日本家政学会誌
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45 巻, 6 号
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  • 山田 昌子
    1994 年 45 巻 6 号 p. 499-507
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    This study aimed to make clear whether cognitive discrepancies in the assessment of adolescents' behavior between female adolescents themselves and their parents have a negative effect on emotional experiences in adolescence. First, adolescents' emotional experiences were assessed by means of a home environment questionnaire. Then, cognitive discrepancies, identified according to differences in ratings of the adolescents' behavior, were examined in relation to actual emotional experiences. The results indicated the following : when compared with their parents' cognition, (1) the adolescents tended to see their parents as indulgent to them or, even indifferent, (2) the adolescents tended to show dissatisfaction with their own behavior and (3) larger discrepancies were observed among adolescents in relatively poor home environmental conditions. These results suggest that solution of discrepancies would improve the conditions of the home environment, that is, the adolescents' emotional experiences. The necessity of active interaction between adolescents and their parents for the solution of discrepancies is also discussed.
  • 大瀧 ミドリ, 中塚 綾子
    1994 年 45 巻 6 号 p. 509-516
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    子どもの愛着対象に関する父親と母親の認知における実態と父親と母親の認知に影響する要因を明らかにするために本研究を行った.対象は, 保育園児をもつ665組の父親と母親である.彼等を対象に14の異なる生活場面において, 子どもが誰を愛着対象としているかについて調査し, 以下の結果を得た.
    1) 父親も母親も, 子どもは母親を最も多く愛着対象にしていると認知している.
    2) 父親も母親も子どもとの情愛的関係において, パートナーが考えるよりも自分は子どもから重要な存在であると思われていると考える傾向がある.
    3) 父親の認知には, 子どもの性や年齢と妻の就業形態が大きな影響を与えていることが明らかになる.
    4) 母親の認知には, 子どもの年齢と母親の就業形態が大きな影響を与え, また, 子どもの性と母親と子どもの接触量もかなりの影響を与える原因であることが明らかになる.
  • 山田 幸二, 水野 時子, 遠藤 陽子
    1994 年 45 巻 6 号 p. 517-525
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    そば粉の栄養生理的効果を明らかにするため, 血漿と肝臓の脂質レベルに及ぼす66%そば粉飼料, 66%そば粉類似アミノ酸混合物飼料の影響を10%カゼイン飼料と比較した.
    1) 体重増加量は, カゼイン飼料に比べそば粉飼料, そば粉類似アミノ酸混合物飼料に比ベカゼイン類似アミノ酸混合物飼料で大であった.
    2) 血漿のコレステロールとHDL-コレステ・ロールは, 飼料にコレステロールを添加しない場合, そば粉飼料とカゼイン飼料とで差異がなかった.しかし, コレステロールを添加した場合, そば粉飼料はカゼイン飼料に比べ血漿のコレステロールの上昇が抑制され, HDL-コレステロールの低下が抑制された.また, カゼイン類似アミノ酸混合物飼料に比べ, そば粉類似アミノ酸混合物飼料でも血漿コレステロールの上昇を抑制した.
    3) 飼料にコレステロール添加の有無に関係なく, カゼインまたはカゼイン類似アミノ酸混合物飼料に比べそば粉またはそば粉類似アミノ酸混合物飼料で肝臓にトリグリセリドの蓄積を生じた.
    4) コレステロールを含む場合, そば粉類似アミノ酸混合物飼料中のシスチンを10%カゼイン中シスチンと同量にした飼料の摂取は, 血漿コレステロールが上昇し, 肝臓トリグリセリドは低下した.
    以上の結果, そば粉は外因性高コレステロール血症の抑制作用と肝臓のトリグリセリドの蓄積作用を有し, これらの作用はそば粉のアミノ酸組成の関与を示唆した.
  • 加藤 みゆき, 田村 朝子, 大森 正司, 難波 敦子, 宮川 金二郎, 西村 修, 亀田 弥
    1994 年 45 巻 6 号 p. 527-532
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    後発酵茶の1つである碁石茶について, その製造工程中の成分変化について検討した.その結果, 水色については, 製造工程が進むにつれて380 nmの吸光は高くなり, カテキン含量は製造工程が進むに従って減少していた.呈味成分については, アミノ酸含量は総量としては, カビを付けることにより約25%減少したが分岐鎖アミノ酸が増加した.有機酸含量については, 桶づけにより乳酸が生成し, カテキン含量については, 製造工程中に減少した.香気成分については, 桶づけによって酢酸の生成が顕著であり, シスーリナロールオキサイド, ベンジルアセテート等も増加した.
  • 長尾 慶子, 畑江 敬子, 島田 淳子
    1994 年 45 巻 6 号 p. 533-538
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ドーナツの嗜好評価に大きく影響する揚げ加熱中の亀裂について, 先報の亀裂発生のメカニズムに基づいて亀裂を制御することを試みた.そこでドーナツの形すなわち曲率を変えることで亀裂圧を変化させ, 内部膨張圧との力関係を変えることを検討した.
    その結果, 内側亀裂はいずれの試料にもみられ, 抑制できなかったが, 側面亀裂の著しかった対照試料Bでは, 高さとドーナツの外径を小さくすることで亀裂は抑制できた.
    一方上面亀裂の著しかった対照試料Cでは, ドーナツの外径のみを小さくすることで, 亀裂は抑制できた.
