大豆, なたね, サフラワー, 綿実, ひまわりおよび落花生など6種の油糧種子について, それぞれ子葉, 胚, 種皮の各部に分別し, 各画分中の脂質量, 脂質中のトコフェロールおよび脂肪酸組成について検討した。
1) 落花生, 大豆種子では子葉の占める重量割合が95.4および92.0%と高く, 逆に種皮の占める重量割合が2.4, 5.6%と低い。これに対しひまわり, 綿実, サフラワー種子では種皮の占める重量割合が, 43.3, 42.9および40.0%と非常に高い。
2) 脂質量はいずれの種子も子葉, 胚に多く, 種皮では少ない。種皮脂質量の最も多いものはなたね種子の9.0%で, 大豆種子の種皮脂質量は0.5%と最低であった。
3) 全トコフェロール量 (α-, β-, γ-およびδ-トコフェロール量の合算したもの) としては, 大豆種子脂質の2, 109μg/g脂質が最も多く, ついで綿実, 落花生, ひまわり, なたね, サフラワー種子の順で, それぞれ1, 273, 457, 407, 372, 204μg/g脂質であった。各部位脂質では, 子葉および胚脂質にトコフェロール量が多く, なかでも大豆種子の胚脂質で, 全トコフェロール量として4, 884μg/g脂質であった。各種子の部位当たりに対するトコフェロール量は, いずれの種子も子葉, 胚に多く, 種皮では少ない。各種子の各部位脂質中のトコフェロール組成の割合は, 各種子とも子葉および胚脂質ではα-およびγ-トコフェロールの占める割合が多く, 種皮脂質ではγ-およびδ-トコフェロールの占める割合が多い。ことに大豆種子の種皮脂質ではδ-トコフェロールの占める割合が61.0%で, 子葉, 胚の33.0および7.2%に比べ非常に高い割合であった。
4) 各種子および各種子の子葉, 胚, 種皮脂質中の脂肪酸組成に多少の相違がみられた。綿実, ひまわり, 大豆, サフラワー, なたね種子の種皮脂質では, パルミチン酸の占める割合が, 同種子の子葉, 胚脂質中のパルミチン酸に比べて高く, 逆にリノール酸の占める割合が種皮脂質のほうがやや低い傾向にあった。
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