食品中のチロシン含量を測定する場合, 次の2つに分ける必要がある。
(1) 炭水化物が少なく蛋白質の多い食品は4N-HClを用いて120℃, 15時間加水分解後, 1-nitroso-2-naphtholを用いる化学定量法により定量した場合に最高値が得られる。ただし, 酸加水分解液を
Leuc. mesenteroides P-60を用いる微生物定量法によっても, また, 4N-NaOHを用いて120℃, 15時間加水分解後化学定量しても最高に近い値が得られる。
(2) 炭水化物が多く蛋白質の少ない食品は, 4N-NaOHを用いて120℃, 15時間加水分解後, 化学定量するのが最適で他の方法では定量値が低くなる。この場合, 加水分解中にチロシン以外のnitrosonaphthol反応陽性物質ができるが, このものはチロシン誘導体であり, アルカリ加水分解後の化学定量値をそのままチロシン含量とできることを確認した。
抄録全体を表示