養殖ぶりの加熱調理によって生じる変異原活性とその失活性について,
Salmonella typhimunum TA98, TA 100 (S-9 Mix添加, S-9 Mix無添加) を用いるAmesの変法によって検討を行い, 次のような結果を得た.
1) 200℃加熱調理した炭化部分がまったくない状態の焼き魚には, TA98, TA100における変異原活性はまったく認められなかった.
2) 260℃加熱調理した焼きぶりの場合, TA98 (S-9 Mix添加) に対して変異原活性が認められた.また, 加熱温度の上昇に伴い, その活性は増加した.
3) 260℃加熱調理によって生じる変異原活性に対して, キャベツ, だいこん, しょうが, レモンの汁液および0.1%L-アスコルビン酸液の抑制効果が判明し, 加熱後処理 (野菜汁, 果汁, L-アスコルビン酸液不活性化能の平均値約67%) よりも, 加熱前処理 (各汁液不活性化能の平均値約90%) において, その影響は大きいことを確認した.
4) 調味液処理の場合, その不活性化能 (加熱前処理, 加熱後処理) は, しょうゆ浸漬 (74, 90%), 砂糖液浸漬 (69, 84%), 砂糖じょうゆ浸漬 (56, 81%) いずれの場合にも著しいことがわかった.
5) だ液処理の場合も, 約25%の不活性化能を示し, 不十分ではあるが, 変異原活性生成に対するだ液の抑制効果が認められた.
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