栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
19 巻, 3 号
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  • テーストパネルによるAcceptabilityの調査
    田中 かね子
    1966 年 19 巻 3 号 p. 151-155
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    製造直後および貯蔵後の脱脂粉乳を用いて, スープ5種, プリン5種およびプレインミルクを調理し, 東南アジア出身の42人のテーストパネルメンバーにより, 2種類のミルクのこれら食品に及ぼす影響を調査した。各サンプルの評価は評価用紙にて行なった。結果は以下の通りである。
    1. 各メンバーの判定には, かなり広い幅があったが同一サンプルに対する各人の評価には大差がなかった。
    2. 大部分のメンバーは, これらミルクを含む食品に対し, “好き” の表示をした。よって, これら食品を東南アジア諸国および本邦に導入することの可能性は少なくない。
    3. スープ, プディングでは, 使用した2種のミルク間の差はみられなかった。
    4. 一方, プレインミルクでは両老にかなりの差が認められた。
    5. よって, 貯蔵後の脱脂粉乳は飲料とするより食品調理用として利用する方がより望ましい。
  • 藤巻 正生, 原田 真知子
    1966 年 19 巻 3 号 p. 156-160
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) 57日間無蛋白飼料で飼ったシロネズミの筋肉量および筋肉の蛋白質量は, 正常飼料で飼ったものに比べてかなりの減少を示した。
    2) 蛋白質の1つとしてアクトミオシンをとりあげ, その理化学的性質を明らかにした結果, 長時抽出によるアクトミオシンすなわちAMLには殆んど差がないのに比べて短時抽出によるアクトミオシンすなわちAMSには若干の差異がみられた。
    3) アクトミオシンの構成アミノ酸についてそのいくつかの含量を調べた結果, AMLの場合には, 両区における差異は殆んどないものと考えられた。
    4) 筋肉の遊離アミノ酸含量は, 蛋白質構成アミノ酸の場合と異なり, 無蛋自飼料区は正常飼料区に比べて少ない傾向が示された。
  • 藤巻 正生, 鈴木 敦士, 宮崎 基嘉
    1966 年 19 巻 3 号 p. 161-166
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    無蛋白飼料で5週間飼ったシロネズミとスレオニン欠乏飼料で4週間飼ったシロネズミの筋肉並びに肝臓の水溶性蛋白質のアミノ酸組成は, それぞれの正常区に比べて明らかな差は認められず, またカゼイン飼料区と完全アミノ酸飼料区の両正常区間, あるいは無蛋白飼料区とスレオニン欠乏飼料区の両欠乏区の間にも差は認められなかった。
    セルロースホスフェイトを用いるカラムクロマトグラフィーにより水溶性蛋白質を分画した結果, 筋肉の場合, 各画分の量比, 蛋白質中のトリプトファン含量には正常区, 無蛋白区, スレオニン欠乏区の間で差はみられなかった。しかし, 肝臓については, 無蛋白区, スレオニン欠乏区ともに正常区に比べてpH 5.0の緩衝液で吸着されない蛋白質が増加し, pH 7.0で溶出される画分の蛋白質は減少し, 各画分の蛋白質中のトリプトファン含量も正常区に比べてやや減少する傾向がみられた。
    アルドラーゼ活性は, 筋肉, 肝臓ともに無蛋白区の場合は, 正常区に比べてやや減少したが, スレオニン欠乏区の場合には, その差はみられなかった。
    スレオニン欠乏飼料および完全アミノ酸飼料で飼ったシロネズミの場合, カラムクロマトグラフィーで分画後pH 7.0の緩衝液で溶出される蛋白質画分のアミノ酸組成を分析した結果, 筋肉, 肝臓ともにスレオニン欠乏区と正常区の間に全く差はみられなかった。
  • シロネズミの臓器などによるスレオニンの分解
    山下 道子, 桜井 芳人
    1966 年 19 巻 3 号 p. 167-170
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1. シロネズミの肝臓ホモジェネートでは, スレオニンは分解されないが, メチオニンはよく分解され, バリンおよびリジンはスレオニンとメチオニンの中間の分解率を示した。心臓ホモジェネートでも同様であった。腎臓ホモジェネートは肝臓ホモジェネートに比べてこれら4種のアミノ酸の分解力は弱かった。筋肉ホモジェネートおよび血液によっては, 4種のアミノ酸はいずれもほとんど分解されなかった。
    2. スレオニンに肝臓ホモジェネートを加えて0.1Mトリス塩酸緩衝液pH 8.0中でインキュベートするさいに, PALPを添加するとスレオニンは分解するようになった。しかしビタミンB6の他の型および他のビタミンは効果がなかった。
