日本家政学会誌
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43 巻, 10 号
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  • 人数別消費単位
    大藪 千穂
    1992 年 43 巻 10 号 p. 997-1006
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    消費単位研究の歴史のなかで, ニコルソンの研究は, はじめて消費単位を, 世帯の実際の家計データを用いて社会科学的方法によって求めたものである.
    この論文の目的は, 現在のわが国のデータを用いて, ニコルソンの研究を検証することにある.今回検証に用いたのは, 総務庁統計局の全国消費実態調査の大阪府のデータである.
    この結果, 光熱・水道を除いて第2番目の子供の消費単位が最も高くなった.第3番目の子供の教育に関する消費単位は, 第1番目の子供の80%である.
    ニコルソンの方法論はさまざまな問題をかかえているが, これらの問題点と子供の年齢別の消費単位については, 第2報で述べている.
  • 年齢別消費単位
    大藪 千穂
    1992 年 43 巻 10 号 p. 1007-1012
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    この論文は, 子供の消費単位の算定の第2報である.第1報では, ニコルソンの方法を用いて子供の人数別に消費単位を推定した.しかしながら消費量は子供の年齢によって異なるはずである.このためこの論文では, 第1報で用いたものと同じわが国のデータを用いて, 子供の年齢別に消費単位を求めた.
    「個別回帰線」と「結合回帰線」によって求めた結果, 消費単位は少し異なるが, 一般的傾向として食料の単位は年齢とともに増加し, 光熱・水道の単位は年齢によって大きな差は生じないことがわかった.
    ニコルソンの方法論は多くの問題をかかえているが, 社会科学的方法によって消費単位を求めた初めての研究として高く評価することができる.
  • 渋川 祥子, 杉山 久仁子
    1992 年 43 巻 10 号 p. 1013-1018
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    食品表面の着色に放射伝熱が有効であることの理由を明らかにするために, 食品と金属の受熱速度の比較を行った.
    本研究では, クッキーと鉄板を二通りの加熱方法 (放射伝熱 (RAD) と対流伝熱 (CON)) を用いて200度で加熱した.受熱速度を計算するために, クッキーでは水分蒸発を, 鉄板では表面温度を測定した.その結果放射伝熱で加熱したクッキーの受熱速度は, 対流伝熱で加熱したクッキーやそれぞれの方法で加熱した鉄板の受熱速度より速かった.この現象を説明するために, クッキー表面の放射率の測定を行った.放射率は, クッキーの加熱時間と共に増加することはなく, 放射率が放射伝熱方式の有効性の原因ではなかった.
  • 望月 聡
    1992 年 43 巻 10 号 p. 1019-1022
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    低脂肪食と共にエタノールを長期にラットに投与したときの肝臓および血清脂質に対する影響を検討した. SD系雄性ラットに36カロリー%のエタノールを含む10カロリー%脂肪の液体食を 42日間与えた.対照群には, エタノールの代わりにグルコースを添加した食餌を pair-fedで与えた.肝臓総脂質, コレステロール, 中性脂肪はエタノールの投与により有意に上昇したが, その程度はこれまでに報告されている高脂肪食条件下のものより小さかった.また血清脂質においては, エタノールの投与により遊離脂肪酸が有意に上昇したのみで, 中性脂肪, リン脂質には変化がなかった.コレステロールは逆に低下した.以上の結果から, 低脂肪食を与えた条件下では, エタノールの長期投与による脂質代謝の変動は小さいものと考えられた.
  • 脂質添加小麦粉ゲルの物理的特性
    武田 紀久子
    1992 年 43 巻 10 号 p. 1023-1026
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    小麦粉ゲルの物理的特性に及ぼす小麦粉脂質の影響について検討するために, 脱脂小麦粉に3種の脂質 (遊離脂質, 非極性脂質, 極性脂質) を各々添加した再構成粉を作製した.結果は次の通りである.
    (1) 非極性脂質添加の再構成粉では, 脂質添加量の増加に伴い最高粘度と糊化開始温度が増加した.
    (2) 小麦粉サンプルの中で, 脱脂粉ゲルは最もかたく, 最も付着性が小さかった。極性脂質は, 非極性脂質に比べ, 小麦粉ゲルを柔らかく, しかも付着性のあるものへと変化させる効果が大きかった.
