栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
23 巻, 3 号
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  • (第8報) 葉酸および塩化ソーダの影響
    一瀬 義文, 藤山 恵子
    1970 年 23 巻 3 号 p. 157-160
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    (1) 生体内ではビタミンC (C) は葉酸 (FA) によって酸化16) されるがin vitroでは却ってFAによってCの酸化はある程度抑制された。
    (2) LAA: FAがそれぞれ1: 2, 1: 1, 1: 0.1および1: 0.05の比になるようにL-アスコルビン酸 (LAA) 溶液 (10mg%) に加え5~60分間煮沸したところ, FAの多い程, また加熱時間の長い程FAのC酸化抑制効果は大きかった。即ちLAAの残存率 (R) は多くなった。
    (3) FAのほか, さらにNaClを0.5, 1.0, 4.0および10g/dlになるように加えたところNaClの量に関係なくFAだけの場合よりもさらにRが増加した。これはNaClの添加によるpHの減少が一因と思われた。
    (4) キャベツにFAをC: FAが1: 2, および1: 0.1になるように加えて水煮したところ, 1: 2以外のものは殆んど影響を認めなかったが, さらにNaClを1.4および10g/dlになるように加えたC: FAが1: 2のものは4~6%Rが増加した。この場合も (3) と同様にpHの減少がR増加の一因と思われた。
    (5) FAがLAAの酸化をある程度抑制した機構およびNaClの添加によってpHが酸性側に移動した理由などについてはさらに検討したい。
  • 1. シロネズミにおけるブチルヒドロキシアニソールの排泄および生長におよぼす影響
    野中 修, 細野 道子
    1970 年 23 巻 3 号 p. 161-163
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    (1) BHAのシロネズミの排泄および生長におよぼす影響につき検討した。
    (2) 18%カゼイン食においてはBHAの0.1%添加は生長を低下させた。
    (3) 白米食においてはその生長は30日目以後BHA添加は無添加より多少よくなった。
    (4) BHAのみかけの排泄率は白米食で14.3%, カゼイン食で13.2%であった。
    (5) 両試験食ともBHAの排泄は尿中への方が多かったが, 尿, 糞中への分布の割合は異なり, 白米食で糞1に尿7であったがカゼイン食では1: 3.6であった。
  • アサリ諸成分の周年変化について
    石原 忠, 保田 正人, 高本 健一
    1970 年 23 巻 3 号 p. 164-168
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    アサリを肉質部と外液部にわけて有機酸ならびに諸成分 (水分, 窒素化合物, リン化合物) の含量とアルカリ性ボスファターゼ, 酸性ホスファターゼ活性の周年変化を調べた。
    1. 各部位重量の季節的変動は2~5月は肉質部が外液部より多く, 6, 7月は肉質部と外液部のしめる割合はほぼ等しく, それ以後, 特に10月下旬より12月にかけては外液部のしめる割合が多くなる。
    2. 窒素化合物は各月の変動が著しいが, 肉質部の可溶性総窒素, 外液の総窒素はおおむね生殖巣の発達の時期に高い含有量を示した。
    3. 肉質部, 外液部とも無機リンは周年あまり変化はなく, 総リンおよび酸溶性リンは環境水温の高い夏季に多く, 冬季には少ない。また春季にも高くなるがこれは生殖巣の発達による影響と考えられる。
    4. 肉質部のコハク酸含量は12月に最低の, 12mg%, 9月下旬に最高の97mg%を示しかなりの差はあるが, 他の月はおおむね20~50mg%であった。
    5. 外液中のコハク酸は一般に非常に少なく, 0~8mg%であるが6月に一度120mg%を検出した。これは季節的変動と考えられずむしろ急激な環境変異などによる異常代謝の結果と想像される。
    6. 内臓部のアルカリ性および酸性ホスファターゼと外液のアルカリ性ホスファターゼは一般に夏季に低く, 12月から, 5, 6月にかけて高くなる。
  • アサリ採取後の放置条件による諸成分および数種酵素活性の変動
    石原 忠, 保田 正人, 高本 健一
    1970 年 23 巻 3 号 p. 169-174
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. 市販アサリのコハク酸含量は12, 1, 2月の試料で外液部に全コハク酸量の25~37%を含み非常に多く, 肉部も前報のほぼ同一期の採取試料中含量に較べ比較的高かった。
    2. アサリを空気中に露出した場合24時間でコハク酸は肉部, 外液部ともに増加した。特に外液部では正常とみなした試料では10mg%以下のものが著増し, 2月の試料で72.4mg%, 9月の試料で108.6mg%となり全コハク酸量の56.4, 42.7%をしめた。
    3. アサリを淡水中に24時間, または35℃の温海水に3時間浸漬した場合コハク酸は肉部, 外液部とも増加し外液部で全コハク酸の60%をしめることがあった。