    3. シロネズミにビタミンB6添加飼料を与えて飼育した場合には, 肝臓のスレオニン分解力が高まり, 反対にビタミンB6を欠乏させた場合には, スレオニン分解力は低下した。
  • 小麦粉中の5′-リボヌクレオチドの安定性
    戸田 準, 森高 真太郎, 中谷 弘実, 和田 正三
    1966 年 19 巻 3 号 p. 171-174
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    小麦粉に添加した5′-リボヌクレオチドは, 相対湿度60%以下に保存した時には安定であるが, 多量の水分が共存する場合は急速に分解する。この分解に関与する小麦粉中のフォスファターゼはpH 5前後に至適pHを持つ酸性フォスファターゼであり, Mg++によって活性化されCa++によって阻害される。
    水溶性カルシウム塩は小麦粉中の5′-リボヌクレオチドを安定化する効果を持つ。
  • 小麦粉中の酸性フォスファターゼの分離
    戸田 準, 中谷 弘実, 和田 正三
    1966 年 19 巻 3 号 p. 175-179
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    小麦粉中にはDEAE-セルロース・カラム・クロマトグラフィーによって相互に分離される酸性フォスファターゼが, すくなくとも3種類存在する。これらはいずれも, その基質特異性, 金属イオンの影響などのちがいによって区別できる。これらのうち, 主として5′-リボヌクレオチドの安定性に関与する酸性フォスファターゼはMg++, Zn++, Cu++, Co++, Ni++により活性化され, Ca++により阻害される。他の2つの酸性フォスファターゼはいずれもZn++およびCu++により阻害される。
  • 工業的規模による乳酸菌添加漬込み実験
    福原 貞介, 藤原 邦達, 向井 英治, 高田 進, 山口 三郎
    1966 年 19 巻 3 号 p. 180-185
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    われわれはこれまで3回にわたって報告したスグキ漬の研究を総括する意味で, 上加茂において乳酸菌添加熟成の実験を工業的規模により実施した。漬上り試作品につき細菌学的, 化学的測定を行なう一方, 現地生産関係の熟練者, 消費者代表による官能審査を実施し, その実験結果を要約すればつぎのとおりである。
    1. 乳酸菌添加分は無添加対照にくらべ官能試験の成績は良好である。
    2. 乳酸菌添加分は概して産膜性が少なかった。
    3. 乳酸菌添加の影響が測定値に認められたのは酵毋数, 乳酸であって, その他の項目, 乳酸菌数, 揮発酸, 糖分にはその影響が認められなかった。
    4. 今回の実地試験において添加分と無添加対照の間に前回の小規模実験とことなり明瞭な測定差の出なかった理由を考察した。
    5. 本実験の場合添加菌種はL. m. >T. 14>N. 11の順に有効であった。この順序はこれまでに行なった実験室規模の試験結果とよく一致する。
    6. スグキ漬の製造初期に存在する大腸菌群は熟成完了によって自然に消滅する。
    乳酸菌添加法は添加菌の種類, 量など今後の検討を必要とする点はまだ少なくない。しかしながら本報に終わるわれわれの調査研究によってスグキ漬の熟成工程, 主要成分の変化はほぼ明瞭となった。また熟成に関与する乳酸菌の分離と, その発酵機作にもとづく乳酸菌の人工的添加によって, スグキ漬の製造にはじめて科学的な品質管理の手がかりが与えられたといえよう。
  • 中村 延生蔵, 西 宏, 秋場 克彦, 八下田 幸雄, 横塚 博夫
    1966 年 19 巻 3 号 p. 186-190
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    基本飼料として, 小麦粉を主成分とする飼料 (蛋白質8.2%) と, これにグルーテンを添加して蛋白質を15.0%とした飼料を用い, これにそれぞれ, L, DLおよびDリジンを補足し, 幼白鼠の成長, 尿中窒素成分および尿の塩基性アミノ酸 (遊離および結合型をふくむ) 等を分析した。
    1. Dリジンは蛋白質摂取水準のいかんにかかわらず成長に全く影響を与えなかった。
    2. 小麦粉食にDLリジンを補足した群は尿中アミノ窒素の排泄が高まった。Dリジンを補足した群もアミノ窒素の排泄が増大する傾向はみられるが, DLリジン補足の群ほど顕著でなかった。小麦粉食にLリジンを補足した群のアラントイン窒素の尿の全窒素に対する比率は最も高かった。このことは, 低蛋白質食では摂取蛋白質の栄養価が高まるにともないアラントインの比率が高まることを示している。
