高分子論文集
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59 巻, 11 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 薛 鋒, 小林 友和, 木村 隆夫, 三部 正大, 中島 教博, 柏嵜 勝
    2002 年 59 巻 11 号 p. 673-680
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    廃棄された発泡スチロール (EPS) を対象とした省エネ・環境負荷低減型の油化技術の開発を目指して, 付加-開裂型の高い連鎖移動能力が期待できるα-メチルスチレン (MSM) またはその2量体に相当する2, 4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン (MSD) を添加した系でEPSの熱分解による低分子化および油化を200℃付近で検討した. その際, 8種類の球状充てん物を装てんし, 両添加剤の添加量や, 球状充てん物の寸法, 材質などがEPSの熱分解に及ぼす影響ならびに処理時間の影響について調べた. その結果, EPSの処理量が2.5g, 5gともに, 一定重量のMSM, MSDをそれぞれ添加すると, EPSの分子量低下は進行しやすくなる傾向を示した. また, 球状充てん物を装てんすると, 伝熱効率が向上するため, EPSの熱分解に対する促進効果が現れた. 特に, MSM添加系において, EPSの平均分子量がステンレス球の総表面積の増加に対応して低下する傾向を示した. 一方, MSD添加系では, 高粘稠性のために, そのような傾向は見られなかった.
  • ポリアミド-ポリオレフィン・ナノアロイ
    名取 至
    2002 年 59 巻 11 号 p. 681-686
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    オレフィン系機能性オリゴマーがポリアミド (PA) の特性に及ぼす影響を研究するために, 両末端に-OH基を有する水素化ポリブタジエ (HO-HPB) と塩化トリメリト酸無水物から, 両末端に無水トリメリト酸 (TA) 基を有する水素化ポリブタジエン (TA-HPB) を合成した. ポリアミド66 (PA66) とTA-HPBを2軸押出機によって溶融混練すると, TA-HPBはPA66マトリックス中に微分散し, 得られた組成物はポリアミド (PA) -ポリオレフイン (PO) ・ナノアロイを形成していた. TA-HPBの含有量は, PA-PO・ナノアロイの引張伸度 (TE) や耐衝撃強度に影響を与えた. PA-PO・ナノアロイにエチレン-プロピレンコポリマー (EPR) や水素化スチレンコポリマー (HSBS) をアロイ化して得られたエラストマー強化PA66は, 高い耐衝撃強度を有している.
  • 超耐衝撃性ポリアミド樹脂組成物
    名取 至
    2002 年 59 巻 11 号 p. 687-693
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    両末端に無水トリメリト酸基を有する水素化ポリブタジエン (TA-HPB) を含有するエラストマー強化ポリアミド66 (PA66) の調製とその特性に関する研究を行った. 耐衝撃強度は, TA-HPBの添加量と, 全エラストマー中の化学変性されたエラストマーの割合によって大きな影響を受けた. エラストマー強化PA66の100重量部に対して, TA-HPBを1.0重量部以上添加することは非常に重要な技術であった. この技術によれば, 化学変性されたエラストマーの量が少ない場合においてさえも高い耐衝撃強を保持する組成物を得ることが可能であった. TA-HPBを添加したエラストマー強化PA66中には, 非常に多数のエラストマー微粒子が観察された. 本研究の成果として, 組成を最適化したTA-HPBを含むエラストマー強化PA6は, 高い耐衝撃性, 高い曲げ弾性率と低い溶融粘度を有する新しいタイプの超耐衝撃性ポリアミド樹脂として提案された.
