高分子論文集
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41 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 竹島 幹夫, 舩越 宣博
    1984 年 41 巻 3 号 p. 125-131
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリカーボネート射出成形品の複屈折低減化を目的とし, 複屈折に及ぼす成形条件の影響を熱収縮率, 密度, レーザー・ラマン分光などを介して明らかにした. 複屈折はゲート近傍ほど大きいが, シリンダー温度及び金型温度の上昇により減少した. 射出圧力及び射出速度の影響は, 本実験の範囲内ではほとんど認められなかった. 熱収縮率は複屈折と同様シリンダー温度の上昇により低下し, また両者は比例関係にあり, 分子配向が熱収縮及び複屈折の主要因であることが明らかとなった. 密度はゲート近傍ほど, またシリンダー温度の低いほど大きい. レーザー・ラマン分光解析により成形品断面における分子配向分布が明らかとなり, 金型内における溶融樹脂の流動特性・冷却特性の解析にレーザー・ラマン分光が有用な手法となりうることを示した.
  • 藤原 秀樹, 後藤 邦夫
    1984 年 41 巻 3 号 p. 133-138
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    超音波照射による懸濁溶液系でのポリビニルアルコールとメタクリル酸メチルとのメカノケミカル ・ ブ口ック共重合反応について検討した. その結果, メタクリル酸メチルと蒸留水のみの反応系や粘度平均重合度が500のポリビニルアルコールを用いた場合には, 重合反応の進行が認められず, また, 2, 2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジルの共存下では, 共重合反応が完全に停止されることなどが判明した. そして, その共重合速度Rpは, [PVA]2 [MMA] に比例し, 均一系の場合に比べて1オーダー高いことを見いだした. なお, ビニルアルコールセグメントとメタクリル酸メチルセグメントとのモル比が6対4なるブロックコポリマーの生成が確認された.
  • 奈倉 正宣, 石川 博, 塚田 益裕
    1984 年 41 巻 3 号 p. 139-143
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    家蚕絹フィブロインの同体膜である SILK I型試料とSILK II型試料中の微細構造を検討するためSILK I型試料の熱処理及び昇温条件を変え構造変化を調べ以下の結果を得た. SILK I型試料はSILK I型結晶とランダムコイルが大半を占めランダムコイル中には若干のα-helixと微量のβ鎖が散在している. 220℃以上に昇温しその温度で熱処理後冷却すると, X線図からみてSILK II型試料に変わり, これは SILK II型結晶とランダムコイルが大半を占め, ランダムコイル中にはα-helixが散在している. SILK I型結晶は昇温により乱れ, 冷却過程でSILK II型結晶として形成され, 結晶多形の現象とは異なる.
  • 吉田 勝, 浅野 雅春, 嘉悦 勲, 山中 英寿, 中井 克幸, 湯浅 久子, 志田 圭三
    1984 年 41 巻 3 号 p. 145-150
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリエチレングリコール, HO (CH2CH2O) nCH2CH2OH (Mn=1900-2100) を含む徐放性テストステロン複合体を去勢したウイスター系ラットの背中皮下に最高で90日間にわたって埋入した. 埋入から7, 30そして90日目に複合体から放出されたテストステロンのin vivo累積量は各々498, 2120そして6913μgであった. これはポリエチレングリコールを含まない複合体系のin vivo累積放出量より約3.2倍増加した. 一方, ポリエチレングリコールを含む複合体系のin vitroin vivoにおける累積放出量を比較した場合, in vivo累積放出量の方がin vitroより約2倍高い値を示した. このことから, ポリエチレングリコールが生体組織内における薬物の透過 ・ 拡散 (輸送) を促進する物質として働いていると結論した. これは血清テストステロン濃度及び前立腺腹葉の重量変化を尺度とした薬理作用の結果からも示唆される. 同じ試みはジメチルスルホキシド, ドデシル硫酸ナトリウム, ウロキナーゼ, トリプシンについても検討した.
