体重約120gの雄ラットにコレステロール・コール酸を含む高脂肪 (40%) 食を与えて16週間飼育し, 飼料のカゼイン含量および食塩水の投与が血清および肝コレステロール濃度におよぼす影響を検討し, さらにバター脂と植物性硬化油の比較を行ない次の結果を得た。
1) ラットの肝はいずれも著しく腫大して白色調を呈し, 脂肪肝になっていた。体重100gあたりの肝重量は低カゼイン群 (11%) のものでおよそ15g, 高カゼイン群 (31%) で8gであった。
2) 飼料中のカゼインを11%から31%に増加させると, 肝総脂質濃度, 肝および血清コレステロール濃度が著しく低下した。この実験では, ラットの肝コレステロールは総脂質の約半分を占めていた。
3) 脂肪を硬化油からバター脂に替えると, 飼料摂取量が著明に増大し, 血清および肝コレステロール濃度はわずかに増加した。
4) 硬化油を与えると腎, 副腎, 甲状腺が著しく腫大したが, カゼイン含量を増すと腫大は軽減した。
5) 飲料水として1%食塩水を与えると, 血清および肝コレステロール濃度はわずかであるが明らかに増加した。
6) 肝リボフラビン濃度は, 低カゼインの場合に著しく低く, また硬化油をバター脂に替えても明らかに低下し, コレステロール濃度の場合とは逆の関係を示した。
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