日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
最新号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
報文
  • ―札幌市・石狩管内中学校の家庭科教員調査より―
    佐藤 佐織, 増渕 哲子
    2022 年 73 巻 7 号 p. 387-401
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/05
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は, 中学校家庭科教員の調理実習時における食物アレルギー対応と, 学校内での食物アレルギーに関わる組織体制の現状について把握し, 課題を提示することである.

     札幌圏の中学校の家庭科教員を対象とし, 2019年11月~2020年2月に, 郵送法による質問紙調査を実施した. 質問紙配布数は公立中学校と私立中学校を合わせて計144部, 回収数は63部で, 回収率は43.8%だった.

     結果は以下の通りである. 学校内の食物アレルギーに関わる組織体制が整備されていた中学校は, わずか30.1%だった. 食物アレルギー症状を持つ生徒数を把握している家庭科教員の割合は55.6%だった. 保護者から, 調理実習時の食物アレルギー対応を依頼されたことがある家庭科教員ほど, 食物アレルギー症状の有無に拘わらず, 全ての生徒が共に食べることができる共通メニューによる調理実習を実施する傾向が見られた. 食物アレルギーに対応した調理実習例が教科書に掲載された方がよいと考える家庭科教員の割合は, 76.2%と高かった.

     現在, 学校では学校給食における食物アレルギー対応が重視されているが, 生徒の安全と教育の機会均等を守るため, 家庭科の調理実習にも対応できる食物アレルギーに関わる学校組織体制づくりが求められる. 今後は, 調理実習における家庭科担当教員の負担を減らし, 食物アレルギーに対応した調理実習題材の開発と普及が必要である.

  • ―小中高等学校における省エネ教育効果の検証―
    三神 彩子, 赤石 記子, 鶴崎 敬大, 平山 翔, 矢田 麻衣, 長尾 慶子
    2022 年 73 巻 7 号 p. 402-414
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/05
    ジャーナル フリー

     気候変動による異常気象は喫緊の課題であり, 気候変動枠組み条約においても気候変動教育の重要性が示されている. 日本が目指す2050年脱炭素化に向け, 「省エネ行動」を国民全体の社会規範として定着させるためには, 学校教育での取り組みが重要だと考える. しかし, これらの教育が実際に家庭でのCO2排出量削減に寄与するのかを定量的に明らかとしたものは見当たらない.

     そこで本研究では, 家庭でのエネルギー消費量の実測と行動実践率等から省エネ教育の効果を明らかにすることを目的とした.

     結果, 省エネ教育を導入することで, 家庭での省エネ行動の実践率は約20%向上し, 約5%のCO2削減効果を得た. 児童生徒への教育が間接的に家庭での取り組みに影響を与え, 教育効果が, 半年後, 1年後も持続していたことを確認した. 以上より, 省エネ教育が家庭での省エネ・CO2削減に直接寄与することが示唆された.

資料
  • ― 一汁三菜の献立との比較 ―
    瀧日 滋野, 阪野 朋子
    2022 年 73 巻 7 号 p. 415-426
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/05
    ジャーナル フリー

     本研究では高等学校家庭科の献立作成の授業において, 高校生が作成した一汁三菜 (三菜) と一汁一菜 (一菜) の献立の特徴について, 食品群の取りいれ状況, 栄養価, 料理から明らかにすることを目的とする. 分析対象者は高校1年生118名であった. 得られた結果は次の通りであった.

    (1) 一菜は豆・豆製品, 野菜, いも, 果物を三菜よりも献立に取り入れづらく, 三菜は魚介・肉を一菜よりも取り入れすぎることが明らかにされた. しかし, 三菜, 一菜ともに, 乳・乳製品, いも, 果物, 油脂, 砂糖は少なく, 卵や魚介・肉は多くなる傾向があった.

    (2) 献立に食品群を全体的に取り入れることができた場合, 食品群評価, 栄養価評価ともに三菜と一菜には大きな差が認められなかった. 栄養価については, 三菜, 一菜ともに鉄や食物繊維, ビタミンB1, B2が非常に少なかった.

    (3) 一菜は, 1つの献立内容に使用した食品数の平均値が三菜より高かった.

    (4) 献立作成後の感想より, 一菜は品数が少ないため, 栄養バランスを整えることの難しさが多くあげられた.

     以上より, 一菜の献立は, 三菜より少なくなる食品群が多いが, 留意点を考慮することで, 実生活に活かされる授業題材として献立作成に用いることができると考えられた.

  • 秋永 優子, 武田 珠美, 西田 真紀子, 糦須海 圭子, 阿曽沼 樹
    2022 年 73 巻 7 号 p. 427-437
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/05
    ジャーナル フリー

     だご汁の喫食状況について, 九州各県 (沖縄県を除く) の中学校と高等学校の生徒およびその保護者を対象としたアンケート調査の結果を調査地単位で分析し, 地域性およびだご汁の嗜好性に影響する要因について検討した. 生徒のだご汁喫食経験率が100%および90%前後の調査地は, 熊本県, 大分県, 福岡県の3つの県境付近に中心を持つ2つの円内に所在した. 生徒喫食経験率と生徒の嗜好率や喫食場所・機会, 保護者の嗜好率等との間には, 有意な相関がみられた. だご汁の嗜好性に影響する要因として, 「地域社会・風土」, 「食べ慣れ・学習」, 「料理特性」の3点があげられた.

シリーズ 研究の動向 64
feedback
Top