    4. アサリを半露出状態に7日間放置した場合, 肉部のコハク酸は一度減少後増加したが外液部では初期の増加後, 逆に減少し両部の変動は同一傾向を示さなかった。
    5. N化合物, リン化合物および数種の酵素活性については上記の放置条件で外液部, 肉部ともに変動が認められたが, 傾向的なものは確認できなかった。
  • 浜 堯夫, 玉木 七八, 飯泉 久子, 宮本 文子
    1970 年 23 巻 3 号 p. 175-179
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    ラットに6-アザウラシル, β-アラニン, カルノシンをそれぞれ10mg/day/ratの用量で15日間皮下投与し第16日に6-アザウラシルは25mg, β-アラニンとカルノシンは50mgずつを腹腔内投与後正確に1時間後の肝, 腎, 肺, 心, 脾, 小腸, 腓腸筋中のβ-アラニン, カルノシンおよびアンゼリン含量並びにRNA, DNA含量を比較した。その間尿中オロチン酸排泄, 体重増加率も併せて検討し核酸代謝とβ-アラニン, カルノシン, アンゼリンの密接な関係の一端を明らかにした。
    (1) 6-アザウラシル投与群で各臓器中のβ-アラニンの含量が著明に増加する。カルノシン, アンゼリンは対照群において腓腸筋にのみ検出されるが6-アザウラシルの投与により3および2倍に増加するとともに肝, 心中に検出される。
    (2) β-アラニンの投与により腓腸筋以外の各臓器中のβ-アラニン含量が増加するとともに肝にカルノシン, アンゼリンが, 小腸にカルノシンが検出され腓腸筋中のアンゼリンが3倍に増加する。
    (3) カルノシンの投与により肺以外の各臓器中にカルノシンが検出されると共にアンゼリンが肝, 小腸に検出され, 腓腸筋で2.7倍になる。またβ-アラニンが脾, 腓腸筋中にも見出され, その他の臓器でも著明に増加する。
    (4) β-アラニン, カルノシンの投与により一般に各臓器のRNA含量が増加する。DNAには著明な影響がない。
  • 飼料の一部を自然食にした動物実験
    武藤 静子, 水野 清子
    1970 年 23 巻 3 号 p. 180-184
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    幼少白鼠の飼料の脂肪源として動植物性食品および動植物性油脂を用い, 飼料の脂肪熱量比を13, 20, 30, 40, 50%とした場合, 一般健康状態, 血漿コレステロール値, 小腸および膵臓のリパーゼ活性に飼料による差異は見出されなかったが, 体重発育は50, 30, 40, 20%の順で良かった。また飼料効率は飼育7週目までは50%群が最高, その後は40, 30%群と, 最高位が低脂肪群に移行した。
  • 片山 洋子, 須川 洋子, 槇 千征子, 稲垣 長典
    1970 年 23 巻 3 号 p. 185-190
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    種々の食餌条件によるG-6-PDHの適応現象についてシロネズミ肝を用いて検討した。
    1) シロネズミを2日間絶食にしたのち, 無蛋白食あるいは20%カゼイン食 (糖質源はフラクトースまたはグルコース) を再投与して, 肝G-6-PDH活性の変動を観察した。
    肝G-6-PDHの活性は無蛋白食の再投与では上昇せず, 食餌中に20%カゼインを含む場合にのみ活性の上昇がみられた。 糖質源がフラクトースのときにはグルコースのときよりも活性の上昇が著しかった。 本酵素の食餌性誘導には, 糖質と蛋白質の両栄養素が不可欠であり, 酵素のde novo合成が関与するものと推察される。BR>2) DEAE-セルロース・カラムクロマトグラフィーにより, 肝G-6-PDHを部分精製することによって, 比活性はその4~6倍に増大した。
    3) 食餌性に誘導された肝G-6-PDHを部分精製したのちディスク電気泳動法によってその酵素蛋白質を分離した。
    カゼイン食の再投与時にはディスク電気泳動像として2本のバンドが明らかにあらわれるのに対し, 絶食時, 無蛋白食の再投与時または対照シロネズミ肝においては, その一方のバンドが不明瞭であった。 この傾向は糖質源がフラクトースあるいはまたグルコースのときも同様であった。
  • 脱脂粉乳使用献立と牛乳使用献立との蛋白価比較
    神戸 保
    1970 年 23 巻 3 号 p. 191-195
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    全国30市町村の昭和42年度小学校高学年用学校給食献立表から, 脱粉 (26~28g) 使用献立と牛乳 (180cc) 使用献立について蛋白質の内容比較を行なった。
    Protein Scoreは, 脱粉, 牛乳各使用献立ともに75, Chemical Scoreは, 脱粉使用献立64 (日本鶏卵値4) から), 75 (FAO/WH0鶏卵値3) から), 牛乳使用献立67 (日本), 78 (FAO/WH0) で, Chemical Scoreについては牛乳使用献立の方が多少良質といえるが, E/Tは, 脱粉使用献立2.52, 牛乳使用献立2.44, 摂取蛋白質量は, 脱粉使用献立30.0g, 牛乳使用献立27.9gで, E/T比, 蛋白質量は脱粉使用献立の方が高かった。なお各Score共に第1制限アミノ酸は含硫アミノ酸であった。
