1) 高Ca食攝取の状態から急激に低Ca食攝取の状態にした場合, 尿及糞便中のCaの排泄量は何れも急激に滅少した。從って, 尿及糞便中からのCa排泄は攝取量に應じて速かに變化するものと思われる。併しながら。高Ca食攝取期間と低Ca食攝取期聞とを比較すると, 尿中Caの排泄量は攝取量に正比例して變化するようなことは認められなく, 攝取量とは無關係に體内代謝め結果排泄されたと思われるCaが尿中に大量に認められた。一方, 糞便中Caの排泄量は攝取量に大體正上ヒ例して變化することが明かにされた。以上から糞便中に尿の場合と同様な體内代謝の結果排泄されるCaの存在を期待することに無理ではなかろうかと思われる。又あつても極めて小量に過ぎないと考えられる。
2) 低Ca食攝取時では一般にCaの吸收が悪くはなかつた。
3) 鹽化Caの静脈注射又グルコソ酸Caの皮下注射の結果, 何れも注射後24時間内に, 高Ca時では注射されたCaの約70~80%が, 低Ca時ではその約50~70%が, それぞれ尿中から排泄された。從って, Caの體内に保留された量は, 高Ca時では約20~30%, 低Ca時では約30~50%である。そして, 注射されたCa鹽の糞便中への移行は認められないようである。
4) Ca鹽の注射は, Pの糞便中の排泄を増加せしめることなく, 尿中Pの排泄を減少せしめた。
5) 低Ca食攝取時に於ける燐及脂肪の影響は, 本實験では明瞭な結果を得ることは出來なかった。
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