    3. 尿へ排泄されるリジンの量は, DLまたはDリジンを補足したすべての群を通じ, 与えたDリジンの約1/5ないし1/3であった。また, Dリジン摂取により未確認物質ではあるがリジン以外のニンヒドリン発色物質が, かなり多量に尿に排泄されることが明らかとなった。したがって, Dリジンはかなりの部分が体内で分解され, 窒素代謝過程にある種の影響を与えていると考えられる。さらにこの物質はDリジンを与えた群よりDLリジンを与えた群の方が多いようである。尿へのリジン排泄についても, 小麦粉食区の場合には同じ傾向があるようにみられる。これは, DLリジン補足により, ある程度Lリジンの必要がみたされている場合とLリジンが全く不足している場合とで, Dリジンの代謝にも若干の変化があることを予測させるように思われる。
  • 守 康則, 平川 美智子, 徳永 育子
    1966 年 19 巻 3 号 p. 191-196
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    1. 室温貯蔵13°~15℃は冷蔵庫貯蔵0°~5℃に比較してクロロフィルの褪色性と全酸度が高く, またクロロフィルの褪色性と全酸度との間にはほぼ相関関係がみとめられる。
    2. 不揮発性有機酸として酒石酸, クエン酸, リンゴ酸, 蓚酸, コハク酸が検出され, 貯蔵中これらの有機酸の消長がみられるが不揮発性有機酸とクロロフィル褪色性との間には相関性はみとめ難い。
  • 守 康則, 小野 菊子, 首尾木 千恵
    1966 年 19 巻 3 号 p. 197-202
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    α-アミラーゼ活性に及ぼすクロロフィルおよびクロロフィル分解物の影響を追究し, 次の結果をえた。
    1. クロロフィルはα-アミラーゼ活性に対し阻害性をもつ。
    2. クロロフィルのアルカリ分解物クロロフィリンはα-アミラーゼ活性を阻害する。
    3. クロロフィル酸分解物フェオフィチンは酵素活性に対し影響を与えない。
    4. マダネシウムは酵素活性に対し影響を与えない。
    5. クロロフィルによる酵素阻害はカルシウムにより保護される。
    6. クロロフィル光分解物は酵素活性に対し阻害性をもつが, クロロフィル光分解度の増大につれて阻害性は減少する。
  • トリプシンに及ぼすL-アスコルビン酸の作用について
    守 康則, 宇田 公枝, 唐川 佳子
    1966 年 19 巻 3 号 p. 203-206
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    L-アスコルビン酸および酸化物のトリプシン活性に及ぼす影響を検討し次の結果をえた。
    1. 還元型L-アスコルビン酸は酵素活性を賦活する。酸化型L-アスコルビン酸は酵素阻害の傾向が予想される。
    2. 2, 3-ジケトグロン酸は酵素活性を賦活する。L-アスコルビン酸の酸化において, 酸化型L-アスコルビン酸に比較し2, 3-ジケトグロン酸の生成割合が増大するにつれて酵素活性はしだいに賦活される。
    3. L-アスコルビン酸の加熱分解物フルフラールは酵素活性を阻害する。
  • アサリの有機酸の季節変化について
    長田 博光
    1966 年 19 巻 3 号 p. 207-209
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1. アサリの有機酸含量の季節変化, 並びにコハク酸, フマール酸, リンゴ酸, シュウ酸含量と産卵との関係について試べた。
    2. プロピオン酸, 酢酸, α′ケトダルタル酸, クエン酸含量はあまり季節変化が認められなかった。
    3. ピログルタミン酸は2月, 3月, 6月, 10月には含有されていたが他の月には含有されていなかった。
    4. リンゴ酸の量は11月, 12月, 1月にやや減少が認められ, 産卵期との関係はあまり認められなかった。
    5. コハク酸含量は産卵期直前に増加のピークが認められ産卵期に入ると減少していることが認められた。またその量も47mg%から226mg%と著しい差が認められた。
    6. フマール酸含量はコハク酸と同様に産卵期直前に増加のピークが認められ産卵期に入ると減少していた。
    7. 殻の成分として重要なシュウ酸は11月, 12月, 1月に著しい減少が認められた。
  • 満田 久輝, 安本 教傳, 岩見 公和
    1966 年 19 巻 3 号 p. 210-214
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Antioxidative activity of aromatic amino acids and indole compounds for the autoxidation of linoleic acid was found to correlate in some extent with the highest occupied molecular orbital energy which represents the electron donor property of respective molecule. 5-Hydroxytryptophan, one of the best electron donor among the compounds tested, was the most effective antioxidant. However, antioxidative activity of some indole compounds could not be interpreted simply by their highest molecular orbital energies.
