妊娠期および授乳期のラットに食餌量を制限した場合に母体と子の発育に及ぼす影響について検討した.妊娠ラットを4群に分け, 自由摂取させた2群には20% カゼイン食 (C) または20%分離大豆たんぱく質 (SPI) 食 (S) を投与した. 食餌制限した2群には, 自由摂取群が摂取した量の30%減の割合でカゼイン食 (CR) またはSPI食 (SR) を妊娠期と授乳期を通して投与した. 食餌制限はそれぞれの自由摂取群とのpair-feedingにより行った. 結果は次の通りである.
(1) 妊娠期に食餌制限を行った場合, 母体の体重増加量は, CR群がC群より, SR群がS群より有意に小さかった. 新生子の体重と臓器重量は, SR群はS群に比べて有意に軽かった.
(2) 妊娠期, 授乳期を通して食餌制限を行った場合, 母体の体重, 臓器重量は, CR群がC群より, SR 群がS群より有意に軽かった. 離乳子の発育は, 生後3週齢において, CR群がC群より, SR 群がS群に比べて有意に劣った. また, S群はC群より, SR群は CR 群より有意に発育が劣った.
以上より, 妊娠期と授乳期を通して30%の食餌制限をすると, 母体と子の発育への影響が顕著にみられた. また, 食餌制限群, 自由摂取群共に, SPI食はカゼイン食に比べて離乳子の発育が遅れた.
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