    (3) 小麦粉ゲルの付着性とケーキの焼き縮みとの間には高い負の相関がみられた. (r=0.884, p<0.01)
  • 松江 勇次
    1992 年 43 巻 10 号 p. 1027-1032
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1回の食味供試点数を10点とし, 食味試験の経験を有するパネル員13人の食味官能試験方法による各検定者の識別能力や全体との一致性の精度を解析することによって, 食味評価の実態を明らかにした.
    (1) 全体の食味・評価値による分散分析の結果, くり返し間の分散は総合評価, 外観, 味, 粘り, 硬さのいずれも小さかった.総合評価の品種間差は有意であった.
    (2) 食味の品種間差を識別する能力の高いパネル員は評価も全体の傾向と一致する傾向にあり, 識別能力の低いパネル員は評価が全体の傾向と一致せず, 識別能力は高いが評価は全体の傾向と一致しないパネル員は認められなかった.
    (3) 識別能力があると判定されたパネル員は今回の場合全体の約70%であった.
    (4) 1回の食味供試点数を10点とし, しかも基準よりもパネル員の数を減らした場合でも, あらかじめパネル能力を保証しておけばこの試験方法でも大きな支障はないと考えられた.
  • 下村 道子, 長野 美根, 石田 優子, 江原 貴子
    1992 年 43 巻 10 号 p. 1033-1037
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    サバ肉を酢酸食塩液および酢酸液に浸漬処理し, 対照としての無処理肉, 食塩液浸漬肉とともに4℃で7日間保存した.これらの酢漬処理による呈味成分の変化を調べようとして, 遊離アミノ酸および核酸関連物質の測定を行い, 次の結果を得た.
    (1) 酢酸食塩液および酢酸液に浸漬したサバ肉では, いずれの遊離アミノ酸も保存中にかなり増加しており, とくに, アスパラギン酸, バリン, メチオニン, イソロイシン, ロイシン, チロシン, フェニルアラニンの増加が顕著であった.
    (2) ATP は, 対照の無処理肉, 食塩水浸漬肉には残存していたが, 酢漬肉には残存せず, ADPは酢酸食塩液浸漬肉にはみられず, 酢酸液浸漬肉にわずかにみられ, 対照肉にはかなり残存していた.IMPは, いずれの処理肉においても経過日数とともに減少し, HxRは逆に増加していた.IMPは酢漬処理を行ったほうがより減少していた.そして酢漬処理肉では, HxRが対照肉よりも多く存在し, Hxが少ないことが示された.
    (3) 酢酸と食塩を含む液に酢漬処理肉においてとくに増加していたアミノ酸 (アスパラギン酸, メチオニン, バリン) を添加すると, アミノ酸無添加の液より, 味がまろやかでうま味が強いことが官能検査によって示された.
    サバ肉の酢漬処理によって遊離アミノ酸が増加し, これらがしめさばのおいしさに関与していることが示唆された.
  • 紫外線照射によるキノコ類の効果的利用 (第6報)
    桐渕 壽子, 川嶋 かほる
    1992 年 43 巻 10 号 p. 1039-1042
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    紫外線照射したビタミンD2強化エノキタケについて嗜好性を主として5'-ヌクレオチドについて検討した.
    (1) エノキタケの5'-ヌクレオチドはAMP, IMP およびGMP であった.5'-IMP が最も多く, 次いで5'-GMP で, 5'-AMP は僅かであった.
    (2) 紫外線照射の有無による5'-ヌクレオチド量への影響はほとんどないといえる.
    (3) 乾燥すると5'-IMP, 5'-GMP 共に著しく増加し, それぞれ約540,260mg/100gであった.乾燥するとグルタミン酸も増加し, 両者の相乗効果により, 生より乾燥エノキタケの方が呈味力が増すと思われた.
    (4) 5'-GMP を5'-IMP に換算すると, 約1,134mg/100gとなり, シイタケの700mg/100g, かつお節の600mg/100gよりはるかに多かった.
    (5) エノキタケの旨味は口あたりはやわらかで, あと味が長く残る5'-ヌクレオチドを多く含むので嗜好の面で非常に好ましいと思われた.
  • 小原 清
    1992 年 43 巻 10 号 p. 1043-1053
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 国際交流委員会
    1992 年 43 巻 10 号 p. 1055-1060
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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