日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
39 巻, 10 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 久岡 祥子, 水上 戴子, 堀川 蘭子
    1988 年 39 巻 10 号 p. 1039-1050
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    体重約200gのラットを用い, 10%卵アルブミン食または10%大豆タンパク食を10日間投与した後, 50 %卵アルブミン食または50%大豆タンパク食に切り換えて14日間飼育した.この間の動物の血漿, 肝臓, 筋肉中の遊離アミノ酸 (FAA) 濃度, タンパク質量を測定し, さらに各組織と血漿間のFAA濃度比を算出した.以上より, 高タンパク食摂取時の適応過程を検討し, 次のような結果を得た.
    1) 50%切り換え直後いずれの群とも飼料摂取量が減少した.とくにS10→A50群は減少が著しかった.
    2) 各組織中のFAA濃度は高タンパク食の摂取により上下したが, 14日めにはほとんどのFAAが対照値にほぼ安定した.しかし, Thr, Ser, Glyは高タンパク食摂取により低下する傾向が認められ, これらの FAAはピルビン酸を経てグルコース新生に利用されたと推察される.
    3) 肝臓/血漿FAA 濃度比はA10→A50群, A10→S50群で高タンパク食切り換え後2日めに大きく上昇した.S10→S50群, S10→A50群ではそれらの変動は小さかったが, 高タンパク食摂取により分解型代謝となる Met, Cysは50%食切り換え後低下することが認められた.
    4) 肝臓中の総タンパク質量は, A10→A50群, A10→S50群では肝臓/血漿濃度比が低下した7日め以降増加した.濃度比の変動の小さかったS10→S50群では初日から順調に増加した.飼料摂取量が著しく減少した S10→A50群では体重減少とともに肝臓のタンパク質量も減少した.
    5) 以上より, 同質のタンパク質であれば飼料中の含量が10%から50%に変化しても生体への影響はあまり大きくないようであった.また, 質の違うタンパク質であっても卵アルブミンから大豆タンパク質への切り換えであれぼ含量が10%から50%に変化してもその受け入れも比較的容易であった.しかし, 大豆タンパク質から卵アルブミンに切り換え, さらにタンパク含量を 50 %にすると, 飼料摂取量を低下させてこれに対応しており, 生体に及ぼす影響は大きいとみられる.
  • 大羽 和子
    1988 年 39 巻 10 号 p. 1051-1057
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) ジャガイモの総ビタミンC量は春イモ19.3 mg %, 秋イモ18.8mg%であったがイモの貯蔵に伴い減少した.貯蔵1~2ヵ月の間の減少が最も顕著で, 2ヵ月後には収穫時期の半分以下となった.また, 総ビタミン Cの減少と発芽の間に密接な関連はみられなかった.
    2) ジャガイモをスライスして放置すると, ビタミンC (AsA) 量が増大することを, DNP法, TLC法, 差スペクトル法で明らかにした.総ビタミンC量およびAsA量は2日後に最大となり, 以後減少した.
    3) 加熱調理に伴うビタミンC量の変化を経時的に追ってみると, オーブン加熱と電子レンジ加熱では, 加熱時間が長くなるにつれてAsA量が減少した.ゆで加熱と蒸し加熱では, 10分以内にAsA量が顕著に減少し, 以後ほぼ一定の値を示した.最適加熱時間で加熱した後の総ビタミンC残存率を比較すると, 電子レンジ加熱が最も高く (96%), ついで蒸し加熱 (67%) とオーブン加熱 (62%) が高く, ゆで加熱が最も低かった (28 %).
    4) イモをオーブンや電子レンジで加熱するさい, 1個を丸のままで加熱すると総ビタミンCの残存率は高いが, 切断して加熱すると低くなった.
