日本家政学会誌
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43 巻, 12 号
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  • 家庭教育の場合
    酒井 ノブ子
    1992 年43 巻12 号 p. 1165-1173
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    家庭教育による主婦の家庭管理能力の開発, 第2報として, 458名の主婦の調査を分析した結果を要約すれば次の通りである.
    (1) 家庭教育による主婦の家庭管理能力の開発効果は認められ, また, その機会の多いほど効果的であった.
    (2) 家庭教育による開発効果は, 家庭管理の行為面では, 計画能力の開発が特に目立ち, これに次いで指導能力が開発されていた.また, 客体面では, 愛情, 気質, 知識・技能, 体力などの管理能力がよく開発されていた.
    (3) 家庭教育者は母が最も多く, 次いで父母双方の場合の方が多かった.
    (4) 家庭教育による開発効果は父, 母単独よりも, 父母双方が行った方がより大きかった.また, 母の場合は行為では調整能力, 客体では食物管理, 父の場合は行為では制御能力, 客体では金銭管理が優れていた.
    (5) 有職主婦は専業主婦よりも家庭管理についての家庭教育を, より多く与えられていた.
  • 生活意識因子との相関
    長沢 由喜子, 壁谷沢 万里子
    1992 年43 巻12 号 p. 1175-1183
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    前報に続き, 家事サービス利用要因としての家政的生活意識に着目するとともに, サービス利用の対象を食生活関連サービスに焦点化し, 家政的生活意識因子と家事サービス因子の相関分析を試みた結果は以下に要約される.
    (1) 主因子法による因子分析の結果, 生活意識では10因子, 家事サービス利用では8因子が抽出された.
    (2) 平均因子得点による属性別生活意識パターンの比較においては, 高年齢群の食事手づくり志向および家事合理化志向の高さ, 中年齢群の性別分業肯定志向の低さ, 勤務者群の職業重視志向の高さおよび経済性重視志向の低さなどが新たに認められた.
    (3) 同様に家事サービス利用パターンの比較においては, 高年齢群のそうざい利用, 夫婦のみ世帯のレトルト食品利用, および無職群の外食・出前利用の高さなどが新たに認められた.
    (4) 生活意識と家事サービスの因子間相関においては, (1) 食事手づくり志向によるインスタント・冷凍献立食品およびそうざい利用抑制の共通性がきわめて高いこと, (2) 性別分業肯定志向による外食・出前利用促進が新たなライフスタイルを象徴する生活行動として定着していること, (3) 家事合理化志向に含まれる進歩的合理化および保守的家事遂行の2つの意識がそれぞれに利用促進および利用抑制にかかわることなどが明らかとなった.
    (5) クラスター分析により, 家事サービス利用抑制要因として食事手づくり志向, 利用促進要因として性別分業肯定志向・男女協力志向・家事手抜き志向・経済性重視志向・家事合理化志向の5因子を特定できるとともに, 家族生活重視志向・計画的消費志向・生活充実志向・職業重視志向の4因子を補助的利用要因として位置づけることができた.
    (6) 各要因が家事サービス利用におよぼす影響度は, 食事手づくり志向が最も高く, つぎに家事合理化志向が続き, さらに性別分業肯定志向・男女協力志向・家事手抜き志向・経済性重視志向が並列に位置つくことが明らかとなった.
    以上, 既報との比較において家事サービスの伸びが著しい事実に基づき, 属性との関連において利用促進および利用抑制要因を特定することができ, 利用構造をより鮮明に捉えることができたと考える.ライフスタイルの多様化を反映し, 利用抑制構造に比較し利用促進構造が複雑化している実態が明らかであり, 今後の利用予測においてはライフスタイルを軸とした分析が有効となると思われる.
  • 父子の心理的紐帯に及ぼす影響
    木田 淳子, 大谷 直美
    1992 年43 巻12 号 p. 1185-1194
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to make clear influences of fathers' participation in childrearing on the psychological tie between fathers and children of fifth or sixth grade. The major findings are as follows :
    (1) When the degree of fathers' participation in childrearing is high, the psychological tie between father and children is tend to be strong in general.
    (2) Especially, from the view point of children, fathers' daily and cognizable participation in childrearing is tend to bring the strong psychological tie to them.
