栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
21 巻, 3 号
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  • 古武 彌人
    1968 年 21 巻 3 号 p. 155-162
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    Since 1950 we have conducted a series of experiments on the diabetic symptoms in albino rats caused by the administration of xanthurenic acid (XA), an abnormal metabolite of tryptophan. Our studies have given conclusive evidence that XA is related to the development of human diabetes, a disease generally attributes to an inadequate food intake. Evidence also suggests that there is a close relationship between animal and human diabetes.
    Experiments have shown that XA is a substance produced in the body as a result of intake of excess of the sodium salts of fatty acid (representing fat) and tryptophan (representing animal protein).
    Taking into consideration the chronic nature of human diabetes, we then studied the development of chronic diabetic symptoms in rat caused by accumulative effect of XA produced in the body when vitamin B6 deficient diet or excessive fat and tryptophan diet was administered for a long period. Then the pancreatic tissue of these rats was examined histologically. A decrease of stainability, a decrease in granules, much vacuole formation, and collapse of the protoplasm were noticeable in the β-cells of the islets of Langerhans.
    We then examined fairly large amount of XA in the urine of many diabetic patients by the partition paper chromatographic method. These is an undeniable etiological relationship between free XA and human diabetes since a fairly large amount of XA in a free form present in the urine was invariably present in the urines of diabetic patients.
    Murakami, one of our co-worker, recently showed that XA formed a binding complex with insulin. We have observed XA bound with insulin in human serum. XA-insulin complex showed a new fruorescence spectrum. The hormonal activity of XA-insulin complex was markedly decreased.
    From these results we may suggest that experimental diabetes in the presence of XA may be induced by the following mechanism:
  • 外川 嘉子
    1968 年 21 巻 3 号 p. 163-166
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    種々なタンパク質をカビのプロテアーゼで部分的に分解したものを用いて動物実験をした。
    1. タマゴのタンパク質は未処理のものに比べて酵素分解したものははるかによい成績を示し, ダイズがこれに次いだ。
    2. カゼインは酵素処理した方がむしろ成績が悪く, グルテンは特にこの傾向が著しかった。
  • 外川 嘉子
    1968 年 21 巻 3 号 p. 167-170
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    タンパク質分解酵素のうち, 酸性プロテアーゼとアルカリプロテアーゼを用いてカゼインを分解し, これらのものを用いて栄養実験をした。
    1) カゼインのプロテアーゼ分解物は分解率を高くすれば酸性プロテアーゼを用いた場合は成長成績は悪くなり, 反対にアルカリプロテアーゼを用いると成長は良くなる。分解の度を低くすると両者は対照との間に差はなくなる。
    2) これらの分解物の遊離アミノ酸を定量した結果, アルカリプロテアーゼの方は酸性プロテアーゼ分解物および未処理のカゼインのアミノ酸組成に比べてトリプトファン, リジン, アルギニン, メチオニンなどの必須アミノ酸の量が多く, 分解することによってカゼインが栄養的にもすぐれたものになっているという結果が見られた。