    5) 市販の冷凍ジャガイモの総ビタミンC量は製品ごとのばらつきが大きく, 4mg%から18mg%のものまであった.夏以前に製造され秋まで保存されたものは全般に総ビタミンC量が少なかったが, 秋以降に製造され, 保存期間が5カ月までのものでは多かった.また, 秋から春にかけて貯蔵される場合には生イモよりも冷凍ジャガイモのほうが総ビタミンC量が多かった.
  • 近 雅代, 榛葉 良之助
    1988 年 39 巻 10 号 p. 1059-1064
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    エビスカボチャを栽培し, 成熟中および完熟後10℃, 25℃で冬至まで3カ月間貯蔵することによって果肉のカロチノイド組成がどのように変化するかを色調との関係で調べた.
    1) 成熟過程においてクロロフィルは果肉色が黄緑色から黄色に変化するにつれ減少し, 完熟時の黄燈色時には消失した.カロチノイド量はクロロフィルの減少につれ一度減少した後完熟時には急増した.
    2) 貯蔵中にカロチノイド量は急増し, 3カ月後には10℃で完熟果の2.4倍, 25℃で3.7倍となった.赤色度を表すα値は貯蔵中増加し, α値とカロチノイド量との間には10℃で0.883, 25℃で0.922の相関が得られた.
    3) 完熟時のカロチノイド量は6.2mg/100gでそのうちルテイン63.9%, α-カロチン10.9%, β-カロチン7.8%, アンテラキサンチン6.0%, ビオラキサンチン4.3%, α-クリプトキサンチン2.6%, オーロキサンチン1.8%, ζ-カロチン1.6%, ネオクローム1.2% であった.
    4) 成熟過程においてルテイン, β-カロチン, ビオラキサンチンは総カロチノイド量と同様, 一度減少した後増加する傾向を示した.貯蔵中においてはルテインの増加量が著しく多く, その他β-カロチン, アンテラキサンチン, α-クリプトキサンチン, ネオクロームも増加傾向を示した.しかしα-カロチンのみ2カ月後に消失した.
    5) ビタミンA効力は成熟過程において一度減少した後増加し, 完熟時には450 IU/100gであった.これを冬至まで3カ月貯蔵すると10℃では4.3倍, 25℃では4.9倍にも増加した.このことからカボチャは貯蔵中にカロチノイドの生合成が進み冬至まで保存するとビタミンA効力が増加することがわかった.
  • 小垂 眞, 吉川 秀樹
    1988 年 39 巻 10 号 p. 1065-1070
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 金時豆粉末から水抽出, 熱処理, エタノール分画, DEAE-セルロースクロマトグラフィー, Sephacryl S-200ゲルろ過により電気泳動的に均一なα-アミラーゼインヒビターを単離した.熱処理後からみて, 比活性は約11倍上昇し, 収率は42%であった.
    2) 精製インヒビターの分子量はゲルろ過法で45,000, 糖含量はフェノール硫酸法で15%と推定された.また, SDS電気泳動の結果, 本インヒビターは3種のサブユニットから構成されていると考えられた.
    3) アミノ酸分析の結果, アスパラギン酸, セリン, バリン, スレオニン, グルタミン酸が多く含まれ, 含硫アミノ酸は少なかった.
    4) 精製インヒビターはブタすい臓およびヒト唾液α-アミラーゼを強く阻害したが, 植物や微生物のアミラーゼを阻害しなかった.
    5) 精製インヒビターのブタすい臓α-アミラーゼに対する阻害活性はpH鼠5, 37℃において約40分後に最大に達した.
  • 小川 宣子, 田名部 尚子
    1988 年 39 巻 10 号 p. 1071-1079
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1~4%のゼラチン, 0~3%のトリグルコサッカライドの糊料が, 50%卵白希釈液の熱凝固性に及ぼす影響について検討した.pH9.2~9.3の卵白を使用し, 食塩濃度0.9%とした。各糊料と卵白の混合物を40 分間, 80±2℃で湯浴加熱して作製した卵白ゲルのかたさ, 離漿量および風味について調べた.
