以上の結果から, 高齢者の住生活の安定性と課題についてみると, 次のことが指摘できる.
1) 高齢者と家族の居住関係は, 子供の結婚, 就職, 転勤, 転居, 配偶者の死亡, 夫婦の高齢化, 子供の離婚, 家族関係の不和, 子供なし等を契機とする居住地選択によって変化し, 安定型, 準安定型, 準不安定型, 不安定型などの多様な住生活タイプを形成してきた. なかでも, 子供の結婚, 就職による他出は大きな転機となっている.
2) 高齢者の住生活において, 将来も同居を継続もしくはその可能性のある安定型の居住関係をとる家族は67家族 (60.4%) であったが, 残りの44家族 (39.6%) は近居又は別居などの子供と離れて暮らす不安定型等 (準安定型, 準不安定型, 不安定型) の居住関係を形成している.
3) 借家・公営・社宅などに住む家族は, 安定型=1家族 (1.7%), 準安定型=1家族 (8.3%), 準不安定型=5家族 (17.2%), 不安定型=2家族 (18.2%) であり, 安定型が1.7%に対し, 安定型以外は15.4%となり, 住生活の安定性と住宅事情はかなりの相関性を持っと思われる.
4) 高齢者の就業は, 有職から無職に変化した63人 (56.8%) を含めて現在, 86人 (77.5%) が無職となっている.
しかし, 86人のうち1人は子供のいない高齢者であるため, 85人が子供から何らかの援助をうけていると思われる. また将来同居を継続もしくは同居に変化する可能性のある67人は, 子供からの援助がより緊密になると思われる.
5) 今後, 安定型はもちろんのこと, 不安定型等の多様な居住関係をとる高齢者を含む43家族の住生活や医療・福祉への対策課題は多様化しており, 今後, 本人や該当家族のみならず地域や行政が早急に着手すべき課題は山積みしている.
なお, 本テーマについては, すでに金沢市においても調査を完了している. さらに今後は農村部なども調査し比較研究を積み重ねて, さらに実証的考察を続けたい.
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