  • 永田 謙二, 稲葉 光治, 峠 直樹, 高橋 清久, 青木 雄二
    2002 年 59 巻 11 号 p. 694-701
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    カーボンブラック (CB) 充てんポリプロピレン (PP) /ポリエチレン (HDPE) ポリマーブレンドの電気抵抗率に及ぼすCB粒子の局在化の影響について検討した. まず, CB粒子をPPと混合した. 引続きCB/PP複合材料とHDPEとを混合して, 逐次混練複合材料を作製した. 最初PP相中に分散していたCB粒子は, 逐次混練試料中ではPP相からHDPE相へ移動しようとする. その結果, CB粒子はPP/HDPE界面に局在化する. PP相およびHDPE相がともに連続相であるとき, PP/HDPE界面に局在化したCB粒子はブレンド中で導電性ネットワークを形成することが期待される. 逐次混練試料は同時混練試料よりも低い常温電気抵抗率および高いPTC (Positive Temperature Coefficient) 強度を示した. これらの結果は, PP/HDPE界面に局在化したCB粒子は導電性に効果的であること, および界面に形成された導電性ネットワークはマトリックス高分子の熱膨張とともに膨張しやすいことを示唆している. CB粒子の局在化を透過型電子顕微鏡 (TEM) 観察により確認した.
  • 小川 龍太郎, 長崎 幸夫, 村田 敬重
    2002 年 59 巻 11 号 p. 702-705
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    2, 2, 6, 6-テトラメチルピペラジニル-1-オキシ (TEMPO) ラジカル存在下におけるスチレンのラジカル重合を行い, 分子量分布の狭いポリマーが形成することを確認した. 得られたポリマー末端には2, 2, 6, 6-テトラメチルピペラジニル-1-オキシ基末端を有する. このTEMPO末端ポリスチレンをチオ酢酸存在下で処理することにより, 効率的にTEMPOを脱離させることが確認された. チオ酢酸処理前後のポリスチレンの熱重量分析により, チオ酢酸処理後にポリスチレンの熱安定性が向上することが認められた.
  • 諸田 賢治, 谷岡 明彦, 山形 豊, 井上 浩三
    2002 年 59 巻 11 号 p. 706-709
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    本研究では, 薄膜作製法の一つであるエレクトロスプレーデポジション (Elnctro-spray Deposition; ESD) 法を用いて, ポリエチレングリコール (分子量: 4.0×103; 2.0×104; 5.0×105) および, ポリアクリル酸 (分子量: 4.0×103; 2.5×104; 2.5×105) の薄膜作製を行い, 薄膜の表面構造に及ぼす分子量の影響を求めた. 走査型電子顕微鏡 (FE-SEM) 観察の結果によると, 本法で作製された薄膜の表面は主に球状の粒子が積み重なった構造を示すが, 分子量が大きくなると50~100nmの直径を有する繊維からなる網状構造を示すことが明らかとなった.
  • 諸田 賢治, 谷岡 明彦, 山形 豊, 井上 浩三
    2002 年 59 巻 11 号 p. 710-712
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    薄膜・チップ作製技術の一つであるエレクトロスプレーデポジション法 (Electro-spray Deposition; ESD) を用いてα-ラクトアルブミン, およびインベルターゼのチップを作製した. 電子顕微鏡観察の結果から, 溶質・スプレー時間・濃度の各因子は, チップ表面の構造に大きく影響することが明らかになった. チップ表面は主に粒子の積み重なりによりできており, 多孔質であった. 粒子の形状は溶質により異なり, α-ラクトアルブミンは不定形状, インベルターゼは球状であった.
  • 折原 勝男, 高野 哲, 青木 勝博
    2002 年 59 巻 11 号 p. 713-715
    発行日: 2002/11/25
    公開日: 2010/03/15
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンオキシド (PEO) とポリメチルメタクリレート (PMMA) をブレンドした板の上下間に, 融点あるいは流動化温度以上の温度域で, 温度差をかけながらアニーリングした. 所定時間後室温に放冷して, この板の断面構造を偏光顕微鏡とFTIRを使って調べた. その結果, アニーリング時の温度勾配を一定のままでも, その時間を0分, 170分, ならびに360分と長くするにつれて, 従来型の一様に分布した海島構造から傾斜構造, さらにステップ構造に変化することがわかった. 観測結果から, ポリマーブレンド材料における層状組成の構造物を, 自己組織化的に成形する技術展開の可能性が示された.
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