  • 酒井 鎮美, 鈴木 正実, 青野 哲士, 長谷部 和夫, 神戸 博和, 広江 勝, 筧 隆晴, 藤波 達雄, 竹村 洋
    1984 年 41 巻 3 号 p. 151-158
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    炭酸エチレン (EC) の150℃, 常圧での部分脱炭酸重合における, 第2~4主族金属錯体の触媒活性を広く検討し, 重合体収率およびポリマー中のエチレンカーボネートフラグメント含有率 (CO3-%) 共に最良の触媒はBu4-iSn (OR) i (i=2~4) であり, 生成した重合体は交互脱炭酸重合物である [CH2CH2OC (=O) OCH2CH2O]n (CO3-%40%以上) にほぼ近い構造を有し, 平均分子量約5000であった. Ca, Alアルコキシドは優れた触媒ではなかった。ZnX2, AlX3, SnX4, などのLewis酸, あるいはその塩基との錯体は, 高温ではECと反応してアルコキシドとなり, ECを重合したが, CO3-%は低かうた. これはハライドイオンが脱炭酸反応を促進するためと考えた. 更に, スズアルコキシドの構造と重合活性の関係を検討した.
  • 高橋 利禎, 山根 卓也, 西尾 嘉之
    1984 年 41 巻 3 号 p. 159-165
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンイミン (PEI) とオクチルオキシ安息香酸 (OOBA) またはコレステロールハイドロゼンサクシネート (CHS) のDMF溶液を混合することによりくし形コンプレックスを得た. このくし形コンプレックスは PEI のアミン基と OOBA または CHS の末端のカルボン酸基との相互作用によって形成されたと考えられる. コンプレックスのX線回折強度曲線には, 2θ=1.0~2.6゜に強い回折ピークがまた2θ=15~25゜には1個の散漫な極大が見られる. この結果はくし形コンプレックス中の側鎖である OOBA と CHS はもとの結晶学的な対称性を完全に失なっていること, また側鎖は層状に充てんされてスメクチック形の構造を形成しており, そこでは側鎖は互に平行にまた PEI を含む面に対しては垂直に配列されていることなどを示している. コンプレックスの DSC 曲線には170~230℃の温度領域に非常にブロードな吸熱ピークが存在する. スメクチック形構造の崩壊と化学的分解がこの吸熱ピークに寄与していると考えられる. このコンプレックスのモルホロジーや配向挙動についても検討した.
  • 辰巳 正和, 山本 清香
    1984 年 41 巻 3 号 p. 167-172
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    アクリル酸とアクリル酸ナトリウムのポプコンポリマー (PCP), 及び酢酸ビニルのPCPの加水分解物を親水性PCPと呼び, 各種親水性PCPを調製した. これらの親水性PCPをシード (seed) としたビニルモノマーのポプニン重合を検討し, 次の諸結果を得た. (1) 親水性PCPは, 水の存在下でシード活性を発現し, メタクリル酸メチル (MMA) のみを良好にポプコン化した. (2) 過剰の水の存在は, MMAのPCP生成反応を抑制または禁止した. (3) 親水性PCPがポプコン化することのできるMMA量は, 親水性PCPが含有する不凍水量に比例して増大した. これらの結果から, 親水性PCPによるMMAのPCP生成反応は, 親水性PCP/MMA/水の3者から成る錯合体形成を開始反応とする, 親水性PCPへのMMAのグラフト重合であると考えた.
  • 林 貞男, 張 発生, 平井 利博
    1984 年 41 巻 3 号 p. 173-175
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    過硫酸カリウムを開始剤としたソープフリーの乳化重合でつくったポリ酢酸ビニルラテックス粒子の沈積層を走査電顕で観察した. 沈積層は表面から底面にかけて, 規則的-不規則的-規則的構造からなる複合構造であった. 規則的構造の粒子の配列はすばらしい四角形模様と六角形模様を示した. この結果は, ポリ酢酸ビニルラテックス粒子の沈積層の規則的構造が, 粒子の立方最密充てんに基づくものであることを結論づける.
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