおよび元素分析によって確認した. ベタイン類のバルク重合は無触媒でその融点に加熱することによって進行した. (BEA-PL) の重合体は白色グリース状であり, 分子量は約6000であった. ポリマーは主鎖に第三アミンとエステル基を交互にもつものであった. 一方 (BEA-PS) の重合体は側鎖にプロピルスルポナート基を有するアイオネン型のポリマーであった. これらのベタイン類の重合機構について, (BEA-PL) のカルボキシラートアニオンおよび (BEA-PS) のスルホナートアニオンの反応性の差異から考察を加えた.
  • 鹿島 俊弘, 江藤 国臣
    1981 年 38 巻 8 号 p. 547-553
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    DSC法により, テレフタル酸系共重合ポリエステルの結晶性と分子量の関係について検討した. ポリエチレンテレフタラートまたはポリブチレンテレフタラートを基調とし, これにアジピン酸, セバシン酸, ドデカンジオン酸, およびイソフタル酸などの酸およびポリテトラメチレングリコールなどのグリコールを共重合させたポリエステルの結晶性について検討し, その結晶化度および結晶化速度は, 各組成共, 還元粘度 (ηsp/C) が0.3付近で最大となることを確認した. また結晶性はポリマーの分子構造とも関係があり, 共重合ポリマー鎖中のフェニレン基1個当たりのメチレン基の数 (m) に依存し, 結晶化度はmの増大とともに減少するが, 結晶化速度はmが6付近で最大となることがわかった.
  • 服部 滋, 中原 久恵, 鎌田 俊雄
    1981 年 38 巻 8 号 p. 555-557
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    塩化ブチル (NBC) を溶媒として35℃でポリメタクリル酸メチル (PMMA) のGPC測定を行った場合, 溶出が起こらなかった. これはPMMA分子のポリスチレンゲル粒子への吸着が起こったためと考えられる. そこでテトラヒドロフラン-NBC混合溶媒中35℃でPMMAのGPC測定を行った結果, PMMAが溶出しなくなる限界の溶媒組成は, PMMAの分子量に依存することがわかった.
  • 京谷 裕子, 佐々木 寛治, 金綱 久明
    1981 年 38 巻 8 号 p. 559-561
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ (β-ベンジルL-アスパラタート) のクロロフォルム溶液を水蒸気ふん囲気中でゆっくりキャストし右巻きaヘリックス構造の膜を作った, これらの膜の誘電分散と熱刺激電流 (TSC) の測定を行った. 室温から右巻きαヘリックスが左巻きωヘリックスに転移する温度域で誘電吸収のピークが観測された. 未分極試料についてのTSCは100℃以下の低温域とコンホメーション変化の起こる高温域で電流にピークが観測された. 低温域のピークは側鎖双極子の運動により, 高温域のピークは側鎖および主鎖双極子の運動によると考えられる.
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