    Neither the chelating action for the possible metal traces nor the accelerated decomposition of hydroperoxide produced during the course of the reaction explained these actions of indoles. Tryptophan, while preventing the autoxidation of linoleic acid, underwent the ring cleavage at the position of between C2 and C3 or hydroxylation at C5 to yield formylkynurenine, kynurenine, 3-hydroxykynurenine, 5-hydroxytryptophan, 5-hydroxyindoleacetic acid, etc. Following mechanisms which were compatible with the experimental results were proposed for the antioxidative action of indoles; indole donates an electron from its π-pool to linoleic acid radical or peroxy radical produced during the autoxidation of linoleic acid to form a loose charge transfer complex through a “local” interaction; an electron transfer occurs within the complex, which brings cleavage of indole rings and an inhibition of autoxidation.
  • たんぱく質含量の異なった飼料を与えた場合のシロネズミ肝臓のスレオニン分解力とスレオニン, リジンなどの添加の効果
    山下 道子, 桜井 芳人
    1966 年 19 巻 3 号 p. 215-217
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    シロネズミの肝臓ホモジェネートのスレオニン分解力は飼料中のたんぱく質含量が高いほど強い。また20%カゼイン飼料にスレナニンまたはリジンを加えることによっても, 肝臓のスレオニン分解力は著しく高まる。ただしスレオニン添加で強くなった分解力はその後スレオニンを除いてもなかなか下らないが, リジン添加で強くなった分解力は添加を止めるとやがて下る。グルタミン酸, ロイシン, メチオニン添加では分解力は高まらない。
  • 肝臓のスレオニン分解力と尿中スレオニン排泄量との関係, 特に飼料中のリジン量による差異
    山下 道子, 桜井 芳人
    1966 年 19 巻 3 号 p. 218-221
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    これらの結果は, シロネズミにおいて体内のスレオニン分解力は添加スレオニンによって誘導されるが, この分解力の発現にはリジンが必要であり, リジンがない場合, スレオニンを添加しても, スレオニン分解力は発現しないことを示すものと考えられる。
    ヒトの場合に, 血液中の遊離リジン量は, スレオニン添加によって減少し, 遊離スレオニン量はリジン添加によって減少することを, 田村らが報告しているがこの事実も上記の考察をうらづけていると思う。
  • 食用キノコ類の血漿コレステロールに対する効果
    徳田 節子, 金田 尚志
    1966 年 19 巻 3 号 p. 222-224
    発行日: 1966/09/30
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    食用キノコ類のシロネズミ血漿コレステロール低下作用を比較したところ, シイタケ中ではドンコ種の傘部は香信種の傘部以上の効果を示した。マッシュルームはシイタケと同程度に有効であったが, エノキダケ, キクラゲの効果はかなり劣った。
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