  • 鈴木 正成, 小柳 達男
    1968 年 21 巻 3 号 p. 171-174
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    体重380g前後の雄ラットを1週間絶食させて各脂肪組織の組織重量, 脂質含量および副睾丸脂肪組織と腎周囲脂肪組織の脂肪酸組成におよぼす影響を検討し, つぎのような結果を得た。
    1週間の絶食で体重は平均65g減少した。 脂肪組織の減少は皮下および腎周囲脂肪組織でとくに著しく, 副睾丸脂肪組織がそれについだ。しかし, 腸間膜, 大網膜および肩甲骨間脂肪組織は有意の減少を示さなかった。
    各脂肪組織の脂質含量は1週間の絶食で減少したが, 皮下および腎周囲脂肪組織で著しい減少が認められ, ついで副睾丸脂肪組織で著しかった。しかし, 腸間膜, 大綱膜および肩甲骨間脂肪組織では明らかな減少は示されなかった。また, 副睾丸脂肪組織の減少は脂質の減少によるが, 脂質以外の組織成分の増加がみられる点で他の脂肪組織と異なった変動を示した。
    また, 副睾丸脂肪組織の脂質脂肪酸組成は絶食の影響を受けなかったが, 絶食による変動がより大きかった腎周囲脂肪組織で, オレイン酸が高度の有意性をもって増加するのが認められた。
    以上のような結果から, 絶食時における各脂肪組織の脂質代謝に差異があることが明らかにされた。
  • 鉄の定量について
    長田 博光, 後藤 郁子
    1968 年 21 巻 3 号 p. 175-180
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. 食品中の鉄を迅速に, しかも正確に定量する目的で原子吸光分光分析法を検討した。
    2. 原子吸光分光分析法による鉄の定量について基礎的な検討を行ない, その測定条件を定めた。すなわち波長248.3mμ, 電圧200V, ランプ電流15mA, スリット幅0.2mm, アセチレン圧0.35kg/cmcm2, 15l/min, 空気圧1.4kg/cmcm2, 7l/minとした。
    3. 共存元素の影響について調べた結果ケイ素, アルミニウム, リン, 錫, 亜鉛, クロームがかなり鉄の吸光に影響したが, いずれも測定液中にストロンチウム2500ppmを添加することによりこれらの干渉を抑制することができた。
    4. ストロンチウムの添加によりノイズが大きくなり測定が困難になるが, 測定液中にエチルアルコール5ml添加し測定前にバーナーヘッドを1%フイチン酸溶液に約10分間浸漬し, 水洗することにより完全にノイズを抑制することができた。
    5. 添加回収試験を行なったがほぼ満足な結果を得た。
    6. 原子吸光分光分析法とo-フエナントロリン法との定量値の比較を行なったがほぼ同値を得た。
    7. 原子吸光分光分析法による定量値の再現精度は同一試料液について6回測定した結果カツオ, アサリの変動係数はそれぞれ1.63%, 4.23%であった。
    8. 水産食品中の鉄の含量は1~20mg%であり, 小エビが最も少なく貝類に比較的多く含まれていた。
  • 魚介類のコハク酸脱水素酵素活性について
    長田 博光, 後藤 郁子, 大塚 滋
    1968 年 21 巻 3 号 p. 181-184
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    1. アサリ, 赤貝などの二枚貝にはコハク酸が非常に多く含まれている。一方他の魚介類にはコハク酸はあまり含まれていないが, この相違がコハク酸脱水素酵素の活性の強弱に起因するかどうかを明らかにするためにこの研究を行なった。
    2. アサリ, 赤貝のコハク酸脱水素酵素はアワビのそれよりも活性を示すのがややおそい。しかしその活性の最高値はアワビのそれよりも高かった。
    3. 魚類のコハク酸脱水素酵素はアサリ, 赤貝のそれに比べてやや早く活性を示したが, チダィ, スズキ, メバル, マアナゴの酵素活性はイシダイ, キユーセン, コノシロのそれに比べて比較的おそく現われた。またその酵素活性の強さはコノシロ, イカナゴがやや強くアイナメは最も強かった。しかし他の魚類の酵素活性は貝類のそれとあまり変らなかった。
    4. 他の魚介類のコハク酸脱水素酵素の活性はクルマエビが最も強く, アサリ, 赤貝の酵素活性の約10倍であった。またコウィカ, イイダコの酵素活性も比較的強かった。しかしテナガダコの酵素活性は貝類のそれと殆んど変らなかった。
  • かぼちゃ, にがうり, ピーマン, からたちの遊離糖含有量
    松下 アヤコ
    1968 年 21 巻 3 号 p. 185-188
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    かぼちゃ, にがうり, からたち, ピーマンの果肉および種子の成熟過程中の遊離糖含有量の変化状況をpaperchromatogramsの分割, 溶出およびmicro-BERTRAND法を応用して定量を行なった。sucrose, glucoseの二種は果肉および種子の未熟時から成熟にいたるまでの期間を通して見出しうるがraffinose, stachyoseは成熟した種子中にのみ見出しうる。試料果肉および種子中のglucose含量は未熟時から成熟時まで常に他の遊離糖の最高位含量を示し主要な糖である。成熟過程における果肉中のglucose含量は概して未熟時に最低量を示し成熟時近くに最高量を示す。また種子中のglucose含量は未熟時に最高量を示し成熟時に最低量を示す。
  • 家蚕の無菌飼育人工飼料
    阿久根 了, 渡辺 忠雄, 木村 午朗
    1968 年 21 巻 3 号 p. 189-192
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    容易に飼育できる無菌動物の一つとして家蚕の無菌飼育を試み, 脱脂米糠, 桑葉粉末などを主体とした人工飼料を調製した。
