日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
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ISSN-L : 0913-5227
74 巻, 7 号
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報文
  • ―中学生の対児感情から―
    伊藤 優, 福井 敬祐, 小田 凌也
    2023 年 74 巻 7 号 p. 363-377
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/05
    ジャーナル フリー

     本研究は, 継続して同一の幼児と触れ合った中学生の対児感情を経時的に分析することによって, 中学生と幼児との触れ合い体験の在り方を検討することを目的とした. 本実践の特徴は, 一つ目として, 1年間継続した同一幼児との触れ合い体験であること, 二つ目として, 中学生が幼児に「教える」ことを取り入れた触れ合い体験であること, 三つ目として, 家庭科授業を核として学校行事などと連動した触れ合い体験である. これらの特徴別に生徒の対児感情の観点から, 本実践における触れ合い体験活動への示唆を検討した. その結果, 中学生が幼児に関わり対応することが難しかったのは, 幼児期の特徴を十分理解するに至っていなかったことも一因となっていると推察された.

  • ―第二次世界大戦後の『婦人之友』を対象として―
    藤平 眞紀子
    2023 年 74 巻 7 号 p. 378-393
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/05
    ジャーナル フリー

     本研究では, 婦人雑誌『婦人之友』を資料として, 第二次世界大戦後の1946年から2021年における, 住まいや住生活, 住まいに係わる家計や家事に関する記事を抽出して, その中で住居管理に関する記事に着目し, 記事内容から住居管理の変遷を検討した. その結果, 住まいに関わる記事のうち, 住居管理に関することは時代を問わずコンスタントに掲載されていた. 具体的には, 掃除・清掃, 整理整頓, 補修・修繕, 衛生・清潔に関することが多かった. 戦後の急激な経済成長の中で, 従来からの住生活の見直し, 椅子座や集合住宅居住など新しい生活様式や家電製品などを取り入れながら, 住居管理は従来の方法に加えて新しい生活様式に応えるように繰り返し情報が出されており, それを必要とする生活者が多くいたことが明らかとなった. 戦後のモノ, 住宅不足から住宅取得への住宅に対する生活者の熱い思いが, 管理行動にも映し出される一方で, その対象は段々と住宅内部の狭い範囲に移っていた.

資料
  • ―昭和50年代前半との比較―
    森久 瞳, 木村 留美, 杉山 寿美
    2023 年 74 巻 7 号 p. 394-404
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/05
    ジャーナル フリー

     本研究では, 飯, 汁, 菜から構成される我が国の献立構成に着目し, 昭和30年代前半の『栄養と料理』に掲載された夕食献立の献立構成と料理の特徴を検討した.

     その結果, 二菜献立, 一汁二菜献立は29.4%, 22.7%と多く, 一汁三菜献立は6.1%と少なかった. また, 汁物を含む献立は45.1%, 主食を白飯とする献立は56.4%であった. 一汁三菜献立については, 白飯を主食とする献立, 和風の汁物が多かった. 1品目の菜の主材料は魚介類46.4%, 肉類17.5%, 野菜・いも・豆類36.1%であった. 菜は, 1品目の菜, 2, 3品目の菜ともに, 50年代よりも30年代において, 和風の菜が多く, 洋風, 中華風の菜が少なかった. しかし, 主食が白飯の献立では30年代と50年代の洋風の菜の割合に有意な差は認められなかった. また, 一汁三菜献立では30年代と50年代の料理様式に有意な差は認められなかった.

     これらの結果から, 昭和30年代において, 白飯を主食とする一汁三菜献立が必ずしも日常的な献立構成ではないこと, 一汁三菜献立には洋風の菜が組み合わされにくく, 和風の菜が組み合わされやすいことが示唆された.

シリーズ 研究の動向 73
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