高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
72 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
一般論文
  • 福原 吏奈, 宮野 快, 山本 祥正, 石井 宏幸, 河原 成元
    2015 年 72 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2015/01/25
    公開日: 2015/01/23
    [早期公開] 公開日: 2015/01/14
    ジャーナル フリー
    タンパク質を除去することにより溶出タンパク質量の低い精製天然ゴムを調製することを試みた.具体的にはリーチングによる天然ゴム手袋のタンパク質の除去および尿素,ドデシル硫酸ナトリウムおよびアセトンを用いた高アンモニア天然ゴムラテックスのタンパク質の除去を行った.精製天然ゴムの溶出タンパク質量および全窒素含有率は改良Lowry法およびKjeldahl法によってそれぞれ測定した.リーチングによるタンパク質の除去では,溶出タンパク質量は86 µg/gに減少し,全窒素含有率はわずかに低下するにとどまった.一方,脱タンパク質化によりタンパク質を除去した天然ゴムでは,溶出タンパク質量および全窒素含有率がそれぞれ0.0 µg/gおよび0.000 w/w%であった.集束イオンビーム・走査型電子顕微鏡を用いてモルフォロジー観察したところ,天然ゴムの非ゴム成分のナノマトリックスは60°C以上のリーチングで消失した.
  • 飯沼 篤, 橋本 保, 漆﨑 美智遠, 阪口 壽一
    2015 年 72 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 2015/01/25
    公開日: 2015/01/23
    [早期公開] 公開日: 2015/01/07
    ジャーナル フリー
    酸の作用により室温で容易に分解するアセタール結合を導入した三官能性ポリアセタールポリオールを,ヒドロキシ基を有する種々のビニルエーテル[4-ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE),2-ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE),ジエチレングリコールモノビニルエーテル(DEGV),シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(CHMVE)]をグリセリン存在下で重付加反応させることでそれぞれ合成した.そして,得られた各ポリオールを,2,4-トリレンジイソシアナート(TDI)と120°Cで15時間反応させ,フィルム状に成形された各架橋ポリウレタン(PHBVE-PU,PHEVE-PU,PDEGV-PU,PCHMVE-PUとそれぞれ表記する)をそれぞれ合成した.各ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)は,主鎖構造に依存して,PHBVE-PUが-58°C,PHEVE-PUが-41°C,PDEGV-PUが-50°C,PCHMVE-PUが10°Cであった.熱分解温度(Td)は,PHBVE-PUが290°C,PHEVE-PUが274°C,PDEGV-PUが293°C,PCHMVE-PUが312°Cであり,熱的に安定であった.各ポリウレタンの動的粘弾性試験(DMA)においてゴム状平坦領域は,およそ0°C∼150°C付近で観測された.また,HEVEから得られた親水性のポリオールとPHEVE-PUは温度応答性を有していた.各ポリアセタールポリウレタンは,THF/H2O(9/1 v/v)混合溶媒中で塩酸を作用させると,室温にて24時間でアセタール結合が加水分解し,各ポリオールの構造に対応したジオールを生成した.
  • 安田 和敬, Atitaya TOHSAN, Wanwisa LIMPHIRAT, 池田 裕子
    2015 年 72 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2015/01/25
    公開日: 2015/01/23
    [早期公開] 公開日: 2014/12/29
    ジャーナル フリー
    イソプレンゴムに酸化亜鉛,ステアリン酸,N-シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド,硫黄を混練りし,熱プレス時間を変量して作製した5種類の硫黄架橋イソプレンゴムを溶媒抽出に供して未反応の硫黄と加硫促進剤を除去し,室温下,シンクロトロン放射光硫黄K殻X線吸収端近傍構造(S K-edge XANES)測定を行った.硫黄架橋ゴム中のスルフィド結合の硫黄連鎖数は加硫進行によるトルク上昇に伴ってポリスルフィド結合が生成し,トルクが最大に至るとジスルフィド結合に変化する傾向にあった.その後,過加硫によってモノスルフィド結合に変化した.溶媒抽出とS K-edge XANES測定を組合せることにより,熱プレス時間による硫黄架橋ゴム中のスルフィド結合様式の変化を同定することができた.
  • 福原 吏奈, 箕輪 淳, 小杉 健一朗, 山本 祥正, 石井 宏幸, 河原 成元
    2015 年 72 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 2015/01/25
    公開日: 2015/01/23
    [早期公開] 公開日: 2015/01/14
    ジャーナル フリー
    ラテックスNMR法では,ラテックスの分散質に存在する高分子の運動と分散質自身の運動により高分解能スペクトルが得られると考えられる.本研究では,乳化重合により調製したポリアクリル酸ブチル(PBA)のラテックスを用いて,ラテックスNMRスペクトルの分解能における温度の効果を検討した.その結果,高分解能ラテックス13C NMR,1H NMRはそれぞれT-Tg>78 K,T-Tg>91 Kで達成された.PBAのラテックス13C NMRスペクトルの緩和時間と半値幅は高分子および分散質の運動と密接に関係していることが明らかとなった.
  • 檜垣 勇次, 鈴木 研, 小椎尾 謙, 高原 淳
    2015 年 72 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2015/01/25
    公開日: 2015/01/23
    [早期公開] 公開日: 2014/12/26
    ジャーナル フリー
    ジイソシアネート成分としてリジン由来ジイソシアネート(LDI),鎖延長剤として1,4-ブタンジアミン,ソフトセグメントとしてポリ(ε-カプロラクトン)ジオールを原料とするセグメント化ポリウレタンウレア(SPUU)を合成し,力学物性,および生分解性と分子鎖凝集構造の相関について考察した.短鎖脂肪族ジイソシアネートである1,4-ブタンジイソシアネート(BDI)からなるSPUUを対照試料として用いた.対称性の高いウレア結合により構成されるハードセグメント(HS)は水素結合により凝集し,SPUUフィルムはゴム弾性を示した.立体的にかさ高く対称性の低いLDI系HSが形成するドメインは,BDI系HSドメインと比較して凝集力が弱く,昇温に伴い比較的低温で凝集解離して流動し,伸長によっても直ちにフラグメント化して塑性変形した.また,LDI系SPUUでは昇温に伴いソフトセグメントの再配列結晶化と融解が観測された.生分解特性は分子鎖凝集力に依存しており,分子鎖凝集力の低いLDI系SPUUにおいて生分解が確認された.
feedback
Top