日本家政学会誌
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44 巻, 6 号
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  • 両親の言語・非言語行動の内容
    大瀧 ミドリ
    1993 年 44 巻 6 号 p. 429-438
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 縦断的研究により父・母・子の関わり合いと子どもの発達的変化との関係を明らかにすることにある.本報告では, ケース・スタディ的に4組の親子を対象として, 課題解決場面において父親と母親が, 子どもともつ相互作用の交渉単位 (以下CUと記す) である言語行動と非言語行動の内容, 子どもの発達との関係, 父親と母親における差異について検討し, つぎの結果を得る。これらの結果が, 一般化し得るものであるか, 否かについては, さらに検討する必要がある.
    1) 母親の言語行動と非言語行動の機能は, 子どもの年齢に伴いより相互作用のあるものへ変化するが, 父親の場合はそのような有意な変化は見られない.
    2) 1・2歳時ともに父親と母親は, 自発的言語行動と非言語行動における情報伝達的なCUを, 他のCUより高い比率で子どもに働き掛けている.
    3) 相手の反応を期待した言語行動と非言語行動においては, 父親と母親の傾向が類似している.特に, 父親が積極的参加をしていた家庭では, 父親も母親も指示的なCUにおいて有意に高い比率を示している.
    4) 相手の働き掛けに応じる言語行動と非言語行動においては, 父親も母親も受容的であり, 子どもの年齢による有意な差は見られない.
    5) 子どもの課題の取り組み方と父親・母親の関わり合い方は, ポジティブな関連をもつことが示唆される.
  • 松本 〓子, 青木 邦男
    1993 年 44 巻 6 号 p. 439-449
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    5, 6歳児352名 (男児183名, 女児169名) を対象に, 幼児の運動能力に影響する要困について, 運動能力測定および質問紙による調査を実施し, そのデータを数量化I類を用いて分析した.その結果, 以下のことが明らかになった.
    (1) 男児の運動能力に影響する要因として, 「歩行開始時期」, 「徒競走の成績・母」, 「動作性IQ」, 「遊び回数・母」, 「遊び友達の人数」, 「遊び場所」, 「出生順位」, 「身体活動状況」の8要因が抽出された.この8要因の男児の運動能力に対する重相関係数はR=0.5801である.
    (2) 男児の運動能力を促進するのは, 早く歩き始めること, 母親の徒競争 (学生時代) の成績がよいこと, 母親の子どもとの遊び回数が多いこと, 多くの遊び友達と広い場所で遊ぶことである.
    (3) 女児の運動能力に影響する要困として, 「テレビ視聴時間」, 「身体活動状況」, 「遊び回数・母」, 「言語性IQ」, 「歩行開始時期」, 「通園時 (往復) 徒歩時間」, 「出生順位」, 「徒競争の成績・母」の8要因が抽出された.この8要因の女児の運動能力に対する重回帰係数はR=0.5134である.
    (4) 女児の運動能力を捉進させるのは, テレビ視聴時間が短いこと, 身体活動が活発であること, 母親との遊び (静的受容的遊び) 回数が少ないこと, ある水準以上の言語性IQがあること, 歩行開始が早いことである.
    (5) 男女とも運動的遊びを含む身体活動量の多さが幼児の運動能力の発達を促すと結論づけられるので, 幼児の日常生活の中に身体活動量を増す機会を意識的に作る必要があろう.
  • 山田 幸二, 水野 時子
    1993 年 44 巻 6 号 p. 451-457
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    市販のバターとマーガリンの栄養的特徴を明らかにするため, バターとマーガリンの混合比率の異なる油脂やリノール酸の含量の異なるマーガリンの血漿と肝臓の脂質におよぼす影響を, 25%カゼイン飼料でラットを飼育し検討した.
    その結果, Chol非添加飼料の場合, バター/マーガリン比の低下やバター摂取に比べマーガリン摂取で血漿コレステロール濃度は差がないが, 肝臓のトリグリセリドとロレステロール含量は有意に増加した.一方, コレステロール添加飼料の場合, バター/マーガリン比の低下やノミター摂取に比べマーガリン摂取で血漿コレステロール濃度は低下したが, 肝臓トリグリセリド含量は増加した.
    以上の結果, バター摂取に比ベマーガリン摂取による血漿コレステロール濃度の上昇抑制はコレステロールを添加した飼料でのみ生ずるのに対し, 肝臓脂質の蓄積は飼料へのコレステロール添加の有無に係わらず生ずる現象であることを示唆した.
  • ショウガの溶剤抽出物の抗酸化力
    河村 フジ子, 岡田 真美, 二見 文, 福場 博保
    1993 年 44 巻 6 号 p. 459-464
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ショウガの溶剤抽出物のラードに対する抗酸化力について実験した結果を要約すると次のようになる.