  • 小林 泰子, 阿部 幸子
    1994 年 45 巻 6 号 p. 539-544
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    アルキル鎖長が10~16, EO付加モル数が5~8の範囲のポリオキシエチレンアルキルエーテル (AE) の同族体の生分解性を, リバー・ダイ・アウェイテストにより, 比較検討した.
    DO, CTASおよびTOCによる分析の結果, CTASによる1次生分解の消失とDOの最低値を得る時点は, TOCが減少し始める時点と一致することが認められ, TOCのみの分析により生分解性を明確にできることを確認した.
    20℃において, AEの初期生分解速度は早く, アルキル基炭素数の増加に従い減少するが, 究極的生分解にはあまり影響はみられず, いずれも穏やかに消失した.またEO付加モル数の影響は顕著ではなかった.しかし, 10℃においては, 20℃より1次生分解後の誘導期間が長くなり, 30日後にも有機炭素がかなり残存していた.この傾向は炭素鎖が長いものやEO付加モル数の多いものほど顕著であった.また, 試水中のAEの濃度が10~30mg/lの範囲では, 濃度が高くなると, 分解に時間を要することが認められた.
    今後, AEの生分解における, TOCの2段階の消失過程と, 分解経路との関係につき, さらに検討するつもりである.
  • 菅原 悦子
    1994 年 45 巻 6 号 p. 545-548
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    収穫直後と, これをブランチングした後に3カ月間家庭用の冷凍庫で冷凍保存した枝豆, ブランチングしないで同じ条件で冷凍した枝豆を試料とし, 枝豆の冷凍保存による香気劣化のメカニズムと, 冷凍保存の際のブランチングの効果について, 個々の香気成分の変化を中心に検討した.枝豆の香気濃縮物はSDE法によって調製し, GCおよびGC-MS分析をして香気成分の分離同定を行い, 内部標準法によって各成分の濃度を測定した.収穫直後の枝豆とブランチングして3カ月冷凍保存をした枝豆から検出された香気成分や各成分の濃度に大きな差はなかったが, ブランチングしないで冷凍保存した枝豆では大豆不快臭の原因物質であるhexanal, (E) -2-hexenal, 1-hexanol, 1-octen-3-olの生成が著しかった.また, 評点法による官能検査の結果からも, 香りに関して5%の危険率で有意にブランチングしない枝豆の評価が低かった.これは枝豆の不飽和脂肪酸が長期間の冷凍中にリポキシゲナーゼやハイドロパーオキサイドリアーゼによって酸化, 分解され, 大豆不快臭成分が形成されたためと判断された.したがって, 枝豆の冷凍保存の際の前処理としてのブランチングは枝豆本来の香りの保持に効果的であることが確認された.
  • 菅原 芳明, 増山 悦子, 藤井 保, 草野 敬久
    1994 年 45 巻 6 号 p. 549-553
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    著者らが開発したメチレンブルー還元退色能の計測によるマガキの分光学的鮮度測定法を市場流通の大半を占める養殖のむき身マガキに適用し, 還元退色能計測値に及ぼすエラ切除部位, 切除エラ切片の大きさ, マガキ湿重量の差異等について検討すると共に, 冷蔵保存中 (4℃) における還元退色能の経時変化を調べ, 以下の結果を得た.
    1) 冷蔵保存中に還元退色能が次第に低下し, その値は保存5日目で約半分, 7日目で1/4, 保存限界に達する10日目では保存開始時の1/20に低下する.
    2) エラの中央部分の切片は口腔部および肛門部側に比し, 高い還元退色能を示す.
    3) 同じ個体の中央部から調製したエラ切片の大きさ (切片湿重量) は還元退色能に正比例する.
    4) 個体湿重量のある程度の幅 (8.15~13.80g) およびエラ切片試料 (同一幅, 5mm) 湿重量のある程度の幅 (0.012~0.023g) は, 試料母集団の還元退色能推計値には大きな影響を及ぼさない.
  • 個人別食生活パターンによる集団の食生活実態分析
    早渕 仁美, 池田 正人, 黒木 昌一, 舟木 淳子, 石橋 厚美, 肘井 千賀
    1994 年 45 巻 6 号 p. 555-561
    発行日: 1994/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    集団の食生活実態を評価するために, 栄養素別, 食品群別, 食事状況別等のおのおのの要素について, 個々に解析する従来の方法に加えて, 個人の食べ方レベルで分析する方法を検討した.
    エキスパートシステムを利用して, 個人の食べ方を一定の基準で総合的に診断し, 量とバランス, 油脂とたんぱく質のとり方, 主菜源食品のとり方, 副菜源食品のとり方, 乳類や果実類のとり方, 食塩のとり方, アルコールと砂糖のとり方, 食事状況の項目別にパターン化した.
    さらに, これらのパターン化した結果をLotus 1-2-3に読み込んで, 対象集団の個人別診断結果の一覧表や, 項目別パターン別度数分布表, 項目別の円グラフ等を出力することによって, どのような食べ方の人がどれくらいいるのかを, 具体的に把握できるようになった.
    なお, MIFESはメガソフト (株), Lotus 1-2-3はロータスデベロップメント社, EXSYS PROFESSION-ALはエーエスアールインターナショナル (株) のソフトである.
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