    (3) When fathers' participation in childrearing is meaningful to themselves, it brings them the strong psychological tie with children, even if it isn't daily nor direct.
    (4) Through the strong psychological tie with fathers, children come out in sympathy with their fathers' lives, and can find out various mature person's models in their fathers, e.g. models as workers, citizens, fathers or husbands.
    (5) On the other hand, fathers reflect on their workers', citizens', fathers' or husbands' lives through the strong psychological tie with their children.
  • 平岡 英子
    1992 年43 巻12 号 p. 1195-1200
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    各種食品からCMによって脂質を抽出し, その操作中および放置中の脂質の酸化の程度と抗酸化剤の適量について検討した.
    (1) 牛肉, マアジ普通肉, 血合肉からBHT無添加でCM抽出すると, BHT添加のものに比べてTocは減少しPV, TBA値は有意に高くなった.この傾向は生肉よりも加熱肉で顕著に認められた.卵黄, 煮大豆では有意な変化はなかった.
    (2) マアジ血合肉からCM抽出した脂質は放置中にもその酸化が進んだ.BHT無添加で抽出した場合, Tocは抽出直後ですでに約50%に減少しており, さらに4時間放置すると約2%に減少した.PV, TBA値もTocの減少に伴って上昇した.
    (3) 酸化の起こりやすい食品 (マアジ血合肉) あるいはすでに酸化の進んだ食品 (アジ干物) から脂質をCM抽出する場合には, かなり多量の抗酸化剤 (BHT 0.2~0.5%) が必要であった.
  • 貝沼 やす子
    1992 年43 巻12 号 p. 1201-1208
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    コシヒカリ, あきたこまちなどの食味上位米は,
    (1) 水浸漬後の米粒の硬度は, その他の米に比べ高く測定された.
    (2) 加熱の段階では, 沸騰開始時に残存する液すなわちおねば中に溶出している全糖量が少なく測定され, 加熱時にこれらの成分が溶出しにくい性状であることが示された.
    (3) 加熱時に溶出する固形分, 飯洗液中の固形分については, 食味上位米にのみ特有の傾向は認められなかった.
    (4) 蒸らし終了後の飯はやわらかく, 張りのある状態であり, それぞれの米に与えられている評価と一致する性状であった.
    以上の結果から, 炊飯の際炊飯液中に溶出する成分が, 飯粒表層部の物性変化に関与する可能性は少ないものと思われた.好ましい飯の性状を示す米の条件としては, むしろ, 吸水による米粒の軟化は小さく, 加熱時には成分が溶出しにくいような米粒内部組織をもっことにあるのではないかと推察された.
  • 加藤 征江
    1992 年43 巻12 号 p. 1209-1215
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    塩味および甘味に対する味覚感受性と嗜好を把握し, 更にそれらの関連を調べるために, 女子学生に対して塩味水溶液および甘味水溶液に対する弁別能力と嗜好濃度に関する味覚検査を行った.また, 質問紙法による両味の味覚意識の調査も行い, 味覚検査との関連を検討した. (1) 0.90~1.00%食塩水溶液および9.0~10.0%砂糖水溶液において, およそ半数の者が弁別出来た濃度差は, 塩味では0.05%, 塩味では0.5%であった.
    (2) 塩味では0.85~1.05%の食塩水溶液における0.05%の濃度差の5種類の試料, 甘味では8.0~10.0%の砂糖水溶液における0.5%の濃度差の5種類の試料を用いて, 順位法による弁別検査を行った.濃度の順位付けが正確にできた人 (γs=1.0) は塩味では34.0%, 甘味では320%であった.また, 味の弁別能力が有意だった人 (rs≧0.9, P<0.05) は塩味では54.0%, 甘味では80.0%で, 両味共にでは4生0%であった.
    (3) (2) の弁別検査に用いた試料において, 選択法による嗜好濃度の検査により, 味の弁別能力が有意だった人については, 塩味では0.90%食塩水溶液が有意に (P<0.01) 好まれ, また嗜好濃度の平均値も0.9%ほどであった.甘味では8.5~9.5%の砂糖水溶液の濃度範囲が好まれる傾向で, 嗜好濃度に個人差が見られた.これらの結果は清汁の塩味の嗜好濃度とはほぼ同じ傾向であったが, 紅茶浸出液の甘味の嗜好濃度よりは多少高い濃度であった.