    1) GC-MS分析によって, ショウガ抽出物中の34の化合物を同定した.この化合物には香気成分とフェノール系化合物が含まれていた.
    2) エーテルおよびクロロホルム・メタノールの各抽出物はラードに対して強い抗酸化力を示した.その程度は新ショウガの方が古ショウガより顕著であった.
    3) エーテル抽出物を水煮すると, 主としてフェノール系化合物が残った.これらは, ラードに対してかなり強い抗酸化力を示した.
    4) 溶剤抽出物中のトコフェロールとリン脂質含量は新ショウガの方が古ショウガより多かった.
    5) ラードの水煮におけるショウガの抗酸化力は, 香気成分, フェノール系化合物, トコフユロール, リン脂質が単独または相乗効果を示すことで発揮されると考えられる.
  • 岡 芳子
    1993 年 44 巻 6 号 p. 465-469
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    (1) マッシュルーム (Agaricus bisporus) に存在する特殊な芳香族化合物, γ-L-glutamyl-4-hydroxymethyl-phenylhydrazine (Agaritine) とγ-L-gluthamyl-4-hy-droxyaniline (GHA) を定量する目的で, 簡便な比色法として, ジアゾ法及びインドフェノール法を確立した.
    (2) 本実験で確立したジアゾ法とインドフェノール法で測定したAgaritine及びGHAは, 新鮮重量1g当たりおのおの1.64μmol (0.438mg), 3.16μmol (0.752mg) であった.
    (3) 加熱調理条件下におけるマッシュルーム中のAgaritine及びGHAの90℃加熱下での水及び1%食塩水中への溶出挙動を検討した.Agaritineは両媒体中にてほぼ同一の挙動を示し, 10分間で約60%が速やかに溶出され, その後30分間の加熱で約80%が溶液中に徐々に溶出した.GHAは熱水中ではAgaritineと類似した挙動を示したが, 食塩の存在はGHAの溶出を促進するが, 一方で分解を伴うことが示された.30分の加熱においてもAgaritineは約20%子実体中に残存した.またマッシュルームに含まれるAgaritine, GHA以外の遊離アミノ酸を主体とする可溶性窒素化合物は, 90℃, 30分の加熱でその約90%が溶出されることが示された.
    (4) 市販のマッシュルーム水煮缶詰において, 3年間保存した缶詰中の溶液にもAgaritine及びGHAが検出された.この事実は, Agayitine及びGHAの分解が, 加工時に使用される還元剤の存在で抑えられたためと考えられる.しかしマッシュルーム本体には, 両化合物は検出されなかった.
  • 日比 喜子
    1993 年 44 巻 6 号 p. 471-476
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    米粒内部の脂質および添加脂質, それぞれが米飯の老化に及ぼす影響について米飯保存後 (5℃) のテクスチャーの変化から, また, 澱粉とトリグリセリドとの複合体形成について澱粉糊化時の水に対する溶解性の面から, それぞれ検討を行い, 次の結果を得た.
    (1) 米粒内部の脂質が存在すると, 保存後の米飯の硬さの上昇, 凝集性および付着性の低下, それぞれが抑えられていた.また, 炊飯時にオリーブ油を添加した場合には, 保存後の米飯の硬さの上昇および凝集性の低下を抑制していたが, 官能検査ではこれらの差は認められなかった.
    (2) 米澱粉から脂質が除かれると, 糊化時の水可溶性多糖量は非常に増加した.そして, 脱脂米澱粉糊化時の水可溶性多糖量は, パルミチン酸の添加量が増すに従い減少したが, 添加量が1.2%以上では一定となった.また, 脱脂米澱粉にトリパルミチンを添加した時の水可溶性多糖量は, 同量のパルミチン酸添加時の場合と比較すると, 約1/3の減少度であった.
  • 田村 照子, 岩崎 房子, 嶋根 歌子
    1993 年 44 巻 6 号 p. 477-483
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    現在, 一般に広く使用されている農薬散布作業服を中心に, 素材, 開口部の異なる作業服7種について, サーマルマネキンを用いて, その熱抵抗及び蒸発熱抵抗の評価を試みた.また, 人体着用実験によって, これらの結果を検討するとともに, 防水密閉型防除衣Aについて, ブロア及び簡易冷却袋 (アイスノン) を併用した場合の効果についても試験的な実験を試みた.主たる結果は次の通りである.