  • 味噌タンパク質の電気泳動分析
    伊東 清枝
    1970 年 23 巻 3 号 p. 196-204
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    (1) 味噌タンパク質の検索にDavisのディスク電気泳動法を用いて, 豆味噌, 生大豆, 実験室で調製した米味噌熟成過程の大豆について行なった。あわせて緩衝能について調べた。
    (2) 豆味噌タンパク質の検索を硫安分画法で行なったが, 硫安濃度に関係なく, タンパク質は2分画された。
    (3) 豆味噌の水抽出タンパク質は陽極側に7分画と陰極側に3分画検出されたが, 脱塩操作によって分画が異なることがわかった。
    (4) 味噌の原料である大豆の水抽出タンパク質は陽極側に12成分が検出されたが, 加熱によって不溶化して不鮮明な分画となった。
    (5) 熟成過程における大豆の水抽出タンパク質は米麹の作用によって分解, 生成され, 仕込後6日にして, 生大豆のアルブミン区に相当する区分が50%以上となり, 熟成がすすむに従って, この区分のみ増加し, 38日目には57%に達した。この区分は大豆では14.5%を, 八丁味噌では59.7%を占め, 麹菌体の緩衝液抽出タンパク質およびボビンアルブミンのプレアルブミンの泳動ゾーンと重なるものであった。
    (6) 味噌の熟成過程における大豆の緩衝作用の強くなる状況を把握することができた。
    本研究の一部は昭和43年10月, 日本家政学会総会で発表したものである。
  • 豆味噌タンパク質に関する実験
    伊東 清枝
    1970 年 23 巻 3 号 p. 205-212
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. 豆味噌水抽出タンパク質の各区分について電気泳動法およびゲル 過法によって検索し, 濃度, pHの相違による挙動についてしらべた。
    2. 水抽出タンパク質はボビンアルブミンのプレアルブミンと同一の移動値を示し, 粘度測定値から球形コロイドの性質を有するものであると判断した。
    3. タンパク質の挙動を示すペプチッドが多量に含まれていることを確認した。
    4. 水抽出タンパク質の電荷が0となる点は粘度測定値およびタンパク質量よりpH4.6~4.7およびpH4.2~4.3であると考えた。
    5. 水抽出タンパク質およびペプチッドは高濃度においては溶媒和しており, アルカル性領域においては著しく変化するが酸性領域では変化が少ないことがわかった。
  • バナナ中の硝酸塩含量とかん内面腐食について
    岩本 喜伴, 宮崎 正則, 前田 ゆう子, 堀尾 嘉友
    1970 年 23 巻 3 号 p. 213-217
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    市販バナナ生果中の硝酸塩含量の測定ならびにバナナピューレーを用い果汁含量 (硝酸塩含量) を異にした試験かん詰を製造し, スズ異常溶出におよぼす硝酸塩の影響を検討した。
    1) 市販されているバナナ生果中の硝酸塩含量は外観からの熟度に関係なく, 硝酸性窒素は3-30ppmとバラツキが認められた。
    2) 原料中に多量の硝酸塩が含まれているとオレンジジュースならびにトマトジュースかん詰で認められたのと同様にバナナジュースかん詰においても製造後短期間内にスズの異常溶出が認められた。
    3) 実かん試験の結果から硝酸性窒素1ppmに対するスズの溶出量は約30ppmであった。
    4) バナナをかん詰原料として使用する場合には原料中の硝酸塩含量に注意しなければならない。
  • 道 喜美代, 桜井 幸子, 栗原 長代
    1970 年 23 巻 3 号 p. 218-221
    発行日: 1970/04/10
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    しいたけの熱水抽出液より, Amberlite IR-120 (H-型) に吸着し, 塩基性酢酸鉛沈澱, IR-4B (-OH型) 吸着, 0.5N酢酸溶出によりmp. 278℃ (dec.), 〔α〕 D19+50° (C=0.3, 0.1N NaOH), 元素分析の結果C9H11O4N5の分子組成の酸性物質を単離した。
    本物質C9H11O4N5はU. V. spectra λmax259mμ (0.1NHCl), λmax260mμ (0.1N KOH) でAdenosineに近似し, IR, NMR spectra測定の結果, KamiyaらのLentysine (4- (6-aminopurine-9-yl) -4-deoxy-D-eryth-ronic acid) に一致する構造式が推定された。
    本物質は高コレステロール血症とした雄白鼠に対し, 10mg%添加飼料, 7~8日間投与で, 顕著な低下効果すなわち, コントロールの血漿コレステロールレベルの約65%に低下することを認めた。 但し, この際, 肝コレステロールレベル, 肝脂肪量には影響のないことが認められた。
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