未熟型形質細胞が急速に浸潤増生した骨髄腫に,末梢血幹細胞移植術(PBSCT)を施行した。症例は54歳,男性。右眼窩の腫瘍剔出術を受け形質細胞腫と診断された。約3年後左肺および両腎に腫瘤を指摘され,当科入院となった。左肺腫瘤は経気管支肺生検で,形質細胞腫と診断された。血清中にM-蛋白,IgGλが検出され,IgGは4,557 mg/d
lに増加していた。骨髄中に形質細胞の増加は認めなかった。Etoposide大量療法(500 mg/day, 4日)にてPBSC (3.3×10
6/kg)を採取したが,経過中に急速な進展をきたしたため,移植前治療としてcyclophosphamide(2.0 g/day, 2日),etoposide(200 mg/day, 3日),ranimustine(200 mg/day, 2日)を投与し,PBSCTを行った。移植後顆粒球数500/μ
l, 血小板数5万/μ
l以上に回復するのに要した日数はおのおの7, 14日で,効果はminor responseであった。しかし2カ月後白血化をおこし,肺出血にて死亡した。剖検の結果,未熟型形質細胞が心,肝,脾,腎,消化管,骨,骨髄,その他全身性に浸潤しているのが確認された。
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