    ゼラチンを1%以上添加することにより, 卵白濃度50%の場合も型くずれを抑制することができた.ゼラチン濃度が高くなるとゲルはかたくなった。また, 糊料としてトリグルコサッカライドとゼラチンを用いた 50%希釈卵白ゲルの走査電子顕微鏡像による表面構造は, 冷蔵庫保存7日後も良好であり, 80℃40分加熱の卵白ゲルの離漿中の水溶性タンパク質電気泳動嫁においては, オボグロブリン, オボムコイドの泳動帯の染色が濃くなった.
    トリグルコサッカライドの添加は, 卵白ゲルの離漿量を増加させたが, 味に濃厚さを与え, ゼラチン3%添加を同時に行うことで, 離漿量がおさえられ, 官能検査の結果, 風味の向上もみられた.
  • カチオン界面活性剤の染色への応用に関する研究 (第3報)
    岡部 瑞穂, 岩垂 芳男
    1988 年 39 巻 10 号 p. 1081-1089
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The effect of cationic surfactants, benzyltetradecyldimethylammonium chloride (BTDAC) and benzylhexadecyldimethylammonium chloride (BHDAC), on dyeing properties and color fastness of synthetic and semi-synthetic fibers with acid monoazo dyes, Orange II (C. I. Acid Orange 7) and Roccelline (C. I. Acid Red 88), has been studied. Each dyeing always was made in an infinite bath (liquor ratio 1 : 1, 500) with 1 × 10-3 mol/l of dye and with 0. 1 mol/l of sodium chloride at 80°C. The concentration of cationic surfactants was varied in the range of 1 × 10-7 to 1 × 10-2 mol/l. The color fastness to light (JIS L 0843) and washing (JIS L 0844, B-3) were also investigated.
    The uptake of dye for the synthetic and semi-synthetic fibers increased remarkably with an increase in the concentration of cationic surfactants and after passing through a maximum the value decreased. The apparent diffusion coefficients (D) and the apparent rate constants of dyeing (K) in the presence of the cationic surfactant were considerably smaller than those in the absence of it.
    The color fastness to light and washing varied slightly with cationic surfactant concentration. The chain length of hydrocarbon of the cationic surfactants seemed to have no effect on the color fastness.
  • ズボン原型の後股上線の角度
    平沢 和子
    1988 年 39 巻 10 号 p. 1091-1098
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ズボン原型の股ぐり線の適合性について後股上線の角度に要因をしぼり, 実験的検討を行った.
    1) 後股上線の適合性に対する有効な形態因子とみなした腰部正中角度 (仮称) の測定は, 青年女子100 名, 中年女子50名, 老年女子50名 (50名中プラス角度者38名) について行った.青年女子の角度は平均値16.0°で中・老年のそれにくらべ1%の有意水準で差があり, 最大値28.0°, 最小値6.0°で個体差が大きい.中年女子・老年女子の平均値はおのおの12.5°, 10.0°である.
    2) ズボン原型の股上線の角度は, くり幅および股上寸法が体型に対し適合しているならば, (腰部正中角度/2) +3°が後腰部に適合し, さらに各種動作に対しても適応することがわかった.この結果を計測した腰部正中角度に適用すれば青年女子の後股上線の角度の適合範囲は6.0~16.5。であり平均値は11.0°である.
    3) 中・老年女子のズボン原型の股上線の角度は, 青年女子の実験結果から結論づけられた (腰部正中角度/2) +3°を適用すると, 中年女子は6.0~13.5°であり, 平均値は9.3°, 老年女子は3.0~12.5°, 平均値は8.0°となるが, これについては着用実験により今後確かめたい.
  • 米ならびに米でんぷんの調理科学的研究 (第15報)
    大西 (濱野) 眞理子, 庄司 一郎, 倉沢 文夫
    1988 年 39 巻 10 号 p. 1099-1104
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    常圧および圧力炊飯した飯粒のクリオスタットによる切片を, ヨウ素ヨウ化カリウム溶液によって染色し, 光学顕微鏡で観察した.
