日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
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70 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
報文
  • 平野 春樹, 稲葉 洋美
    2019 年 70 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/25
    ジャーナル フリー

     本研究は大学生の朝食欠食と健康に関する栄養教育の手がかりを得るために国内の研究動向を整理すると同時に, 研究で使用された調査票の種類, 内容を調査し, 今後の研究発展に繋げることを目的に, 文献レビューを行った.

     データーベース検索 (Scoups, PubMed, 医学中央雑誌web版) により1999年から2016年の論文を抽出した. Keywordは, Scoupsにおいて “breakfast, university, student” 【All Fields】 OR “skipping, breakfast, college, student” 【All Fields】 ANDとした. PubMed は, “Skipping AND breakfast AND (university OR college) student” AND 【All Fields】 ORとした. また医学中央雑誌は “朝食” “欠食” “大学生” をキーワードとした. その中から全41編を対象として検討を行った.

     朝食の欠食は喫煙や夜型の生活, 睡眠不足などの生活習慣が関連しており, 肥満や便秘などの健康および栄養状態への影響に関しても多数報告されていた. さらに朝食の欠食研究における調査票は確立されておらず様々であった.

     大学生の朝食欠食に関して, 行動変容に繋がる朝食摂取に関する栄養教育を実施するためには, 大学生自らが朝食欠食の問題を解決出来るように, 大学が施策を考えることも重要である. また, 朝食欠食に関する確立された調査票の作成が求められた.

資料
  • 佐藤 真実
    2019 年 70 巻 1 号 p. 14-23
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/25
    ジャーナル フリー

     福井県民は, 東京近郊に住む都民に比べて, 米の摂取量が多い. 本研究では, 福井県と東京近郊を居住地とする女子学生にアンケート調査を実施し, 居住地や世帯構成の違いが米飯の消費や嗜好にどう影響し, 摂取量に関係するかを明らかにした.

     白飯の嗜好は, 居住地の違いによる有意差がみられず「好き」と答えた割合が約9割であった. 米の消費については, 一人暮らしでは, 居住地が福井県と東京近郊で異なってもほとんどの項目で有意差がみられなかった. しかし, 核家族や拡大家族では, 居住地の違いによる有意差が多くの項目でみられた. とくに福井においては, 「朝に1回炊飯し, 1日に2回~3回以上摂取する」人が多く, 東京近郊の摂取回数よりも多かった (p=0.00).

     福井県で家族と暮らす家庭では, 朝に1回炊飯する習慣があり, この習慣によって米飯食の回数が多く, 白飯の主食としての位置づけが明確となり, 米の摂取量が多くなったと考えられた.

  • 楠 幹江, 山田 俊亮
    2019 年 70 巻 1 号 p. 24-32
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/25
    ジャーナル フリー

     著者らは, カンボジア王国シェリムアップ州バイヨン中学校において, 女子生徒を対象に家庭科の授業実践を行っている. 本稿は, カンボジアの被服文化に即した巻きスカート型の制服の下衣の製作を中学家庭科の実習授業として行うことを目的としたものであり, グループ学習ならびにルーブリックを取り入れた授業の検証を行った. 制服を題材としたことは, 生徒達にとって, 学ぶ楽しみと友人との語らいを提供する大切な衣服であるという点を重視したことによる. この制服を自分で製作し, 清潔に扱い, 最後まで活用する方法を身につけることは, 家庭科が目的としている「生きる力」を育むことにつながると考える. 以上のような試みを, カンボジアにおける家庭科の授業の充実化ならびに生活の向上を目指し, 日本からカンボジアへの家政学を介した国際協力手法の試みとして本稿では報告する.

  • 表 真
    2019 年 70 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/25
    ジャーナル フリー

     英国, 北アイルランド中等教育学校における家庭科教育について明らかにするために, 北アイルランドの統一カリキュラムを調査, また, 2017年1月に中等教育学校を訪問し, 授業見学, および家庭科教師への聞き取り調査を行った結果, 以下の知見を得た.

    1) 北アイルランドにおける家庭科は, イングランドおよびウェールズにおけるデザインとテクノロジーとは異なる形で, 8~10年生を対象とした前期中等教育において, 学習分野「生活と仕事」の1教科として, 男女生徒に必修で教えられていた.

    2) 「生活と仕事」には, 「個人の発達」「地域・国際的市民教育」「職能」「家庭科」の4教科が含まれ, 家庭科は「健康的な食事」「家庭と家族の生活」「自立した生活」の3主要概念から構成されていた.

    3) 家庭科は後期中等教育の修了資格取得, および職業教育のための選択教科としても位置付けられていた.

    4) 授業時間数など授業計画の作成は, 学校の裁量に任されていた. 訪問したベルファストとその近郊に位置する3校の中等教育学校では, 各校の実情に応じた異なるタイプの家庭科の授業が行われていた.

     北アイルランドの家庭科は, アイルランド共和国に近い形で実施されていた. 両国の教育的背景が同一であることによるものと考えられる. また, 統一カリキュラムが提示されているものの, 授業構築に関しては学校の裁量が大きく, 対象児童に応じた特徴ある授業が工夫されていた.

シリーズ くらしの最前線 118
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