    脱脂米糠は希硫酸溶液或いはメタノールなどで抽出処理をおこなうことにより食下性が改善されることを知った。また希硫酸処理糠は脱脂米糠より飼料としてすぐれているものと推測された。
  • 小宮 和彦, 鈴木 和子, 高津 明男
    1968 年 21 巻 3 号 p. 193-198
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    東邦大学病院小児病棟給食の献立についてアミノ酸組成について調査を行ない, 新旧の蛋白評価のscoreの比較を行なった。またさらに幼児の一般家庭, 保育所などでの調査成績との比較を行なった。これらのscoreの比較から得た私見を以下に記す。
    1) 蛋白の質についての評価法としては, 常識的な値と比較すると, FAO価の方が鶏卵価, 人乳価などよりよく一致する。
    2) E/T比とchemical scoreを分ける場合は, 各々の値の比重のとり方が簡単でなく, 一次元の尺度で理解することが容易ではない。
    3) 牛乳を多量に用いる乳幼児期の食事の評価にあたっては, 鶏卵価よりも人乳価の方が常識的評価に近い価が得られる。
    4) 人乳価ではtryptophanが, また鶏卵価では含硫アミノ酸が制限因子となることが多い。おそらくこの中間のパターンの比較蛋白を用いるのが, より合理的と思われる。
    5) 普通の意味での蛋白の質を表現する為の一次元の尺度として, FAO価のようなscoreを求める方法も, 実用的立場からはあってよいと思われる。但し比較蛋白についてはさらに検討が必要である。
  • アサクサノリのトリプシン阻害物質について
    石原 忠, 保田 正人, 槌本 六良
    1968 年 21 巻 3 号 p. 199-202
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    アサクサノリ中にトリプシン阻害物質の存在を確認しその性質を調べ次の結果を得た。
    1. 阻害物質の抽出量はNaClの濃度に比例して増加し, 中性付近での抽出が良好である。
    2. ペプシンに対しては阻害作用はなく, 逆にペプシンにより分解され, 50%程度阻害力が低下すること, 硫安, アセトンにより沈澱すること, およびDEAE-セルロースカラムで280mμの吸収の山と一致して阻害物質が溶出することより蛋白質性物質と思われる。
    3. 熱安定性は非常に高いものとしからざるものが存在する。またpHに対する安定性はpH2~9で5時間放置では全く影響がなかった。
    4. 紫外線照射によって品質が低下しても阻害物質には何ら影響を与えない。
    5. 阻害物質はDEAE-セルロースカラムクロマトにより2種に分離された。
  • 生籾の連続乾燥における加熱温度の高低が玄米のpH, 還元糖量, 水溶性乾固物量, 酵素活性度, 並びに呼吸作用に及ぼす影響
    岡村 保, 松久 次雄, 芦田 憲義
    1968 年 21 巻 3 号 p. 203-207
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    近時籾米の乾燥に加熱乾燥法が導入されるにつれ, 米の加熱に伴なう品質変化について再検討を迫られている。本報は食味に関係の深い玄米の還元糖量, 水溶性乾固物量その他1~2の関連項目が, 生籾の加熱乾燥によってどのように変化するかを調べたものである。
    生籾の連続加熱乾燥による米の諸形質の変化には著しいものがあり, 乾燥温度が高いものほど, pH, 水溶性乾固物量, カタラーゼ活性, パーオキシダーゼ活性は低値を示した。還元糖量, α&βアミラーゼ活性は30℃および40℃で高値を与え, さらに高温では減少した。したがって, さきに岡村が指摘したように, 乾燥過度米や火力乾燥米の食味の低下の要因の1つは, 呈味質としての還元糖量の低下によるものということができる。
    さらに還元糖量の増減は, アミラーゼ活性の増大による還元糖の生成と, 籾の呼吸作用に伴なう糖の消費との両者の収支関係から説明できよう。籾の呼吸作用と温度との関係は, 他の穀類と同様, 50℃付近より高まり, 60℃前後で最高となった。この時発生するCO2の一部が, 玄米のpH値の低下に深く関係したと考えられる。
    以上の結果から, 本実験の範囲内での, 籾の加熱乾燥における経済的な安全温度は, 30~40℃のようである。
  • 加熱時間の長短と間歇加熱乾燥が米の理化学性に及ぼす影響
    岡村 保, 松久 次雄, 芦田 憲義
    1968 年 21 巻 3 号 p. 208-211
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    生籾の理化学性は, 加熱乾燥時間が長ければ長いほど, 悪変化が著しかった。すなわちpHの低下, 還元糖量の減少, 酵素活性度の低下が認められた。前報の加熱温度との関係を併せ考えると, 籾の加熱乾燥は, 低温かつ短時間でおこなわれることが望ましい。
    燃料費の節減と, 胴割防止効果を狙った間歇乾燥は, 実用上の技術的問題は別として, 籾の理化学性に好結果を与えた。
  • 生籾の火力乾燥が米の電気伝導度並びにカリウム溶出率に及ぼす影響
    岡村 保, 松久 次雄, 芦田 憲義
    1968 年 21 巻 3 号 p. 212-216
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/11/16
    ジャーナル フリー
    火力乾燥をした籾の理化学性をみる過程において, 処理籾より得た玄米の電気伝導度を調べたところ, 加熱温度が高いものほど電気伝導度は小値を与えた。また加熱時間についても, 長時間にわたるものほど電気伝導度は低かった。水溶性カリウム量もこれと同一の傾向を示したことから, 電気伝導度は水溶性カリウム量に大きく左右されるものとおもわれる。
    またカリウム溶出率は, 加熱湿度によりほぼ一定であるかのごとくであり, 加熱温度を事後にチェックする一手段として利用しうるのではないかとの希望を与えた。一方水溶性ナトリウム量は, 今回の結果からは, 一定の傾向を認めることができなかった。
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