    (4) 味覚検査の結果より, 食塩水溶液においては, 弁別能力と嗜好濃度とは有意に逆相関を示し, 弁別にすぐれた人は薄味嗜好の傾向であった.甘味についても同様の傾向が見られた.
    (5) 砂糖水溶液に対しての味覚検査の結果と甘味についての味覚調査の結果との間に, 味覚感受性および味嗜好のいずれの項目においても, 有意な順位相関が示されたが, 塩味についてはそれらの間の相関は有意水準には達しなかった.
  • 中西 正恵, 丹羽 雅子
    1992 年43 巻12 号 p. 1217-1222
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    In our previous paper, a theoretical equation predicting the air resistance of woven fabrics using basic fabric structural parameters was obtained based on a simple model of a fabric air flow mechanism in which the effects of both the intra-yarn and inter-yarn interstices were taken into consideration. In this paper, the adequacy of the equation was verified by comparison between the predicted and measured air resistance of various kinds of woven fabrics. In addition, the air resistance of multilayers of fabric was measured simulating actual clothing assemblies and these data were compared with the sum of resistance of each fabric layer. As a result, it was found that the addition law could be applied to the air resistance of multilayers.
  • 「婦人之友」誌の特徴と住生活関連記事の経年的動向
    久保 加津代
    1992 年43 巻12 号 p. 1223-1228
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    大正デモクラシー期の住生活の実態分析をとおして, 生活者である主婦たちが, 住様式の変容過程にどうかかわったかを考察するという目的のために, この時期の「婦人之友」を分析した.「婦人之友」はつぎのような特徴をもっている.
    1) 「婦人之友」は近代的な家庭生活像を求めており, 新しい住様式の創造に積極的にかかわろうとする姿勢がみられる.
    2) 「婦人之友」の主たる読者層は都市の中流階層であり, 彼らの住宅規模は「中流住宅」の規模とほぼ一致する.しかし, 「婦人之友」の読者は精神的態度の面で特徴をもっており, 中流階層のなかでも1930年に「全国友の会」を組織するほど, 生活の近代化・合理化に積極的・研究的姿勢を示し, 実践のエネルギーをもったものが多かった.
    また, この時期の住生活関連記事に関してはつぎのようにいえる.
    1) 記事全体に占める住生活関連記事の比率は決して多くないが, 住宅プランや住み方・住居観に言及したものが多い.
    2) 読者の投稿記事が多いので, 生活者である主婦の家族本位志向・簡素化志向などの住居観が採集できる.
    3) 「婦人之友」は社会状況による影響の大きな雑誌である.大正時代には新しい近代的な住様式を志向するものが多いが, 昭和に入ると工夫に関するものが多くなる.1935年以降はこうした傾向がますます強くなり, 新しい生活を求めるという雰囲気はみられなくなる.
  • 中村 泰彦, 田島 真理子
    1992 年43 巻12 号 p. 1229-1233
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    塩化鉄 (II) 溶液と食塩溶液を用いる大豆の新しい浸漬軟化方法について, Fe2+の作用の特異性を明らかにするための実験を行い, 以下の結果を得た.
    (1) 試験した金属イオンの中で, Fe2+のみが食塩との組み合わせで強い軟化作用を示した.
    (2) 煮豆の軟化は, 塩化鉄 (II) 溶液への浸漬が食塩溶液浸漬に先行するか少なくとも同時であるとき, もっとも大きかった.
    (3) 塩溶液への浸漬は大豆の吸水が進行した後で行うより吸水過程の初期に行う方が効果があった.
    (4) 塩化鉄 (II) 溶液への浸漬あるいはそれに続く食塩溶液への浸漬によって, 大豆からのCa2+の溶出がとくに促進されることはなかった.
  • 金崎 芙美子, 金田 利子, 阿部 和子, 大谷 陽子, 清野 きみ, 舟木 美保子, 小川 裕子, 小澤 紀美子, 島崎 恒蔵, 成瀬 信 ...
    1992 年43 巻12 号 p. 1235-1240
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1992 年43 巻12 号 p. 1241-1262
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1992 年43 巻12 号 p. 1279
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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