    1) 同一素材で開口部が異なる防除衣A, B, C, Dを比較した結果, 静止気流下の熱抵抗に及ぼす開口部の影響は僅少であるが, 有風下では開口によって著しく衣内温度が低下した.蒸発熱抵抗は静止気流下でも開口部の拡大に伴って低下し, 開口部が大きいほど衣内湿度は低く, 水分蒸発量は多く, 衣服付着水分量は少なく, 水分透過性に及ぼす開口部の影響大なることが示された.
    2) 同一開口・形態で素材の異なる防除衣D, Eを比較すると防水布に比して透湿防水布の防除衣は, わずかに熱抵抗が大であるが大差なく, 一方, 蒸発熱抵抗は約1/2の小さい値を示した.また, これに伴い透湿防水布防除衣の平衡衣内湿度は低く, 蒸発量は多く, 衣服付着水分量は少なく, 素材の透湿性が防除衣の水分透過性に及ぼす影響は大であることが示された.
    3) 着用実験による結果は, マネキン実験よりバラツキが大であるが, 防水密閉型防除衣Aでは運動時の衣内温湿度が顕著に増大し, 有風下の衣内温湿度は, 密閉>開口, 防水>透湿防水と, マネキン実験と同様の傾向を示した.
    4) しかし, 防除衣単独で最も評価が高かった透湿防水素材・開口型の防除衣Eも, マスク, 手袋, 長靴などの装備をつけると衣服気候は悪化した.これを解消する方法として, ブロアの使用は効果的であることが示唆された.
    5) Mecheelsらの式により, Ta.min, Ta.maxを試算した結果, Ta.minはいずれの防除衣でも大差ないが, Ta.maxは, 50%RH時, 28.5℃~33.9℃の差をもたらし, 防除衣改良の効果は, 適応気温の上限に影響することが示された.
  • 1960年代から今日まで
    鍛島 康子
    1993 年 44 巻 6 号 p. 485-490
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    In recent years, men's shirts have become diversified in terms of quality, purpose and way of wearing, while the higher quality of life has created stronger fashion-consciousness. This paper investigated the situation and causative factors behind the improved quality of men's shirts, judged from the relationships between wearers and the living environment. Using data from general and trade newspapers and statistics for production and consumption, the historical development of shirts over the last three decades was examined to clarify the factors underlying their quality improvement.
    The following factors for the quality improvement of shirts could be found in the changes in the living environment which affect people's inner and outer lives and in the consumption and marketing of ready-made shirts. 1. Changes of Life Environment : 1) Air conditioning has changed the conception of shirts from practicality to fashionableness. 2) Increasing leisure time has separated leisure shirts from business shirts. 2. Quality : 1) Since the 1960s, manufacturers have improved the quality of ready-made shirts in terms of materials, tailoring and sizes. 2) Since the 1970s, consumer preference for quality has strengthened and the proportion of non-white shirts, i.e., colored, patterned and fancy shirts, has risen. 3) On the suppliers' side, with profitability deteriorating every year and developing countries growing more competitive, manufacturers are producing enhanced products while retailers are upgrading their merchandise and the atmosphere of their stores.
  • 中橋 美智子, 村山 雅己
    1993 年 44 巻 6 号 p. 491-497
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    On standpoint of home-making education, a convenient measuring method of the heat transmission of cloths is examined. It is difficult for teachers to explain well the term of the heat transmission of cloths for their students. However, it will become easier for teachers to make students understand the concept of heat transmission if teachers adopt some visual experiment.
    There are many devices such as ASTM method, thermo-labo method, and others, to measure the thermal insulation and the heat transmission of cloths. However these are not only expensive but also difficult to operate them, and seem to be unsuitable as teaching materials. On these reasons, a method comparable easily on the difference of heat transmission values of cloths by using an automatically controlled electric iron and some heat sensitive papers for word processors was devised and established. By this method, the heat transmission phenomena can be obtained not on the form of its absolute value but on one of sample direct difference which can be confirmed. and compared by the observer's eyes. Moreover, this device is thought to be an extremely effective means for the visual teaching materials because of its performance with the iron and the heat sensitive papers only.
  • 勢田 二郎
    1993 年 44 巻 6 号 p. 499-503
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ラローズ法の測定部にレーザー走査マイクロメーターを使用することにより, 高吸水性繊維製品の吸水性を自動的に評価するシステムを作ることができた.今後は, このシステムを使用し, 吸水性に及ぼす諸要因についてさらに検討する予定である.
  • 川端 晶子
    1993 年 44 巻 6 号 p. 505-508
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 西村 一朗
    1993 年 44 巻 6 号 p. 509-512
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 今道 友信
    1993 年 44 巻 6 号 p. 513-518
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • ごみゼロ循環型社会の構築
    安田 八十五
    1993 年 44 巻 6 号 p. 519-524
    発行日: 1993/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 44 巻 6 号 p. 532
    発行日: 1993年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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