1) 母体のCa, Srが胎児に移行する際に差別をうけるか, その様相を調べる目的から実験を行なった。
2) 妊娠したラットに, 受胎後6, 13, 19及び21日目にCa45, Sr89の二重標識液を腹腔注射した。それから, 各々を24時間後殺して解剖, 胎児及び母体の各種組織を取り出して計測した。
また, 20日目の胎児を切片としてミクロラジオオートグラフを摂った。
3) 胎児は, 妊娠前期にあたる7日目ではまだほとんど発育がみられず, 後期の14日目になって大分発育していた。分べん直前には十分に発育しており, 顕微鏡下でも完全な発育が認められた。
4) Ca, Srの差別は, 何れの場合にも著明なCa優位の差別を示す。そして妊娠初期から分べんに到る問, 経時的に増大し, 新生児の体内には, CaはSrの2倍以上もあらわれる。
5) 胎児におけるこのCa優位の差別は, 母体中の各器管, 組織のそれと比べて最も大である。
6) 胎児中ではCa優位の差別があらわれるが, Ca,
Srの胎児の組織内における分布は, ほとんど同一で差違を認めることができない。
抄録全体を表示