酸の作用により室温で容易に分解するアセタール結合を導入した三官能性ポリアセタールポリオールを,ヒドロキシ基を有する種々のビニルエーテル[4-ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE),2-ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE),ジエチレングリコールモノビニルエーテル(DEGV),シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(CHMVE)]をグリセリン存在下で重付加反応させることでそれぞれ合成した.そして,得られた各ポリオールを,2,4-トリレンジイソシアナート(TDI)と120°Cで15時間反応させ,フィルム状に成形された各架橋ポリウレタン(PHBVE-PU,PHEVE-PU,PDEGV-PU,PCHMVE-PUとそれぞれ表記する)をそれぞれ合成した.各ポリウレタンのガラス転移温度(
Tg)は,主鎖構造に依存して,PHBVE-PUが-58°C,PHEVE-PUが-41°C,PDEGV-PUが-50°C,PCHMVE-PUが10°Cであった.熱分解温度(
Td)は,PHBVE-PUが290°C,PHEVE-PUが274°C,PDEGV-PUが293°C,PCHMVE-PUが312°Cであり,熱的に安定であった.各ポリウレタンの動的粘弾性試験(DMA)においてゴム状平坦領域は,およそ0°C∼150°C付近で観測された.また,HEVEから得られた親水性のポリオールとPHEVE-PUは温度応答性を有していた.各ポリアセタールポリウレタンは,THF/H
2O(9/1 v/v)混合溶媒中で塩酸を作用させると,室温にて24時間でアセタール結合が加水分解し,各ポリオールの構造に対応したジオールを生成した.
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