澱粉の糊化時において, S-E添加により, 糊化開始温度および最高粘度値を与おる温度の高温側へのずれ, Peak Viscosityが増大すること, 老化に伴なってゲル強度が減少し, 粘弾性が低下すること, 老化の進行が抑制されることなどの従来より知られている諸現象は小麦粉懸濁液に関しても同様に見出された。また, 本実験で明らかにされたことは, これまで各種界面活性剤の澱粉に及ぼす効果がその糊化時において調べられてきたが, 冷却時のViscogramに現われるPrek (h) はS-Eに由来するものであり, このPeakを取り扱うことの方がより有効であろうと思われる。さらに糊化過程は澱粉について1段階, 小麦粉については2段階であるのに対してS-E添加小麦粉のそれはほぼ3段階であること, S-E添加量は部分的ゲル (ママコ) の形成と老化抑制能に関与し, 小麦粉量に対して1-5%のS-E添加量が最も適当であることなどを明らかにすることが出来た。
抄録全体を表示