臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
53 巻, 12 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
Picture in Clinical Hematology No. 58
臨床研究
  • ―後方視的多施設共同研究―
    高畑 むつみ, 橋野 聡, 藤本 勝也, 遠藤 知之, 小林 直樹, 黒澤 光俊, 岩崎 博, 三宅 高義, 幸田 久平, 前川 勲, 笹川 ...
    2012 年 53 巻 12 号 p. 1983-1990
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル 認証あり
    アルカロイド製剤であるセファランチンは特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対して大量投与することにより血小板増多が認められる例があることが1990年前後に報告され現在も臨床的に用いられている。今回,我々は北海道内の血液診療科を対象にITPに対するセファランチン大量療法の調査を行い,47症例の臨床効果と有害事象の解析を行った。血小板数5万/μl以上の増加を認めた症例は21例 (44%)であり,主治医が有用性ありと判断した症例は36例 (77%)で有害事象は認めなかった。また,セファランチン単独投与群と副腎皮質ステロイド(PSL)併用投与群の比較を行ったところ,両群で投与前に比べ有意に血小板数増加を認め,群間の有意差は認めなかった。セファランチン大量療法は安全性が高く,単独でも血小板増多を認める例があり,PSLの治療効果が不十分であったり減量中に増悪が見られる症例にはPSLと併用をするなど,ITP治療を行う上で使用を考慮する価値があると考えられた。
症例報告
  • 志村 華絵, 今井 陽一, 石山 みどり, 吉永 健太郎, 志関 雅幸, 森 直樹, 寺村 正尚, 泉二 登志子
    2012 年 53 巻 12 号 p. 1991-1996
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル 認証あり
    63歳女性。左頚部腫瘤で発症したHodgkinリンパ腫(混合細胞型,IB期)である。ABVD療法6コースにて寛解を得たのち,左頚部に再発した。局所放射線照射を行い同病変は消失したが,肺門部リンパ節に再発した。Dexa-MEAM療法2コース後,自家末梢血幹細胞移植を施行し全ての病変の消失を認めたが,2カ月後に肺門部リンパ節の腫脹,さらに意識障害と痙攣をきたし,positron emission tomographyにて両側前頭葉などに病変を認めた。脳病変が全脳照射により消失したことからfludarabine-melphalanを前処置としてHLA一致骨髄バンクドナーから骨髄非破壊的同種骨髄移植を行った。以後12カ月に渡り完全寛解を維持している。Hodgkinリンパ腫の自家移植後再発に対する標準療法は確立されておらず,貴重な症例と考えられた。
  • 安井 直子, 康 勝好, 朴 明子, 加藤 元博, 森 麻希子, 秋山 康介, 関 正史, 高橋 寛吉, 花田 良二
    2012 年 53 巻 12 号 p. 1997-2002
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル 認証あり
    免疫抑制療法(IST)が無効の最重症再生不良性貧血(vSAA)に対して血縁HLA一致ドナー(MRD)が不在の場合には,近年,代替ドナーとして非血縁者からの同種骨髄移植が推奨される。しかし,感染症などの合併症により迅速な移植を要する場合には,血縁HLA不一致ドナー(MMRD)や非血縁臍帯血ドナーが選択肢に挙がる。前者では移植片対宿主病(GVHD)が問題となり,後者では生着不全が問題となる。我々は,MRDが不在でISTに不応のvSAAの10歳の男児例が細菌感染症を反復したため,早期の移植が必要であると判断し,low-dose TBIを含む前処置による臍帯血移植(CBT)を施行し良好な経過を得た。症例の蓄積が必要ではあるが,low-dose TBIはCBTにおける生着不全のリスクを軽減する可能性があり,同様の症例に対しCBTは選択肢となり得る。
  • 亀崎 健次郎, 原田 由紀子, 下野 信行, 大島 孝一, 赤司 浩一
    2012 年 53 巻 12 号 p. 2003-2007
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル 認証あり
    症例は66歳,男性。6ヶ月前より周期性発熱を自覚していた。1ヶ月前に前医に入院し,胸腹部CTを施行するも,明らかな感染症や腫瘍を示唆する所見はなかった。当科に入院時,周期性発熱以外に自覚症状を認めなかった。FDG-PET/CTにて,椎体,肋骨,肩甲骨,骨盤骨,両側大腿骨に不均一な異常集積を認め,異常集積の認められる腰椎より針生検を行い,骨原発Hodgkinリンパ腫の診断に至った。ABVD療法を導入後,速やかに解熱し,ABVD療法6コース施行後に寛解に到達し,診断から五年後の現在も寛解を維持している。骨原発Hodgkinリンパ腫は極めて稀であり,特異的な症状や画像所見に乏しく,診断は困難なことが多い。本症例のように局所症状を認めなくても,周期性発熱などを認め,悪性疾患を考慮する場合は,機能的画像診断として,FDG-PET/CTは非常に有用であったと考えられる。
  • 長尾 貴代, 高橋 直人, 齋藤 宏文, 野口 晋佐, 郭 永梅, 伊藤 貢, 渡部 敦, 藤島 直仁, 亀岡 吉弘, 田川 博之, 廣川 ...
    2012 年 53 巻 12 号 p. 2008-2012
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル 認証あり
    症例63歳女性,HTLV-Iキャリア。発熱,肝機能障害,汎血球減少のため入院。CT上肝脾腫と骨髄検査でCD20陽性の大型異型リンパ球と著しい血球貪食像を認めた。遺伝子検査でIgH再構成を認めた。以上の検査よりB細胞性リンパ腫関連血球貪食症候群(B-LAHS)と診断しR-CHOP療法を開始した。4コース後肝脾腫と肝機能障害は改善し,骨髄検査では異型リンパ球と血球貪食像が消失した。IgH遺伝子再構成陰性となり分子遺伝学的寛解と判断した。しかしながらR-CHOP 5コース目施行後より末梢血に小型~中型の核に切れ込みを有するATL細胞が出現し,サザンブロットではHTLV-IプロウイルスDNAのモノクローナルバンドを認め,成人T細胞性白血病(ATL)急性型の合併と診断した。本症例はリンパ腫あるいは化学療法による持続的な宿主免疫の低下がATL発症の契機となった可能性を示す。
  • 田中 紀奈, 吉永 健太郎, 浅野 千尋, 風間 啓至, 岡村 隆光, 志関 雅幸, 森 直樹, 寺村 正尚, 日下部 きよ子, 坂井 修二 ...
    2012 年 53 巻 12 号 p. 2013-2017
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/01/11
    ジャーナル 認証あり
    POEMS症候群の多くの症例は骨硬化性形質細胞腫を合併している。病変が限局域の症例は放射線療法が有用だが,広汎病変の症例では化学療法が必要となる。それ故,病変の広がりの評価は治療戦略の決定に重要である。
    我々は,POEMS症候群の2症例において18F-FDG PET/CT検査を用いて病勢の評価を行った。1例目ではPET/CT検査により単純X線写真やガリウムシンチで検出できなかった病変が明らかになった。また残存病変や再発の検出に有効であった。2例目ではPET/CT検査によりリンパ節病変の存在を疑われ,その後の生検にて形質細胞腫を確認することができた。本例の髄外病変は骨髄腫と同様にFDGの取り込みが強かったが,骨病変はCT検査でのみ検出することができた。
    POEMS症候群において,PET検査とCT検査は相互補完的であり,これらを組み合わせたPET/CT検査は病変評価に非常に有用と考えられる。
短報
例会
feedback
Top