    1) 圧力炊飯した飯粒の縦断面では, 飯粒の中心部は円形に近い細胞がみられ, 外側に近い部分では細長い楕円形をしており, さらに表層では再び円形に近い細胞がみられた.飯粒の中心部はでんぷん細胞の形態を保持し, でんぷん粒, でんぷん複粒が密に存在しているのが観察された.飯粒の表層部はでんぷん細胞が一部崩壊していた.
    2) 飯粒中心部は, 常圧釜の場合にはでんぷん細胞間およびでんぷん複粒間に空隙があり, でんぷん粒および複粒は膨潤していた。圧力鍋の場合にはでんぷん粒は常圧釜の飯粒の1.5~2倍となり, また空隙はでんぷん細胞間, でんぷん複粒間, でんぷん粒間に存在し, 常圧釜の飯粒よりも多くみられた.圧力鍋周辺部の飯粒には上記の空隙はほとんど観察されず, でんぷん粒, でんぷん細胞は膨潤していた.
    3) 飯粒表層部は常圧釜の場合には中心部から表層近くまで, でんぷん細胞の形態は保持されていたが, 表層部では細胞壁, でんぷん細胞は崩壊されていた.圧力鍋の場合には, 細胞壁, でんぷん細胞, でんぷん粒の崩壊の程度が常圧釜の飯粒よりも大であった。とくに圧力鍋の周辺部の飯粒は表層のでんぷんが糊状になってヨウ素で濃く染色している状態が観察された.
    このように圧力鍋の飯粒は常圧釜の飯粒に比べて, でんぷん細胞の膨潤の状態およびでんぷん細胞の崩壊の程度が異なっていることが組織学的に観察された.
  • 吉場 久代, 長谷川 幸雄, 松岡 麻男, 中里 富美子, 左 篤子, 久木野 睦子, 塩田 教子
    1988 年 39 巻 10 号 p. 1105-1110
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    養殖ぶりの加熱調理によって生じる変異原活性とその失活性について, Salmonella typhimunum TA98, TA 100 (S-9 Mix添加, S-9 Mix無添加) を用いるAmesの変法によって検討を行い, 次のような結果を得た.
    1) 200℃加熱調理した炭化部分がまったくない状態の焼き魚には, TA98, TA100における変異原活性はまったく認められなかった.
    2) 260℃加熱調理した焼きぶりの場合, TA98 (S-9 Mix添加) に対して変異原活性が認められた.また, 加熱温度の上昇に伴い, その活性は増加した.
    3) 260℃加熱調理によって生じる変異原活性に対して, キャベツ, だいこん, しょうが, レモンの汁液および0.1%L-アスコルビン酸液の抑制効果が判明し, 加熱後処理 (野菜汁, 果汁, L-アスコルビン酸液不活性化能の平均値約67%) よりも, 加熱前処理 (各汁液不活性化能の平均値約90%) において, その影響は大きいことを確認した.
    4) 調味液処理の場合, その不活性化能 (加熱前処理, 加熱後処理) は, しょうゆ浸漬 (74, 90%), 砂糖液浸漬 (69, 84%), 砂糖じょうゆ浸漬 (56, 81%) いずれの場合にも著しいことがわかった.
    5) だ液処理の場合も, 約25%の不活性化能を示し, 不十分ではあるが, 変異原活性生成に対するだ液の抑制効果が認められた.
  • 小川 信子
    1988 年 39 巻 10 号 p. 1111-1115
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
  • -カンサス州・マンハッタン-
    高橋 節子
    1988 年 39 巻 10 号 p. 1117-1121
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 39 巻 10 号 p. 1130
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 39 巻 10 号 p. 1131
    発行日: 1988年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top