脂肪酸エステル系界面活性剤のはるさめに対する分線効果について検討し, 以下の結果を得た。
1) いずれの脂肪酸エステルもアルキル基鎖長の大きいほうが分線効果が大きく, 同一アルキル基鎖長ではモノエステルがもっとも効果が大きく, ジエステル, トリエステルの順となった。
2) 分線効果とHLBとはある程度関連性をもつことが認められ, HLBと化学構造より分線効果を推定することも可能と思われる。
3) ばれいしょデンプンの比率を高めるほど, 分線効率は低下し, 分線剤濃度を増加する必要があるが, かんしょデンプンの配合比率が高い場合は容易に分線され, 分線剤濃度は低くてよい。
4) ソルビタンステアリン酸エステルとショ糖オレイン酸エステルの組合せが分線剤として良好であった。
5) 分線剤を使用することによって分線時間の短縮が可能であった。
6) はるさめの脱水および凍結時間のいずれも短い場合, 分線は困難であった。
7) 分線剤で処理されたはるさめは, 無処理のものにくらべて, 膨潤しにくく, 水溶性は緑豆はるさめとほぼ同一の値にまで低下できた。
8) 走査型電子顕微鏡観察の結果, 分線剤で処理されたはるさめの表面はなめらかで, 光沢があり, そのために, めん線のからみが少なく, 分線しやすいが, 無処理のものは, なめらかでなく, 光沢もなく, めん線はからみ, 分線が困難であった。
9) はるさめへの分線剤の付着量は, エタノール抽出量から4.1ppm, 分線剤水溶液の付着損失量から3.8ppmであった。
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